今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

ニュースパニックデー

2006-10-30 | 記念日
1938(昭和13)年の今日(10月30日)、アメリカ・CBCラジオで放送されたSFドラマ『火星人来襲』の中で、演出として「火星人が攻めてきた」という臨時ニュースを流した所、本物のニュースと勘違いされ、アメリカ中で120万人以上が大パニックになったといわれる。
このラジオドラマとして放送された『宇宙戦争』が全米で聴衆にパニックを引き起こした事件は、あまりにも反響が大きく、これがもとでフィクションを放送する場合に一定の規制をかける法律が制定されたほどだという。
そのラジオドラマは、アメリカのCBSネットワークにおけるマーキュリー劇場という番組で放送されたもので、宇宙人が地球(アメリカ)に攻めてきたという内容のものであるが、現場からの報告など、実際のニュース放送のような形で放送された為、多くの市民が現実に起きている出来事と勘違いし、パニック(Panic)を引き起こしたのである。
この作品をプロデュースしたのは、オーソン・ウェルズであった。オーソン・ウェルズは、H.G.ウェルズのSF小説『宇宙戦争(The War of the Worlds)」』※の翻案、『火星人襲来』を放送する際、演出上、舞台を現代アメリカに変え、ヒンデンブルグ号炎上の時を思い出させるような臨時ニュースで始め(全長245メートルの空飛ぶ豪華船の着陸中継をしていたラジオ局のアナウンサーが目の前で起きたあまりの惨事にただ絶句する様子が生々しい臨場感を持って伝えられたという)、以後もウェルズ演じる目撃者による回想を元にしたドキュメンタリー形式のドラマにするなど、前例のない構成や演出と迫真の演技で放送を行った。その結果、聴取者に本物のニュースと間違われパニックを引き起こしたのである。
しかし、ドキュメンタリー形式のドラマの演出に臨場感があったとはいえ、何故、ラジオ番組ぐらいで、これほどのパニックを引き起こしたのだろう?。
それにはドラマ演出のは他に、次のような要因があった。その1つに、この放送がされた当時の時代背景にある。放送がされた1938(昭和13)年当時の合衆国市民は、潜在的に戦争への不安、とりわけナチズム(1933年から1945年までドイツを支配した"国民社会主義ドイツ労働者党、ナチ党”のイデオロギー)の恐怖に怯えていた。また、大恐慌(1929年10月24日の「暗黒の木曜日(Black Thursday)」)の記憶がまだ新しい時であり、人々は飢餓の恐怖を現実的なものとして受け止めていた。そして、2つ目には、偶然性が重なったことである。CBSのマーキュリー劇場は聴取率が非常に低い不人気番組だった(『宇宙戦争』前週の聴取率は3.6%)が、当時アメリカ国民の3人に1人以上が聴取していた国民的人気を誇る裏番組に不人気歌手が登場し、多くの人が局を変えた瞬間、たまたま火星人によるニュージャージー州襲撃のくだりが放送されていた。その上、ワシントン州コンクリートでは偶然にも、停電が起きるというアクシデントがあったといい、このような時代背景や、偶然性が重なったことがパニックに拍車を掛けた原因でもあるといわれている。
パニックとは、突然起こる不安・恐怖(ストレス)による混乱。恐慌ともいい、社会学では、集団が非論理的な行動を取ることをパニック(集団ヒステリーとも)と呼ぶ。一般的に、パニックは閉鎖された危機的状況によって発生しやすいと思われているが、実際には完全に逃げ場が無い場合に於いては、然程(さほど)パニック状態に陥り難い事が知られているそうだ。その例としては、落下中の航空機内等であるが、過去の大規模な航空機事故発生時には、乗客は強いストレスに晒されながらも、一定の理性を保っていたと言う報告が成されている。パニックに陥り、搭乗口をこじ開けて機外に飛び出した人の事例は極めて少ないという。しかし、集団的なパニックが発生した場合、本来は危険度が低い現象にも関わらず、被害が拡大するケースが見られ、この宇宙戦争放送事件でも、ウェルズがドラマの中で再三に渡って、これはフィクションである旨のコメントを入れており、内容も「火星人襲来」という突飛なものであったにもかかわらず、パニックで異常行動をとるのは、やはり、人よりも早く助かりたいとの感覚がそうさせるのだろう。
しかし、ここで、一般の大衆は、テレビやラジオ・新聞などの報道を「信じられないほど信じてしまう」ことに留意すべきであろう。最近は、TVなどでも、健康ブームで、いろいろな番組で「○○が何々によい」などと、番組で紹介しているが、そうすると、そのことが噂になり、あっと言う間にスーパーの○○商品が売切れてしまう。前には、「赤ん坊を寝かすのにうつぶせに寝かすのが良い」などと、その通りにして、赤ちゃんが窒息死した事件もあった。本当にそれが良いか、確認する事もなく、皆が見たり、聞いたりした事へ我先に走り出すのである。
このようなことを書いていると、先ず、思い出すのが、今から33年前の1973(昭和48)年に起きたオイルショックによるトイレットペーパー騒動 がある。このことは、又、後日、書こうと思うので省略するが、この騒動も、この宇宙戦争の放送が全米で聴衆にパニックを引き起こした事件と本質的にはよく似ている。
1950年代から1960年代初頭のSF映画には『地球最後の日』のように大惨事を描くものが多かった。1970年の『大空港』の成功により、1970年代はパニック映画が流行した。
昨・2005年アメリカ映画で、SF映画『宇宙戦争』 (War of the worlds) が公開された。H・G・ウェルズによる同名の小説。「宇宙戦争 (The War of the Worlds)」を原作としたものであるが、この映画はH・G・ウェルズの小説だけではなく、1938年のラジオドラマや、1953年の映画「宇宙戦争」の要素を引用している。スティーヴン・スピルバーグ監督作品であり、 トム・クルーズは出演のほか製作にも参加している。 製作費は1億3200万ドル。6月29日に日米同時公開された。しかし、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』が土台になっているとはいえあまりにも違うものであり、戦争の無惨さ、悲惨さは、よく出ていたようだが、スピルバーグ監督作品としては、あまり評判はよくなかったようだな~。
(画像は、コレクションの映画チラシ「宇宙戦争」。スティーヴン・スピルバーグ監督作品。 トム・クルーズは出演)
パニック-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF
飛行船の歴史■ヒンデンブルグ号炎上
http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-28.htm
世界恐慌 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%81%90%E6%85%8C
日本航空123便墜落事故 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA123%E4%BE%BF%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85
第80回 トイレットペーパー騒動のころ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~akiyama/no80.htm
噂 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%99%82
「対談 報道が創りだすモラルパニック「治安悪化」という神話」
http://www.shinpei.jp/writing/media12.html
映画「宇宙戦争」公式サイト。
http://www.uchu-sensou.jp/top.html
1938年 昭和13年の出来事
http://www.d3.dion.ne.jp/~t_uchita/koukoku/1938/h.g.welze/kaseijin01.html
直前『地震速報』で『パニック』本当?(東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060802/mng_____kakushin000.shtml




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