最近Heartful Movieと言われるジャンルの映画を続けて観た。その中では”People Like Us"が良かった。上のポスターはIMDbより。
”People Like Us"2012、監督:アレックス・カーツマン、出演:クリス・パイン、エリザベス・バンクス(ハンガーゲーム、崖っぷちの男)、オリビア・ワイルド、マイケル・ホール・ダダリオ、ミシェル・ファイファー、マーク・デュプラス、出演者紹介が長くなったのは、最初の2人が主役で、次の二人も重要な役をしていて、最後の名女優ミシェル・ファイファー(Dark Shadows、I am Sam、Batman Returns)と最近よくお目にかかるマーク・デュプラス(Safety Not Guaranteed、Darling Companion)を外せなかった。主人公のサム(クリス・パイン)は父親が死んだことを聞いて恋人(オリビア・ワイルド)と葬式に出るため田舎へ戻る。父親がサムに残した遺言は腹違いの妹(姉?)でシングルマザーのフランキー(エリザベス・バンクス)の息子(マイケル・ホール・ダリオ)に$150,000を渡し二人を”take care"してくれというものだった。仕事のトラブルで金が必要なサムは、自分の素性を隠し遺産のことを言い出さない。そんなサムのいい加減なところに恋人は腹を立て愛想をつかして去っていく。その時点で自分も映画を観るのを辞めようと思った。母親(ミシェル・ファイファー)のどこか依怙地なところや、死んだ父親の自分勝手な生き方、シングルマザーの息子の屈折した性格など、他にもイライラするところがあって、その後も何度も観るのを辞めようと思ったのに、どういうわけか観続けてしまった。サム自身の性格が一番屈折していて、母親にも恋人にも、まわりの誰にも素直になれない。死んだ父親は自分勝手で、自分はその父親から充分に愛されていなかったと思い込んでいる。でも、基本的にフランキー母子を見捨てられない優しい男なのである。母子に関わっていくうちに、自分の父親や母親の気持ちに気づき、恋人の優しさにも救われる。タイトルの”People Like Us"は、”僕たちと同じような人々”、すなわち”普通の人たち”ということだが、仕事で訴えられたり、父親の死後に隠し子がいたことを知らされたり、その腹違いの妹がアルコール依存症で、問題児の息子を抱えたシングルマザーだったりで、これが日常だったらちょっときついと思う。最後の八ミリビデオでは不覚にも涙で画面が滲んでしまった。★★★★☆
”The Magic of Belle Isle"2012、監督:ロブ・ライナー(The Bucket List)、出演:モーガン・フリーマン、バージニア・マドセン、妻の死や事故で書くことを辞めてしまった老境の作家が、避暑地で隣家の離婚調停中の母親とその3人の娘と触れ合ううちに生きる希望を取り戻す。結末はまったく違うが、クリント・イーストウッドの”グラン・トリノ”を思い出した。生き甲斐には、人と関わり誰かのために何かをすること、想像力、一歩踏み出す勇気が重要なんだと気付かされる。モーガン・フリーマンと犬のぶちじゃないけどぶち(Spot)のやりとりが素晴らしい。★★★☆☆
”Marley & Me(邦題:世界一おバカな犬)”2008、監督:デイビッド・フランケル、出演:オーウェン・ウィルソン(Behind Enemy Line、ナイトミュージアム1,2、Midnight in Paris、The Big Year)、ジェニファー・アニストン(Just Go with IT)、ほとんどの場合、犬はバカでなく飼い主がバカなので邦題には納得できない。ということは置いといて、この映画は、犬のいる家族の日常を人気俳優オーウェン・ウィルソンとジェニファー・アニストンが演じたホームドラマである。映画は二人の結婚と同時にMarleyと名付けた犬を飼いはじめるところから始まり、子供が生まれ家族が増え、引っ越しがあり、職業が変わり、子供たちは成長するが、いつもそこには愛犬Marleyがいる。変哲のない一家の生活を描いただけの映画である。脚本家は、一家の生活があまりにありきたりなので、犬をおバカにでもしなければドラマ性がないとでも思ったに違いない。でも、人生は平々凡々とした日常の積み重ねで、ドラマチックなことなんてそうはないのだ。この家族こそ”People Like Us”である。うちのFukuももうすぐ13歳になる。リードをぐいぐい引くような若いころの力はなくなり、ベッドに飛び乗るのも一苦労で、たまに食べ物を嘔吐し、失禁するようにもなった。しつけがうまくいかなくて家族にかみついたり、リードから逃げ出したりしたこともあった。でも、いつになっても、うちに帰れば真っ先にしっぽを振って駆け寄り顔を舐め回してくる大切な家族なのである。★★★☆☆
ここからはシリーズ映画の最新作
”プロメテウス”2012 監督:リドリー・スコット、出演:ノオミ・ラパス、シャーリーズ・セロン(ハンコック、Snow White & The Huntsman)、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース 人間を創造したプロメテウスの話だと思って見始めたら、エイリアンだった。昔のエイリアンシリーズはすべて観ていて、特にジェームズ・キャメロン監督の”エイリアン2”はくり返し観たように基本的に嫌いではないのだが、この映画は昔のエイリアンのエッセンスを取り込んだだけだったので、★☆☆☆☆
バットマンシリーズ 監督:クリストファー・ノーラン、出演:クリスチャン・ベイル(The Fighter、3時10分決断の時)、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン ”The Dark Knight”2008、ヒース・レジャー、アアロン・エッカート、マギー・ギレンホール、”The Dark Knight Rises"2012、トム・ハーディ、アン・ハサウェイ、マリオン・コティヤール(エディット・ピアフ、プロバンスの贈り物、Midnight in Paris) バットマンシリーズは前シリーズから今シリーズまですべて観ている。ティム・バートン監督によるジャック・ニコルソンのJokerに始まり、ダニー・デヴィートのペンギン男、ミシェール・ファイファーのCat Woman、トミー・リー・ジョーンズのTwo Face、ジム・キャリーのリドラー、アーノルド・シュワルツネッガーのMr. Freezeと、いずれも面白かった。今シリーズの”Batman Begins”2005は豪華俳優が出ていたがあまり面白くなかった。2本続けて観たDark Knightは、バットマンのように非合法に悪を懲らしめる方法と、警察や検事が合法的に悪に立ち向かうことを対比した問題作で、単純な悪役退治活劇ではなかった。ヒーローは合法的に解決できない巨悪を痛快に懲らしめることで成り立っているので、合法性を持ちだすと結局、自己矛盾を起こしてしまう。というお話で、映画自体、痛快アクションを追求したいのか社会派映画にしたいのかわらなくなってしまった。★★☆☆☆
”The Amazing Spiderman”2012、監督:マーク・ウェブ 出演:アンドリュー・ガーフィールド(Never Let Me Go)、エマ・ストーン(The Help) スパイダーマンシリーズもすべて観ている。スパイダーマンの誕生話はすでに初版で語られているので、今回それを繰り返した理由がよくわからない。悪者のトカゲ男もあまりインパクトがなかった。それでも、ヒロインのエマ・ストーンは前作のキルスティン・ダンストよりも好みなので、★★☆☆☆