今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

テルアビブ空港乱射事件のあった日

2008-05-30 | 歴史
今日(5月30日)は、「テルアビブ空港乱射事件」のあった日である。
テルアビブ空港乱射事件とは、1972(昭和47)年の今日(5月30日)イスラエルテルアビブのロッド国際空港(現在のベン・グリオン国際空港)で発生したテロ事件である。別名はロッド空港乱射事件。
犯行を実行したのは、パレスチナに拠点を置いていた日本赤軍(Japanese Red Army 略称JRA)幹部の奥平剛士(当時27歳)と、京都大学の学生だった安田安之(当時25歳)、鹿児島大学の学生だった 岡本公三(当時25歳)ら日本人3名であった。
事件をおこした日本赤軍は、日本における共産主義革命を目指して、国内で警察署の襲撃や、銀行強盗等の凶悪な犯罪を犯ししていた日本の過激派グループが、冷戦下の1971(昭和46)年に、共産主義者同盟赤軍派の「国際根拠地論」に基づき、海外に革命の根拠地を求めて脱出した後、結成された新左翼系国際武装テロ組織である。
日本国内で武力闘争に限界を感じた赤軍派中央委員の元明大生重信房子は、「あさま山荘事件」を起こしていた連合赤軍と決別、同事件が制圧された後すでに出国していた元京都パルチザンの奥平剛士の後を追い、彼とともにパレスチナへ入り、パレスチナ解放機構(PLO)の武装ゲリラ組織であるPFLPの支援を得て同地に海外赤軍派(日本赤軍)として創設した。
1972(昭和47)年5月30日午後10時30分(日本時間31日午前5時30分)、パリ発の航空機でイスラエルの表玄関であるテルアビブのロッド国際空港に着いた奥平ら3人が、税関で受け取ったスーツケースから取り出した自動小銃で空港ロビーにいた係官や乗客を乱射し、手投げ弾を爆発させた。イスラエルの著名な科学者ら24人が死亡、72人が負傷する大惨事となった。乱射の実行犯だった奥平と安田の2人はイスラエル当局による銃撃で死亡、岡本は、逮捕された。
因みに、この岡本公三の兄は1970(昭和45)年3月に起きた日本における最初のハイジャック事件である「よど号」ハイジャック事件に参加した赤軍派の京大生・岡本武であり、ハイジャックしたグループは乗っ取った日航機で北朝鮮へ不法入国した。
イスラエル軍に逮捕された岡本公三は、同国の軍事法廷で終身刑の判決を受け、ラムロ刑務所に収容された。
同じロッド空港で、同月8日に、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)はサベナ航空機(ベルギーの国営旅客機)をハイジャックして逮捕されている同志の解放をイスラエル政府に要求していたが、イスラエル政府が要求を無視して強硬手段に出てPFLPのゲリラを射殺した。そこで、PFLPはその報復としてこのロッド国際空港襲撃を計画したが、アラブ人では空港の厳重な警戒を潜り抜けるのは困難と予想されたため、日本赤軍の奥平に協力を依頼し、日本人によるロッド国際空港の襲撃が行われたものである。(岡本公三によるとテルアビブ空港乱射事件は当初の計画では丸岡修を含めた4人で行う予定であったが、丸岡が別行動を取ったために3人で襲撃したと供述しているそうだ。)
日本赤軍は当初は「アラブ赤軍」と呼称していたが、ロッド国際空港での乱射事件は日本赤軍旗揚げをアピールするための軍事行動でもあったようだ。
丸岡修は、その後、テルアビブ空港乱射事件のあった翌・1973(昭和48)年、日本赤軍メンバーとしてドバイ日航機ハイジャック事件、1977年のダッカ日航機ハイジャック事件に主導的立場で関与したとして国際指名手配を受けた。(1987(昭和62)年11月に東京で警察に逮捕された。)
ダッカ日航機ハイジャック事件のことは、以前にこのブログ、9月28日「ダッカ日航機ハイジャック事件」の起こった日でも書いたが、犯人グループは人質の身代金としてアメリカドルで600万ドル(当時の為替レート〈1USドル≒約266円〉で約16億円)と、日本で服役及び勾留中の、メンバー・日本赤軍に加えようと目をつけた囚人(新左翼活動家や、「獄中闘争」を評価した一般刑事犯)9名の釈放を要求。日本国政府は議論の末、10月1日に福田赳夫首相(二世議員の現:福田康夫首相は長男)が「人命は地球より重い」と述べて、身代金の支払い及び、超法規的措置としてメンバーなどの引き渡しを決断。身代金と、釈放に応じたメンバーなど6名(3名は拒否。内訳は、赤軍派系連合赤軍メンバー1名と、系列外の新左翼活動家2名)を日本航空特別機でダッカへ輸送した。この時の日本政府の対応は、この頃すでに「テロリストや過激派と交渉せず」との欧米を中心とした国際的非難を受け、一部諸外国からは「日本はテロまで輸出するのか」などとまで非難された。予断だが、そのような、軟弱な対応しか出来なかった首相(親)から、「お前は政治には向いていないよ」といわれた頼りない息子が、何の決断も出来ずに、この混迷の時代にお茶を濁した政治をしているのは、「そんな首相を選んだ自民党が悪いよ」・・・としか言いようが無いね。
ロッド国際空港乱射事件を起こして、逮捕され、イスラエルの軍事法廷で1972(昭和47)年8月1日、終身刑が確定した岡本は、イスラエルとPFLP-GC(パレスチナ解放人民戦線総司令部)との捕虜交換により1985(昭和60)年に赤軍に戻った。その後、1997年にレバノンに潜伏していた日本赤軍メンバー5人が検挙され、岡本以外は禁固刑の執行後、日本に送還されたが、岡本については、日本の捜査当局が(既にイスラエルで処罰されている)テルアビブ事件の刑事責任を問おうとしていることを「一事不再理に反する政治的迫害」であるとして、レバノン政府は岡本の政治亡命を認めた。なお、警察庁では現在でも岡本を指名手配中である。
日本赤軍はロッド国際空港乱射事件以後、各地で軍事活動としてのテロを展開していたが、その後、世界情勢も一変し日本赤軍の活動は壊滅状態となった。最高幹部の重信房子も偽名パスポートで日本に入国していた2000(平成12)年大阪府高槻市で公安当局に逮捕され日本赤軍の活動は終焉した。
2002(平成14)年3月23日、テレビ朝日系「ザ・スクープ」で鳥越俊太郎による岡本へのインタビューが放映されたことがある。イスラエルに拘置されていた時の影響で精神疾患を患い、処方薬を服用中とされる岡本が、事件のことについては淡々と話していた。この番組のHP(以下参考に記載の「テレビ朝日|ザ・スクープ」参照)では、過去の放送分が動画配信され視聴することができることにななっているが3月23日放送分だけは、事情によって観ることはできない。理由等は以下参照。
■3月23日放送【最後の赤軍兵士・岡本公三30年目の独占初告白「私はなぜ無差別テロを行ったのか ~その数奇な半生~】
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/update/special_back/20020323_010.html
日本ほか先進諸国で批判されるテロ事件を起こした岡本ではあるが、レバノンなどでは英雄として取り上げられることも多いのである。それは、アメリカなどに対して反発している多くのテロ集団が今なお、後を経たないことを見ても判る。テロが良いことであるはずはないが、とてつもなく大きな力を持つものに対する弱いものの対抗手段は最終的に『テロ』しかないとも言われる。大事なことは、たとえ、抵抗勢力とはいえテロをやらなくてはならないほどにまで追い詰めないようすることが肝要なのではないだろうか・・・。
(画像は、テルアビブ・ロッド空港の乱射現場。アサヒクロニクル「週刊20世紀」より)
テルアビブ空港乱射事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%93%E3%83%96%E7%A9%BA%E6%B8%AF%E4%B9%B1%E5%B0%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6
ロッド空港乱射事件 / ワードBOX / 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/display/373/
事件録・日本赤軍事件
http://yabusaka.moo.jp/nihonsekigun.htm
事件史探求・テルアビブ空港襲撃事件
http://gonta13.at.infoseek.co.jp/newpage365.htm
無限回廊・日本赤軍テルアビブ空港事件
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/teru.htm
強化されたイスラエルの対テロ戦略と日本赤軍の「ロッド空港乱射事件」
http://rerundata.hypermart.net/ura/hexagon/texts/textA2F2/a2f2263.html
日本赤軍及び「よど号」グループの動向
http://www.npa.go.jp/keibi/kokutero1/japanese/0301.html
昭和48年「警察白書」第7章 公安の維持
http://www.npa.go.jp/hakusyo/s48/s480700.html
日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%9D%A9%E5%91%BD%E7%9A%84%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E8%80%85%E5%90%8C%E7%9B%9F%E9%9D%A9%E5%91%BD%E7%9A%84%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E6%B4%BE
あさま山荘事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%95%E3%81%BE%E5%B1%B1%E8%8D%98%E4%BA%8B%E4%BB%B6
ザ・スクープ- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%97
テレビ朝日|ザ・スクープ
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/


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2 コメント

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目には目をでは (Linda)
2008-05-31 07:18:52
よーさん、お早うさんです。
アメリカを代表する大きな暴力に反発する気持ちは分らないではありませんが、目には目をでは問題は解決しないように思います。
テロ (よーさん)
2008-06-01 11:20:39
Lindaさんの仰る通り、テロは絶対によくないし、何の罪もない人達を巻き込むテロは赦せるものでもありません。しかし、とてつもなく大きな権力を持つ国や組織に本当に弱いものがどれだけの対抗できる手段があるでしょうか。又、その人達を助けてやろうと言う人達がどれほど居るのでしょうか。世界中には飢えてなくなっていく人達の多くいる国もまだまだ多くある。アフリカなど豊富な資源があるにもかかわらず多くの子供たちが5歳までに亡くなっています。無知であることもあるでしょうが、恐らく、一部の権力者たちが利権も搾取しているのでしょう。今の時代は昔と違って表立ってデモを起こしても押さえ込まれ、クーデターなどで対抗しても力で抑え込まれてしまいます。ミヤンマーの軍事政権や北朝鮮、中国のチベット問題などを見ればわかります。
それに、たいして、世界の国がどれだけのことができているでしょうか。平和主義者が口では平和を唱えてもどれだけその人達の力になってやっているでしょうか。努力はしていても、何時、解決するでしょうか。その間、確実に多くの人が苦しみそして亡くなっている人が居るのです。人間には我慢にも限界があります。
今、日本でも、強者と弱者がはっきりとしてきており、弱い老人が飢え死んだり、自殺したりしています。又、落ちこぼれた人達がヤケクソになっての犯罪も起こし始めています。そして、そんな落ちこぼれの人達までが、子供や女性、老人といった弱者をターゲットに犯罪を起こしています。今、金のある人はその金の使い道をそのような弱者の救済に使うのではなく、人の生活に欠かせないエネルギーや穀物などへの投資をして、物価を吊り上げあくどい金儲けしています。
普通の人達も経済的に豊かな人達は1個1万5千円のマンゴーが美味しい、大間のマグロが美味しい、100g1万円もする○○牛が美味しいと、テレビでもそんな食べ物の放送ばかりです。いつかは、日本国内でも、どこへも行き場のない人達の中から、テロ行為をする人が現れるのではないかと心配しています。

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