備忘録として

タイトルのまま

グスコーブドリの伝記

2009-06-07 19:41:39 | 賢治

「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴くでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」

イーハトーブのきこりの息子ブドリは幼いころ寒い気候による飢饉で、両親を亡くし妹のネリとも離れ離れになってしまいます。火山局に勤めるようになってしばらくたった頃、その寒い気候が再びイーハトーブを襲ったのです。

「先生あれを今すぐ噴かせられないでしょうか。」
「それはできるだろう。けれども、その仕事に行ったもののうち、最後の一人はどうしても逃げられないのでね。」
「先生、それを私にやらせてください。」

イーハトーブの皆は、その冬を暖かい食べ物と、明るい薪で楽しく暮らすことができたのでした。

 ブドリは、賢治がそのように生きたいと思った人そのものだったはずだ。
クーポー博士の個人用飛行船、火山の観測網、潮汐発電所、人工雨、肥料散布、それに冒頭の二酸化炭素による地球温暖化など、1900年代初頭としては先駆的な話であふれている。

 昔、子供たちが持っていたスーパーファミコンに、『イーハトーブ物語』というゲームがあった。賢治の童話を題材にし、ゲームとしては極めて地味な内容だったが、ほっとさせられるゲームで好きだった。『グスコーブドリの伝記』や『虔十公園林』『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』などの話が、賢治の活躍した羅須地人協会や農学校を絡ませたゲームだったと記憶している。山のようにあったゲームは子供たちの成長とともに処分してしまった。


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