日本記念日協会の今日(11月22日 )の記念日を見ると、『ペットたちに「感謝」する日 』があった。
由来を見ると”私たちと生活を共にし、喜びや悲しみ、生きがいを与えてくれるペットたちに、日頃の感謝の気持ちをあらわし、人と動物の正しい関係を考える日。すべてのペットが幸せになれるように、また野生動物や自然環境のことを多くの人に考えてもらいたいとの願いからピーツーアンドアソシエイツ株式会社が制定。日付はペットの代表の犬と猫の鳴き声からの語呂合わせから。英語では「THANKS PETS DAY」。”・・とあった。
このペット(英語:Pet)とは、広辞苑などでは、愛玩を目的として飼育される生物、つまり、愛玩動物をいっている。一般的には、さえずりを聞いたり、美しい色彩や姿を観賞したり、かわいいしぐさを楽しんだりするなどにより、人の日常生活に潤いを与えるために飼育されている動物であるが、愛玩用ではなく、実用的な理由に拠る目的で飼っているものを家畜という。ペットと家畜の歴史は古く、狩猟において助けとなるイヌ(犬)、農耕において害獣となるネズミなどを駆除してくれるネコ(猫)、やイタチのような小型肉食獣が珍重されていた。
特に犬の場合は、はっきりした主従関係を好む習性から、家族の一員として扱われた歴史が長く、欧米では、古来、現代まで王侯貴族や歴代大統領から一般市民の間で愛玩用として飼われていたが、また、護衛用、狩猟用などを目的としても飼われており、これらの目的で飼っている多数の愛犬家がいる。それに、今日では、このほか、単なる労働力を超えて人間の生活を補助する介助犬や身体障害者補助犬などもおり、これらを飼っている人は、ただ可愛いといってペットを飼っている人以上に愛し大切にしているだろう。
又、犬同様に古くから飼われているネコ科の動物は古代エジプトにおいて神格化されたせいもあって、高貴な身分に相応しい愛玩動物として扱われ(以下参考の※:「古代エジプトの猫崇拝」参照)、実用的な用途よりも、より今日のペットに近い存在として飼われてきたようである。また農耕文化にも関連して、ネコやイタチ・キツネのような小型動物を捕食する肉食獣を、穀物を食害から守る益獣として珍重していた文化が世界各地に見出され、好んで保護され飼育されていた事情が見られる。このように、古来家畜とペットの境界は曖昧で、飼育する側の社会的地位によって、その境界は更に曖昧な物であったようだ。
この「ペット」という言葉がマスコミに登場したのは何時頃だろうか?
私の蔵書の中の朝日クロニクル「週刊20世紀」の1927-28年号には、“1928(昭和3)年の流行にはシェパード飼育(上野のシェパード展大成功)”の記載があり、又、同誌別冊”ぜいたくの100年”には、“昭和に入り日本で最初のペットブームが起った。当時の人気犬種トップはシェパード。写真(冒頭に掲載のもの)は1931(昭和6)年6月に雑誌に掲載されたもので、この黒いシェパードの値段が3500円と言うのにはびっくり。小学校の先生の初任給45円から55円。ダットサン乗用車の最高モデルが1900円という時代である。”・・・と記載されており、1931(昭和6)年頃に、「ペット」と言う言葉も使われ出したのだろう。
そういえば、第二次世界大戦後のまだ私が子供の頃は、人が食べる物もにも不自由をし、世間には住む家もない浮浪者が多く居た時代、野良犬や野良猫も多くいたが、保険所の野犬刈りが自転車に乗って針金製だと思うが、それでできた投げ縄のような道具を野良犬の首に投げかけて捕獲していた。捕獲され、キャンキャンと泣き叫ぶ犬が可哀想で近所の人に聞くと、狂犬病予防のために捕獲しているのであり、捕獲された犬は殺されてしまうのだと聞かされショックを覚えた。それで、いつも家の近所の草むらに居た野良犬の子供を拾ってきて母親に無理を言って家で飼っていた。その当時私の家は、父の商売が上手くいっていた時なので、贅沢は出来ないが、なんとか食べるものには事欠かなかったので、許しを貰って、私たちが食べているものの残り物、残飯に鰹節や味噌汁を降りかけたようなものを食べさせていたが、よく懐き、一緒に楽しく遊んだのを思い出した。当時庶民が飼っている犬は殆どが雑種であったが、近くの大金持ちの家には大きなシェパードが番犬として飼われていた。この頃純粋な外国種の犬と言えば、シェパードか、ドーベルマン、猫ではペルシャネコとかだったが、このような動物を飼ってる家は、大金持の証のようなものであった。戦後の混乱期から高度成長期にかけて、番犬として白い毛並みの小型犬スピッツが爆発的に流行したことがある。何でも最盛期には、日本で登録された犬の約4割を占めたほどの人気犬種だったという。
戦後の時代とは異なり、経済的にも豊かになった近年は、凄いペットブームが起きているが、私の家の周囲でも犬や猫を飼っている家が急増。それにペット好きの家では1匹や2匹ではなく数匹飼っているところも多い。家の近くの児童公園などに行くと犬を連れた人達のたまり場となっているところもある。そして、今では、色んな品種の犬や猫が飼われているが、飼っている人達も、まるでファッションと同じように、他の人達と少しでも毛色の異なる変わった種を競って飼っている感じすらする。
それでは、実際に、どれだけの人が今ペットを飼っているのだろうか?。内閣府により、2003(平成15)年7年度の世論調査の一環として「動物愛護に関する世論調査」が実施され、その結果が取りまとめられ、公表されている(以下参考の※:「動物愛護に関する世論調査【内閣府大臣官房政府広報室〕」参照。)が、それを見ると、家庭で犬や猫などのペットを「飼っている」と答えた者の割合は36.6%となっており、約3人に1人以上が飼っている計算になり、ペットを「飼っている」人が「どんな動物」を飼っているかについては「犬」を挙げた者の割合が62.4%と最も高く、以下、「猫」(29.2%)、「魚類」(11.7%)などの順となっており、これは、予想通りであるが、「鳥類」は激減しているようだ)。
ペットとして最も人気の高い犬と、猫について、以下参考に記載の※:「ペットフード工業会の2009(平成21)年ペットフード工業会ニュース「 第15回犬猫飼育率全国調査」」でもう少し詳細なデーターを見ると、ここでは、所帯別の統計になっているが、“飼育所帯率は犬18.2%(昨年度18.9%)、猫14.4%(同:14.4%)。この飼育所帯率から推計される飼育頭数は、犬が1,310万1千頭、猫は1,373万8千頭で、犬・猫合計では2,683万9千頭となり、平。又、これは、1994(平成6)年10月に実施した第1回犬猫ネコ飼育率全国調査の結果と比較すると、犬の飼育頭数は約907万頭から約1310万頭へと約1.4倍に、猫は約616万頭から約1089万頭へと約1.8倍にも増加している。それに、特徴的なこととして、一般にシニアと言われている7歳以上の犬が全体の55.3%(昨年度:51.0%)、猫が47.4%(昨年度: 45.8%)を占め、更に、老齢と言われる10歳以上の犬は29.3%(昨年度:29.0%)、猫が31%(昨年度:28.3%)を占めており、昨年に続き高齢化が更に進んでる。高齢化の要因としては、適切に栄養バランスの取れたペットフードの普及に加え高齢のペットのニーズを配慮したシニア用ペットフードの充実・改善があること、獣医療の更なる進化、室内飼いの増加などが考えられているという。
日本でペットを飼育する者は、動物の虐待の防止や公衆衛生の観点から、「動物の愛護及び管理に関する法律」や「狂犬病予防法」などの法令により定められた義務を負う。
内閣府の「動物愛護に関する世論調査」の回答からはペットの飼い方に関して、「飼っている」犬または猫へ飼い主が誰であるかわかるように所有者明示を「していない」と答えた割合が犬の場合が65.4%、猫の場合80.9%にも登っており、去勢・不妊の「手術をしていない」と答えた者の割合も犬の場合、73.6%、猫でも28.1%ある。又、どこにでも出入する猫の飼育方法について、部屋の中ではなく自由に「放し飼いにしている」と答えた者の割合が23.8%もおり、「動物の愛護及び管理に関する法律」の周知度では、そういう法律ガあることを知らなかった46,8%、法律があることは知っているが、内容は良く知らない32,3%と、ペットブームの中で、西欧など先進国と比べると飼い主の意識の低さが感じられる。
日本の場合、1950(昭和25)年の狂犬病予防法施行による飼い犬の登録とワクチン接種の義務化、徹底した野犬の駆除などによって1956(昭和31)年以来、犬、人、共に狂犬病の発生はないものの、犬による咬傷(こうしょう=かまれたきず)事故が届出だけで毎年6,000件以上報告される現状で(以下参考の※:「日本獣医師会:狂犬病対策についてPDF」参照)、犬への狂犬病ワクチンの接種率は近年低下しており、厚生労働省の調査による2008(平成20 )年度の登録頭数は約6,805千頭、予防注射頭数約5,096千頭であり、その接種率は74.9% (以下参考の※:「厚生労働省:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等 」参照)だが、これを、先に書いた同年のペットフード工業会の全国調査による犬の飼育頭数約 13,101千頭(以下参考に記載の※:「厚生労働省:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等」参照)から割り出される未登録犬(13,101-6,805=約6296千頭)も含めての予防注射実施率は約38,9%にしかならず、流行を防ぐために必要とされるWHOガイドラインの70%を遥かに下回っている。
犬の飼い主には、現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること、飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること、犬の鑑札と予防注射済票を飼い犬に装着することが法律により義務付けられているが、日本では、「室内で小型犬を飼う人が増え、狂犬病の心配はないと思い、最初の予防注射に合わせて行う登録もしない飼い主が多くなっている」という。日本では今までに狂犬病の発生自体がほとんどなかったことが、意識の低さに繋がっているのだろうが、国内で感染する可能性がなくなったわけではなく、接種しなかった場合は狂犬病予防法により罰金刑などが科される可能性があることを承知しておいて欲しい。
それは、さておき、ペットとしては、昔から、犬や猫、それに、小鳥、金魚、錦鯉などが相場と決まっていたものだが、昨今はこれらの小動物に飽き足らず、なお珍奇なものを求めようとする風潮が高まり、ペットショップにはアライグマなどの野生動物も姿をみせるようになった。その範囲も著しく広がり、前出のもののほかにシマリス、ハムスター、ミドリガメをはじめとする爬虫(はちゅう)類、アメリカザリガニやカブトムシその他の節足動物も人気があるが、中には、ライオンやワニまで販売している業者がある。
かって、ペットブームの果てに起った大騒動が報じられたのが、1978(昭和53)年のことである。朝日クロニクル「週刊20世紀」でその年の事件を拾うと、
「3月3日、ペットとして飼っていた2頭のライオンに飼い主がかみ殺された事件があった。」これについて、“このライオンは生後10ヶ月のオスとメスで飼い主が餌を与えようと折の中に入ったところを襲われた。東京都立多摩動物公園のライオン飼育係は「オスとメスを同時に買うなんて無茶。小さいときから飼育しているライオンは、普通はおとなしいが、発情すると興奮状態になる。1頭だけなら飼い主を襲うようなことは余りないが、オスとメスの2頭になるとライオンの方に協調性が出来て危険と警告している。”(3月3日付け朝日新聞、)。
「4月2日夕、埼玉県小川町の東武東上線の通勤電車わきにクマが姿を現したのを近くの人や通勤客3人が目撃」と言う事件があった。“地元ハンターらがクマ狩に出動。足跡や木の幹に残された爪跡から確認されたのは2頭。うち1頭は買われていたクマが山に放たれて野生化したと見られている。”(4月27日朝日新聞)
「12月4日夜、東京都北区の帰宅途中の男性から「自宅近くでヒョウのような動物と格闘して逃げてきた」と王子署に110番があった」。“この動物は近くに住むイタリア人が飼っている南米山のヤマネコのオセロット種で、家から逃げ出したものと分った。”(12月5日付朝日新聞)。・・・といったところである。
これ以降も同様の事件がよく起こっているが、よくもこんな動物を飼う人が居るものだが、そのような動物が業者により自由に売買されていること自体に問題を感じる。
因みに、この事件の最初のライオンが飼い主をかみ殺した事件であるが、そのライオンを売った人物が、あの1995 (平成7)年に起った「埼玉愛犬家連続殺人事件」の主犯の男であったそうある。本当にあくどい商売をしていたようである。以下参照。
ペットブームは犬や猫だけではない。(YOMIURI ONLINE)
http://otona.yomiuri.co.jp/history/090303.htm
このような、猛獣の販売など特異な例は別として、ペットブームに乗って、ペットショップがホームセンターなどに出展しているのを見ていると、2段3段に重ねられたケージや同様のショーケースなどに子犬や子猫がまるで商品のように陳列されて販売されている。そんなショーケースの中の愛くるしい子犬や子猫たちに値段票が貼付され、その前で、可愛い可愛いと言いながらショーケースの中を覗き込みながら品定めをしている親子や夫婦、若者連れ・・・。子犬は、生後3ヶ月位の間は親や兄弟と一緒に過ごす事で犬社会での犬同士の付き合い方を学んでいくというが、ペットショップなどではそれに満たない2ヶ月位の子犬が売られていると聞くが、環境省が2003(平成15)年にまとめた「ペット動物流通販売実態調査報告書」という調査報告がある。2001年度に犬・猫、その他のペットを取り扱う業者へのアンケート、聞き込み、文献調査を基にして行った調査結果の報告であるが、その中に、犬・猫の販売日齢を調べたものがある。犬の販売日齢は生後40日から50日未満が全体の53%。猫の販売日齢は生後50日から60日未満が全体の41%となっており、子犬や子猫が生後1ヶ月から2ヶ月以内に親元を離されて販売されているケースがもっとも多い実態を示している。
又、同報告書の中で、年間生産数について、2001年の犬猫の推定年間生産数は、約97,800頭(犬:89,300 猫:8,500)であるが、このうち、生産者から流通にわたる子犬・子猫の数は約88,900頭(90.9% 。8,900頭の減少)であり、その差は主に病死だそうだ。又、流通からペット飼育者レベル(飼い主)までに到達したのは約77,000頭(86.6% 11,900頭の減少)となっており、主な理由は病死、及び流通業者が繁殖用に確保したものと言うが、繁殖用に確保された頭数はそう多くないと思われ、相当な子犬や子猫が飼い主の手に渡る前に病死していることになる。小さいうちから飼いたいという飼育者の強い要望もあり、業者の幼齢期販売日齢の問題や、これら小動物を二次製品と同じ様な感覚で量産をし過ぎ・・・といったことにも原因があるのだろう。同報告書は、以下参考の※:「動物の愛護と適切な管理(環境省自然環境局)」の中の関連資料 >パンフレット・報告書等の中にあるのでそれを見られると良い。
そんな生まれたばかりの小さな子犬がペットショップに来て、1頭だけで狭いケージに入れられ、大勢の人間達に毎日毎日覗き込まれていたらさぞストレスも沸くであろう。私など、そのようなことを考えると可愛さよりも哀れさが先に感じられて仕方がない。
私たち夫婦も、子供たちが巣立って久しく、夫婦2人だけの生活であり、2人とも犬が大好きなので、何度か、小型の犬を飼おうかと話し合ったことがあるが、自分達の年令を考えるとどちらが早く亡くなるか分らないし、又、十分に世話をしてやる自信がないので、飼わずに我慢している。
先のデーターとは別に、以下参考に記載の※:「ALIVE(地球生物会議)」が、動物行政を所轄する全国の自治体に犬猫の処分数、その他動物行政に関する現状を把握するためにアンケートを実施した結果(平成19年度【2007年度】全国犬猫処分数および動物行政アンケート結果)を見ると、行政によって引き取れたり捕獲された者のうち返還されたもの等を覗く犬や猫が、2007年度中に殺処分された数は 犬:100,963匹、猫 :209,494匹合計 310,457 匹もいると・・・言う。
ペットを飼う理由は、時代を追って変化しており、古くからの犬ならば防犯用、ネコならばネズミを捕るといった実用の目的から「癒し」へと移行しており、近年では従来の所有物扱いのペットに対して、生活して行く上での伴侶などとする、より密接な関係を人間と持っている動物を指す言葉として、ペットに替わって「コンパニオンアニマル」という概念も普及してきている。しかし、その一方で、哀しい運命を辿っている動物が沢山居るのである。ペットを販売する者もペットを飼う者、関係法律をきっちりと守り、大切に育ててほしいものだ。
(画像は、シェパード。朝日クロニクル「週刊20世紀」”ぜいたくの100年”より)
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由来を見ると”私たちと生活を共にし、喜びや悲しみ、生きがいを与えてくれるペットたちに、日頃の感謝の気持ちをあらわし、人と動物の正しい関係を考える日。すべてのペットが幸せになれるように、また野生動物や自然環境のことを多くの人に考えてもらいたいとの願いからピーツーアンドアソシエイツ株式会社が制定。日付はペットの代表の犬と猫の鳴き声からの語呂合わせから。英語では「THANKS PETS DAY」。”・・とあった。
このペット(英語:Pet)とは、広辞苑などでは、愛玩を目的として飼育される生物、つまり、愛玩動物をいっている。一般的には、さえずりを聞いたり、美しい色彩や姿を観賞したり、かわいいしぐさを楽しんだりするなどにより、人の日常生活に潤いを与えるために飼育されている動物であるが、愛玩用ではなく、実用的な理由に拠る目的で飼っているものを家畜という。ペットと家畜の歴史は古く、狩猟において助けとなるイヌ(犬)、農耕において害獣となるネズミなどを駆除してくれるネコ(猫)、やイタチのような小型肉食獣が珍重されていた。
特に犬の場合は、はっきりした主従関係を好む習性から、家族の一員として扱われた歴史が長く、欧米では、古来、現代まで王侯貴族や歴代大統領から一般市民の間で愛玩用として飼われていたが、また、護衛用、狩猟用などを目的としても飼われており、これらの目的で飼っている多数の愛犬家がいる。それに、今日では、このほか、単なる労働力を超えて人間の生活を補助する介助犬や身体障害者補助犬などもおり、これらを飼っている人は、ただ可愛いといってペットを飼っている人以上に愛し大切にしているだろう。
又、犬同様に古くから飼われているネコ科の動物は古代エジプトにおいて神格化されたせいもあって、高貴な身分に相応しい愛玩動物として扱われ(以下参考の※:「古代エジプトの猫崇拝」参照)、実用的な用途よりも、より今日のペットに近い存在として飼われてきたようである。また農耕文化にも関連して、ネコやイタチ・キツネのような小型動物を捕食する肉食獣を、穀物を食害から守る益獣として珍重していた文化が世界各地に見出され、好んで保護され飼育されていた事情が見られる。このように、古来家畜とペットの境界は曖昧で、飼育する側の社会的地位によって、その境界は更に曖昧な物であったようだ。
この「ペット」という言葉がマスコミに登場したのは何時頃だろうか?
私の蔵書の中の朝日クロニクル「週刊20世紀」の1927-28年号には、“1928(昭和3)年の流行にはシェパード飼育(上野のシェパード展大成功)”の記載があり、又、同誌別冊”ぜいたくの100年”には、“昭和に入り日本で最初のペットブームが起った。当時の人気犬種トップはシェパード。写真(冒頭に掲載のもの)は1931(昭和6)年6月に雑誌に掲載されたもので、この黒いシェパードの値段が3500円と言うのにはびっくり。小学校の先生の初任給45円から55円。ダットサン乗用車の最高モデルが1900円という時代である。”・・・と記載されており、1931(昭和6)年頃に、「ペット」と言う言葉も使われ出したのだろう。
そういえば、第二次世界大戦後のまだ私が子供の頃は、人が食べる物もにも不自由をし、世間には住む家もない浮浪者が多く居た時代、野良犬や野良猫も多くいたが、保険所の野犬刈りが自転車に乗って針金製だと思うが、それでできた投げ縄のような道具を野良犬の首に投げかけて捕獲していた。捕獲され、キャンキャンと泣き叫ぶ犬が可哀想で近所の人に聞くと、狂犬病予防のために捕獲しているのであり、捕獲された犬は殺されてしまうのだと聞かされショックを覚えた。それで、いつも家の近所の草むらに居た野良犬の子供を拾ってきて母親に無理を言って家で飼っていた。その当時私の家は、父の商売が上手くいっていた時なので、贅沢は出来ないが、なんとか食べるものには事欠かなかったので、許しを貰って、私たちが食べているものの残り物、残飯に鰹節や味噌汁を降りかけたようなものを食べさせていたが、よく懐き、一緒に楽しく遊んだのを思い出した。当時庶民が飼っている犬は殆どが雑種であったが、近くの大金持ちの家には大きなシェパードが番犬として飼われていた。この頃純粋な外国種の犬と言えば、シェパードか、ドーベルマン、猫ではペルシャネコとかだったが、このような動物を飼ってる家は、大金持の証のようなものであった。戦後の混乱期から高度成長期にかけて、番犬として白い毛並みの小型犬スピッツが爆発的に流行したことがある。何でも最盛期には、日本で登録された犬の約4割を占めたほどの人気犬種だったという。
戦後の時代とは異なり、経済的にも豊かになった近年は、凄いペットブームが起きているが、私の家の周囲でも犬や猫を飼っている家が急増。それにペット好きの家では1匹や2匹ではなく数匹飼っているところも多い。家の近くの児童公園などに行くと犬を連れた人達のたまり場となっているところもある。そして、今では、色んな品種の犬や猫が飼われているが、飼っている人達も、まるでファッションと同じように、他の人達と少しでも毛色の異なる変わった種を競って飼っている感じすらする。
それでは、実際に、どれだけの人が今ペットを飼っているのだろうか?。内閣府により、2003(平成15)年7年度の世論調査の一環として「動物愛護に関する世論調査」が実施され、その結果が取りまとめられ、公表されている(以下参考の※:「動物愛護に関する世論調査【内閣府大臣官房政府広報室〕」参照。)が、それを見ると、家庭で犬や猫などのペットを「飼っている」と答えた者の割合は36.6%となっており、約3人に1人以上が飼っている計算になり、ペットを「飼っている」人が「どんな動物」を飼っているかについては「犬」を挙げた者の割合が62.4%と最も高く、以下、「猫」(29.2%)、「魚類」(11.7%)などの順となっており、これは、予想通りであるが、「鳥類」は激減しているようだ)。
ペットとして最も人気の高い犬と、猫について、以下参考に記載の※:「ペットフード工業会の2009(平成21)年ペットフード工業会ニュース「 第15回犬猫飼育率全国調査」」でもう少し詳細なデーターを見ると、ここでは、所帯別の統計になっているが、“飼育所帯率は犬18.2%(昨年度18.9%)、猫14.4%(同:14.4%)。この飼育所帯率から推計される飼育頭数は、犬が1,310万1千頭、猫は1,373万8千頭で、犬・猫合計では2,683万9千頭となり、平。又、これは、1994(平成6)年10月に実施した第1回犬猫ネコ飼育率全国調査の結果と比較すると、犬の飼育頭数は約907万頭から約1310万頭へと約1.4倍に、猫は約616万頭から約1089万頭へと約1.8倍にも増加している。それに、特徴的なこととして、一般にシニアと言われている7歳以上の犬が全体の55.3%(昨年度:51.0%)、猫が47.4%(昨年度: 45.8%)を占め、更に、老齢と言われる10歳以上の犬は29.3%(昨年度:29.0%)、猫が31%(昨年度:28.3%)を占めており、昨年に続き高齢化が更に進んでる。高齢化の要因としては、適切に栄養バランスの取れたペットフードの普及に加え高齢のペットのニーズを配慮したシニア用ペットフードの充実・改善があること、獣医療の更なる進化、室内飼いの増加などが考えられているという。
日本でペットを飼育する者は、動物の虐待の防止や公衆衛生の観点から、「動物の愛護及び管理に関する法律」や「狂犬病予防法」などの法令により定められた義務を負う。
内閣府の「動物愛護に関する世論調査」の回答からはペットの飼い方に関して、「飼っている」犬または猫へ飼い主が誰であるかわかるように所有者明示を「していない」と答えた割合が犬の場合が65.4%、猫の場合80.9%にも登っており、去勢・不妊の「手術をしていない」と答えた者の割合も犬の場合、73.6%、猫でも28.1%ある。又、どこにでも出入する猫の飼育方法について、部屋の中ではなく自由に「放し飼いにしている」と答えた者の割合が23.8%もおり、「動物の愛護及び管理に関する法律」の周知度では、そういう法律ガあることを知らなかった46,8%、法律があることは知っているが、内容は良く知らない32,3%と、ペットブームの中で、西欧など先進国と比べると飼い主の意識の低さが感じられる。
日本の場合、1950(昭和25)年の狂犬病予防法施行による飼い犬の登録とワクチン接種の義務化、徹底した野犬の駆除などによって1956(昭和31)年以来、犬、人、共に狂犬病の発生はないものの、犬による咬傷(こうしょう=かまれたきず)事故が届出だけで毎年6,000件以上報告される現状で(以下参考の※:「日本獣医師会:狂犬病対策についてPDF」参照)、犬への狂犬病ワクチンの接種率は近年低下しており、厚生労働省の調査による2008(平成20 )年度の登録頭数は約6,805千頭、予防注射頭数約5,096千頭であり、その接種率は74.9% (以下参考の※:「厚生労働省:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等 」参照)だが、これを、先に書いた同年のペットフード工業会の全国調査による犬の飼育頭数約 13,101千頭(以下参考に記載の※:「厚生労働省:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等」参照)から割り出される未登録犬(13,101-6,805=約6296千頭)も含めての予防注射実施率は約38,9%にしかならず、流行を防ぐために必要とされるWHOガイドラインの70%を遥かに下回っている。
犬の飼い主には、現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること、飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること、犬の鑑札と予防注射済票を飼い犬に装着することが法律により義務付けられているが、日本では、「室内で小型犬を飼う人が増え、狂犬病の心配はないと思い、最初の予防注射に合わせて行う登録もしない飼い主が多くなっている」という。日本では今までに狂犬病の発生自体がほとんどなかったことが、意識の低さに繋がっているのだろうが、国内で感染する可能性がなくなったわけではなく、接種しなかった場合は狂犬病予防法により罰金刑などが科される可能性があることを承知しておいて欲しい。
それは、さておき、ペットとしては、昔から、犬や猫、それに、小鳥、金魚、錦鯉などが相場と決まっていたものだが、昨今はこれらの小動物に飽き足らず、なお珍奇なものを求めようとする風潮が高まり、ペットショップにはアライグマなどの野生動物も姿をみせるようになった。その範囲も著しく広がり、前出のもののほかにシマリス、ハムスター、ミドリガメをはじめとする爬虫(はちゅう)類、アメリカザリガニやカブトムシその他の節足動物も人気があるが、中には、ライオンやワニまで販売している業者がある。
かって、ペットブームの果てに起った大騒動が報じられたのが、1978(昭和53)年のことである。朝日クロニクル「週刊20世紀」でその年の事件を拾うと、
「3月3日、ペットとして飼っていた2頭のライオンに飼い主がかみ殺された事件があった。」これについて、“このライオンは生後10ヶ月のオスとメスで飼い主が餌を与えようと折の中に入ったところを襲われた。東京都立多摩動物公園のライオン飼育係は「オスとメスを同時に買うなんて無茶。小さいときから飼育しているライオンは、普通はおとなしいが、発情すると興奮状態になる。1頭だけなら飼い主を襲うようなことは余りないが、オスとメスの2頭になるとライオンの方に協調性が出来て危険と警告している。”(3月3日付け朝日新聞、)。
「4月2日夕、埼玉県小川町の東武東上線の通勤電車わきにクマが姿を現したのを近くの人や通勤客3人が目撃」と言う事件があった。“地元ハンターらがクマ狩に出動。足跡や木の幹に残された爪跡から確認されたのは2頭。うち1頭は買われていたクマが山に放たれて野生化したと見られている。”(4月27日朝日新聞)
「12月4日夜、東京都北区の帰宅途中の男性から「自宅近くでヒョウのような動物と格闘して逃げてきた」と王子署に110番があった」。“この動物は近くに住むイタリア人が飼っている南米山のヤマネコのオセロット種で、家から逃げ出したものと分った。”(12月5日付朝日新聞)。・・・といったところである。
これ以降も同様の事件がよく起こっているが、よくもこんな動物を飼う人が居るものだが、そのような動物が業者により自由に売買されていること自体に問題を感じる。
因みに、この事件の最初のライオンが飼い主をかみ殺した事件であるが、そのライオンを売った人物が、あの1995 (平成7)年に起った「埼玉愛犬家連続殺人事件」の主犯の男であったそうある。本当にあくどい商売をしていたようである。以下参照。
ペットブームは犬や猫だけではない。(YOMIURI ONLINE)
http://otona.yomiuri.co.jp/history/090303.htm
このような、猛獣の販売など特異な例は別として、ペットブームに乗って、ペットショップがホームセンターなどに出展しているのを見ていると、2段3段に重ねられたケージや同様のショーケースなどに子犬や子猫がまるで商品のように陳列されて販売されている。そんなショーケースの中の愛くるしい子犬や子猫たちに値段票が貼付され、その前で、可愛い可愛いと言いながらショーケースの中を覗き込みながら品定めをしている親子や夫婦、若者連れ・・・。子犬は、生後3ヶ月位の間は親や兄弟と一緒に過ごす事で犬社会での犬同士の付き合い方を学んでいくというが、ペットショップなどではそれに満たない2ヶ月位の子犬が売られていると聞くが、環境省が2003(平成15)年にまとめた「ペット動物流通販売実態調査報告書」という調査報告がある。2001年度に犬・猫、その他のペットを取り扱う業者へのアンケート、聞き込み、文献調査を基にして行った調査結果の報告であるが、その中に、犬・猫の販売日齢を調べたものがある。犬の販売日齢は生後40日から50日未満が全体の53%。猫の販売日齢は生後50日から60日未満が全体の41%となっており、子犬や子猫が生後1ヶ月から2ヶ月以内に親元を離されて販売されているケースがもっとも多い実態を示している。
又、同報告書の中で、年間生産数について、2001年の犬猫の推定年間生産数は、約97,800頭(犬:89,300 猫:8,500)であるが、このうち、生産者から流通にわたる子犬・子猫の数は約88,900頭(90.9% 。8,900頭の減少)であり、その差は主に病死だそうだ。又、流通からペット飼育者レベル(飼い主)までに到達したのは約77,000頭(86.6% 11,900頭の減少)となっており、主な理由は病死、及び流通業者が繁殖用に確保したものと言うが、繁殖用に確保された頭数はそう多くないと思われ、相当な子犬や子猫が飼い主の手に渡る前に病死していることになる。小さいうちから飼いたいという飼育者の強い要望もあり、業者の幼齢期販売日齢の問題や、これら小動物を二次製品と同じ様な感覚で量産をし過ぎ・・・といったことにも原因があるのだろう。同報告書は、以下参考の※:「動物の愛護と適切な管理(環境省自然環境局)」の中の関連資料 >パンフレット・報告書等の中にあるのでそれを見られると良い。
そんな生まれたばかりの小さな子犬がペットショップに来て、1頭だけで狭いケージに入れられ、大勢の人間達に毎日毎日覗き込まれていたらさぞストレスも沸くであろう。私など、そのようなことを考えると可愛さよりも哀れさが先に感じられて仕方がない。
私たち夫婦も、子供たちが巣立って久しく、夫婦2人だけの生活であり、2人とも犬が大好きなので、何度か、小型の犬を飼おうかと話し合ったことがあるが、自分達の年令を考えるとどちらが早く亡くなるか分らないし、又、十分に世話をしてやる自信がないので、飼わずに我慢している。
先のデーターとは別に、以下参考に記載の※:「ALIVE(地球生物会議)」が、動物行政を所轄する全国の自治体に犬猫の処分数、その他動物行政に関する現状を把握するためにアンケートを実施した結果(平成19年度【2007年度】全国犬猫処分数および動物行政アンケート結果)を見ると、行政によって引き取れたり捕獲された者のうち返還されたもの等を覗く犬や猫が、2007年度中に殺処分された数は 犬:100,963匹、猫 :209,494匹合計 310,457 匹もいると・・・言う。
ペットを飼う理由は、時代を追って変化しており、古くからの犬ならば防犯用、ネコならばネズミを捕るといった実用の目的から「癒し」へと移行しており、近年では従来の所有物扱いのペットに対して、生活して行く上での伴侶などとする、より密接な関係を人間と持っている動物を指す言葉として、ペットに替わって「コンパニオンアニマル」という概念も普及してきている。しかし、その一方で、哀しい運命を辿っている動物が沢山居るのである。ペットを販売する者もペットを飼う者、関係法律をきっちりと守り、大切に育ててほしいものだ。
(画像は、シェパード。朝日クロニクル「週刊20世紀」”ぜいたくの100年”より)
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