Harumichi Yuasa's Blog

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授・湯淺墾道のウェブサイトです

ラジオ番組でコメント

2011年07月28日 | Weblog
東京FM(80.0)の「TIME LINE」という番組があるが、7月26日(火)の番組で、AKB48のネット投票について取り上げた際、電話でゲスト出演してコメントした。
http://www.tfm.co.jp/timeline/index.html
http://twitter.com/#!/TOKYOFMtimeline

コメントしたのは、インターネット投票のメリットとデメリット。
またインターネット投票が実際に行われている国として、エストニアの事例を少しコメントした。
2011年の国会議員選挙では有権者中の電子投票利用率は15パーセントを超え、投票者中の電子投票利用率も20パーセント以上となっている。また、期日前投票における電子投票の利用率はついに過半数を超えるに至っている。

エストニアにおいてインターネットを介する電子投票を成功裡のうちに実施することができた背景には、3つの要因があったと考えられる
第1の要因は、インターネットの普及度と電子政府の達成度の高さである
第2の要因は、電子投票に対する世論の支持である。民主化の途上にあったエストニアにおいては「電子投票の導入により投票率の向上が見込まれ、したがって民主主義に対して好影響を与えるはずである」という文脈において電子投票が理解されていたためであると思われる。
第3は、電子投票を導入しやすくする法制度の整備と法解釈である。IDカードに関する一連の法律の整備によって本人確認と電子署名が行えるようになったことが大きい。また、エストニアの電子投票では有権者は投票締切までに投票をやり直す(投票を変更することができる)が、エストニアの最高裁判所は、インターネット投票は投票の監視ができないので強要や買収が行われる蓋然性は高いが、仮に選挙人が何者かに強要されて電子投票を行わなければならなかったとしても、その選挙人は電子投票または紙の投票によって再度投票し強要された投票を変更することが可能であるから、投票の自由を絶対的に侵されるということはなく、選挙人が電子投票によって行った投票を後から変更することができるという可能性は電子投票における投票の秘密と自由を保障するためには不可欠であると判示している。

課題は、セキュリティの確保である。
エストニアはこれまで数度にわたって大規模なサイバー攻撃を受けた。2011年の国会議員選挙に用いられた電子投票システムについては、各有権者がアクセスするコンピュータのセキュリティ対策が不十分である場合、その端末にコンピュータ・ウィルスを感染させ、その端末から正常に投票できないようにすることが可能であると指摘されている。
自宅や職場等の汎用のコンピュータからの投票を可能とする以上、電子投票システムだけではなく、投票に使用する各端末のOSのアップデートやセキュリティ対策をどのように確保するかという点も課題である。
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