柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

悪い人

2014年10月21日 23時15分55秒 | 日記

「創」の篠田博之編集長から、本日、10月21日20時24分にメールが届きました。

その内容に、仰天しました。

開いた口が塞がらない、とは、この事です。

篠田さんは、何故、このような事態になっているのか、全く理解していないとしか思えません。

篠田メール→「柳さん、当時『原稿用紙3枚で5万円』という条件が提示されたとのことですが、私がそう言うことはありえないと思いますが、何かその根拠となる文書か何かあるのであればご提示いただけますか」

篠田さん、あなたは出版業界の、契約書を交わさない、請求書を送らない、という慣例を逆手に取って、言った言わないの水掛け論に持ち込もうとしているのですね。

残念ながら、わたしは、篠田さんの依頼時の発言を録音してはいません。

2007年6月に、わたしが「原稿用紙3枚で5万円」という依頼を篠田さんから受けたのです。他に同席している人はいませんでした。

このブログ「今日の出来事」のいくつかを膨らます形だったら、柳さんの負担にならないだろうから、原稿用紙3枚でお願いします、稿料は5万円です、と篠田さんは依頼しました。

新聞小説並みの高い稿料だな、と驚いたことをはっきり憶えています。

帰宅して、「3枚で5万円だって!『創』って太っ腹だね」と、同居している村上くんに報告したことも憶えています。

そして、連載途中で、篠田さんの方から「これでは短すぎる。長く書いてほしい」とオーダーされ、その要望に応じる形で、わたしは原稿量を増やしたのです。

篠田メール→「柳さん、全てのケースにおいて400字詰め何枚という言い方をするということは常識ではないと思います。特に今は文芸誌以外では原稿用紙に原稿を書く人はほぼ皆無で、400字云々という言い方自体、あまりしなくなっています。ですから『3枚5万円』とは言っていないと思いますが、私がどういう状況でどんなふうに言ったということなのでしょうか」「『創』だけが出版界の常識からずれているということはないと思います』

わたしは、25年ほど様々な雑誌で連載をしてきました。もちろん、文芸誌だけではありません。新聞、週刊誌、言論誌――、稿料は25年前から現在に至るまで、全て400字詰め原稿用紙1枚いくらの計算で支払われています。『創』は違う、と篠田さんがこの期に及んで言い張るのならば、例外は『創』のみです。「『創』だけが出版界の常識からずれて」いるのです。

わたしが今までに原稿を(400字詰め原稿用紙1枚いくらで)書いた新聞・雑誌をあげておきます。
朝日新聞、読売新聞、産経新聞、毎日新聞、日本経済新聞、東京新聞、南日本新聞、共同通信、朝鮮新報、公明新聞、
週刊新潮、週刊朝日、週刊文春、週刊現代、週刊ポスト、アサヒ芸能、アサヒグラフ、毎日グラフ、
新潮、文學界、群像、文藝、すばる、海燕、エンタクシー、小説トリッパー、小説新潮、月刊カドカワ、野性時代、オール読物、小説現代、悲劇喜劇、テアトロ、しんげき、レ・スペック、日経クリック、
文藝春秋、新潮45、G2、ヴォイス、潮、中央公論、婦人公論、宝石、Views、
演劇ぶっく、アサヒカメラ、月刊百科、室内、銀座百点、銀花、ブルータス、anan、ピンク、季刊アステイオン、夜想、かまくら春秋、
図書新聞、波、本の話、本、新刊ニュース、花椿、イオ、月刊社会民主、THE SHAKAI SHIMPO。

「それから執筆者に4ページとか10枚とか原稿依頼をした場合、もし執筆者が枚数を多く書いてきた場合、その書かれてきた枚数分全部支払うということにはなりません」

そもそも、4ページというページ数で依頼を受けることはありません。必ず原稿枚数で依頼されます。そして、原稿枚数がオーバーした場合は、編集部の方で、全文掲載する価値がある原稿か、価値がない原稿かを判断するのです。
価値がある、と判断した場合は、依頼した原稿枚数よりオーバーしていたとしても、掲載します。
そして、掲載した分に関しては原稿用紙1枚いくらで計算して著者に振り込みます。
価値がない、あるいは、価値があっても全文掲載することはできない、と判断した場合は、ボツにするか、削りの枚数を著者に指定します。
ボツにした場合の稿料はゼロですが、掲載した分の稿料は、原稿用紙1枚いくらで計算して著者に振り込みます。
これが、『創』以外の全ての雑誌の、稿料支払いの「常識」です。
篠田さんは、この業界で何年仕事をしていらっしゃるのですか?
出版界の「常識」もご存知ないのですか?
あるいは、損をしないために、知らないフリをしてきたのですか?

篠田さん、あなたは悪い人ですね。

あまりにも腹が立ったので、この7年間、『創』に掲載された原稿の枚数と、支払われた稿料(印税・対談謝礼)と、未払いの稿料(印税・対談謝礼)を公表します。

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