「男の隠れ家ー陶酔庵」日記

いろいろあってまだ生きてます。世捨て人を気取りながら、その高みにはほど遠い俗世の世迷い人生、命だけが通り過ぎてゆきます。

不純物が醸し出す美

2013年06月28日 | 陶芸作品



今月15日、人間国宝 第十四代 酒井田柿右衛門さんが亡くなりました。

そしてその数日後に追悼番組として平成22年5月に放送された「100年インタビュー 酒井田柿右衛門」が

再放送されました。









白磁・青磁はあまり好きではない私でも、ついつい引き込まれる美についての話がいくつもありました。

22年の放送もすでに見て録画も保存していましたが、改めてみてまた新しい刺激を受けました。


濁手(にごしで)・赤絵・余白などを特徴とする柿右衛門様式と呼ばれる伝統がいかにして

今まで引き継がれてきたかという事が語られました。



その中で特に私が興味を抱いた話は、「不純物が作り出す美」という話でした。

現代においては、きれいなものを作ろうと思えば、土・釉薬・上絵具などの原材料が化学的に

精製されて不純物が含まれないものがいくらでも手に入る。

したがってきれいなものはいくらでもできるが美しいものがないと言われました。


やはり泉山磁石場の土のように何千年、何億年と堆積されたものの中に含まれる不純物が、

釉薬においても絵具においても手に入れるのが困難な時代になってきているという。


だから古代建築物の解体の折には文化庁にお願いして、鉄や銅など時を経て不純物を含んだ金属を

探し求めて全国を回っているという。自分を古鉄屋とまで冗談を言われていた。


江戸時代の初期の柿右衛門の作品に魅せられている十四代柿右衛門さんは

以前、NHKから「どこか行きたいところないですか?」と聞かれて、

「江戸時代の職人さんに会いに行きたい!」と冗談を言ったそうだが、

多分、「世界わが心の旅」の出演依頼の事だったろう。


きれいなものと美しいものとの見分け、私のような素人にはその美の見分けが難しいが、

この話を聞いてなんとなくわかるような気がしたのは、・・・・・・・・。


今後のものを見る目に少しでも役立てばいいが、日本の工芸界においても

大切な視点を持った人を亡くしたんだな!!と思いました。


また人間国宝にして磁器の神様のような人が不純物の有用性を説くことの

懐の太さと奥深さ!!


私も少しは磁器が好きになったかな??



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やはり~ (維真尽(^^♪)
2013-06-28 21:03:12
おっしゃる様に
きれいと
うつくしいは違うんでしょうね (^^♪
 
不純物があるから
味がある
人間と一緒ですね (=^・^=)
 
今日のブログ、おもしろかったです!。 (アラン・ドロン)
2013-06-28 23:09:35
維真尽さんの、言われるとおりですね!

人間も一緒ですね。

庵主さんとも、有田の町は、なんども行って、

柿右衛門窯の近くも、何度も通るのに、

一度、柿右衛門さんに、会ってみたかったです。

ミーハーの、私としては。

いつか、柿右衛門窯に行きたいです。

この前、物を整理していたら、七輪陶芸の作品が

でてきたんですよ

その当時は、かたちが歪んでるとか均等じゃないとか

思っていた作品が、とても味があるように見えるんです

七輪陶芸、いいですよねー。

また、焼いてみたいと思いました。

それにしても、柿右衛門さんの、魂が、引き継がれて

いきますように。
横コメですm(__)m (維真尽(^^♪)
2013-06-29 23:23:15
アランドロンさんも
七輪陶芸されるんですか?
久しくやっていないですが
また~やりたいですね (=^・^=)
 
横コメです。維真尽さんへ!! (アラン・ドロン)
2013-06-30 21:44:13
庵主さんと、兄の影響で、私は、2・3回ほどしか、

経験が、ありません。

お猪口と、湯呑、御飯茶碗を、何個しか、焼いていません

面白かったのが、湯呑茶碗の、釉薬が、網の目状につき

失敗作だったんですが、しだいに「これも、アリかな」(笑)

2・3回の経験でしたが、面白かったです。

また、やってみたいですね。
維真尽さんへ (ansyu)
2013-07-01 13:09:42
例えば柿右衛門さんがおっしゃるには、白は純白がきれいには違いないが、米のとぎ汁のような乳白色いわゆる濁手
が日本人的な美の感覚では美しいのではないだろうか。余白にしたときに深い味わいがあるとおっしゃってました。一例ですけど。

私などは不純物の塊りみたいなもので、相当に味わい深いものと思って生きてまいりましたが、余りにアクが強くてだいぶ敬遠されているような・・・・・・・(爆)

まだ精製段階でのアク抜きが足りなかったと見えまする。
アラン・ドロンさんへ (ansyu)
2013-07-01 13:24:56
例えば有田の釉薬を作るのに灰(柞灰(いすばい))というイスの木の灰が必要なんですが、日本中から少なくなっているというので有田で植樹をされたり、古鉄・銅・金属を集めたりと有田の伝統を再興されるのに必死でした。

また晩年はどこにでもあるなんでもない草花を愛され蓼(たで)という草花を蓼文として大皿に描かれていました。
本当に14代の思いを引き継いで欲しいものですね!!

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