今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

夏越祓(なごしばらい)

2006-06-30 | 行事
今日(6月30日)は、「夏越祓(なごしばらい)」。
「夏越祓」は「夏越の祓」とも呼ばれるが、6月晦日(つごもり)に行われる穢れを祓う行事。もとは、12月大晦日の宮中行事「年越の祓(としこしのはらえ)」と一対の大祓(おおはらえ)行事だった。このような、1年を2季に分けて同種の行事を繰り返すのは、古い暦法の名残りであり、その頃、1月から6月までを1年、7月から12月までは別の新しい年といった感覚でとらえていた。つい最近まで、我々の生活のなかで盆と正月前にそれ迄の決算をするという習慣はその名残りである。
このようなことから、6月の祓いには大晦日のそれと同じく、半年間で身に溜まった罪や穢れを祓い清め、次の半年間の無病息災を祈るいわば、新しい時を迎えるための物忌みの意味があった。701年の大宝令以後、正式な宮中の年中行事に定められ、6月と12月晦日に行われてきた。この日には、朱雀門前の広場に親王、大臣ほか京にいる官僚が集って大祓詞を読み上げ、国民の罪や穢れを祓った。応仁の乱の頃から行われなくなったが、江戸時代に再開された。一時期、12月晦日の大祓が途絶えて、6月(みなづき)の祓のみが行なわれていたこともあったが、明治の初めに旧儀復興の布告が出され、現在でも古い伝統に基づき、前半歳と後半歳にこの大祓の儀式が行なわれている。ただ、12月晦日の「年越の祓」は、伊勢神宮や奈良の大神神社(おおみわじんじゃ 三輪明神)など一部の神社では古儀に則り行っているが、一般の神社では、形骸化された祭事となっているところも多い。
神社神事としての「夏越祓」では、人形(ひとがた)で身体をなでて穢れを移して川に流したり、茅(ち)の輪(わ)くぐりをしたりする。茅の輪は、茅(ちがや)をよって束ねた輪で、氏子が茅の輪の中を左まわり、右まわり、左まわりと八の字に3回くぐると穢れが祓われ、災厄を免れるといい、「輪越(わごし)祓」の別名もある。茅の輪は水神としての蛇を形象化したものとされ、それを潜ることで水による祓除を期待したものだそうだ。民間でも人形の川流しが行われ、川や海で水遊びをする地域もある。
この「水無月祓」の記録は古く、この大祓の儀式の際に読み上げられる言葉(ことば)が、『延喜式』のなかに載せられている大祓詞である。この大祓詞は、罪穢れ、悪事や災難を取り除く為の祓詞で、我国で最も古い祓詞といわれている。『延喜式』巻八「祝詞」には「六月晦大祓」として記載されており、「十二月も此に准へ」と注記がある。今日使用されている大祓詞は「六月晦大祓」の祝詞を元にしたものである。そのようなことから、古くから和歌の歌題ともなり、連歌・俳諧にも受け継がれた。
「六月(みなづき)の夏越の祓する人は千年(ちとせ)の命延(の)ぶといふなり」(『拾遺集』よみ人しらず)。
「風そよぐ ならの小川の夕ぐれは みそぎぞ夏のしるしなりける」(「新勅撰和歌集夏・小倉百人一首 98番」 従二位 藤原家隆)
この歌のなら は 奈良=楢の掛詞となっており、 ”楢の木の葉に風が吹き渡っている奈良の小川の夕暮時は 、涼しくて秋の訪れを思はせるやうであるが 、この川で行はれている禊の行事だけが、 まだ夏であることの証拠なのだなぁ ”・・・といった意味。
世阿弥の作で「水無月祓」という題目の能がある。古くは「みそぎ川」「名越(なごし)」とも呼んでいたそうで、 この神事を縦糸に 男と女の再会を横糸に織りあげた ドラマティックな狂女物である。恋に狂った女が水無月祓の茅(ち)の輪を持ち、夏越の由来を語り、今日祓をした人は長生きすると、茅の輪を差し出して、祓をすすめる。「水無月祓」は、類曲に「般若」があり、そちらが人気があるため滅多に出ないようであるが、当時の賀茂神社の景色を上手に描いた曲と言われている。
6月30日の今日は、一年も残す所あと半分となる日・記念日の「ハーフタイムデー」でもある。水無月晦日の神事は、夏越節句とも言われ、年の境目といった重要な儀式とされていた。
6月になると京の和菓子屋さんの店先には「水無月」が並ぶ。“ういろう”の上に小豆を載せたもので、形は三角形をしている。宮中では6月1日に、冬の間に氷室に保存しておいた氷を切り出し、口にして暑気を払う行事が行われていた。しかし当時、氷は庶民には手の届かない高級品。氷をかたどった三角のういろう(または“しんこ”)を食して、夏を無事に越せるよう祈った。上にのっている小豆は邪気をはらう魔除けのしるし。三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれている。水無月晦日の神事「夏越の祓」の「夏越」という言葉には「和(なご)す」の意味があるそうで、悪鬼邪鬼を和まするのが夏越の祓といって、今では夏越の祓えにあわせて6月30日に水無月を食べることも多いようだ。平安の昔より変わらない京の夏の酷暑。半年間の罪穢れをはらい、夏を無事に過ごしたいという願いをこめた神事「夏越の祓」とあわせて、庶民が「水無月」を食べる習慣も根付いたのだよね。
兎に角、今日は、1年の半年目の区切りの日。12月と同様、色々な面で、やるべきことをやっていないかどうかなど、健康面とともに、これからの半年のために見直しておく日にしておいても良いよね。 
(図:夏越祓『年中行事大成』国立公文書館蔵。NHKデーター情報部編ビジュアル百科「江戸事情」より)
参考:
夏越の祓
http://www.tabiken.com/history/doc/N/N210R100.HTM
大祓 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%A5%93
http://www.isejingu.or.jp/
大和国一之宮三輪明神大神神社
http://www.oomiwa.or.jp/
京都の和菓子・水無月(みなづき)
http://www.kanshundo.co.jp/sweet/smr/minazuki/index.htm
能 「水無月祓」 世阿弥
http://www.nohbutai.com/contents/05/07ma/2minaduki.htm
万葉集: 茅萱(ちがや)を詠んだ歌
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/flower/chigaya.html

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1 コメント

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Unknown (しゅーまん2号)
2007-03-30 15:42:44
夏越の祓、水無月祓の関係で、tbさせていただきました。記事面白く読ませていただきました。ありがとう。
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