長尾周格先生のFB投稿より
保守とリベラル
日本においては、政治に関して積極的に発言したり勉強したりする人はとても限られた一部の人たちのみで、多くの人はあまり政治に関心は無いようです。でもこれは悪いことばかりでもなくて、基本的に国が安定して豊かであるほど、国民は政治に関心を持たなくなるものです。健康な人が健康を意識しないようにね。
とはいえ国民の多くが政治に関心を持たなくなると、一部の人間が政治を利用して利益を得、大多数の国民の不利益になってしまいます。国民が政治を監視することで政治の清廉さを維持するのは、民主政の基本です。
政治的立場においてよく聞く言葉に、「保守」とか、「リベラル」があります。ちなみに僕は気づいている人にはもうお分かりでしょうが、生粋のリベラルです。でもリベラルって何?って思っている人も多いでしょう。だから今日は保守とリベラルの違いについて説明します。
リベラルというのは、世の中がより合理的、論理的になり、能力のある人がその能力をいかんなく発揮できる社会を目指す政治的立場です。リベラルは元々はフランス革命時の「自由、平等、博愛」の精神を引き継ぐ立場とされています。いわゆる左翼ですね。
リベラルは世の中にはびこる不平等、不公平を無くすべきと考えます。だから人種、民族、性別などで進学や就職の差別を受けないようにすべきと考えます。差別は一切許さず、機会は誰にでも平等に与えられるべきと考えます。
保守はそれとは逆であり、今現在世の中に存在する不平等や不公平も、それはそれなりに意味があって存在するのだから、そのままにしておくべきと考えます。もちろん理不尽な不平等や不公平は是正すべき場合もありますけど、不平等や不公平もまた、それが存在する歴史的経緯があるのだから、それを尊重すべきと考えます。
リベラルは論理的、合理的価値判断を好み、伝統的、因習的、宗教的な価値判断はうさん臭いものとして否定します。逆に保守は伝統的、因習的、宗教的な価値に重きを置きます。これは例えれば日本の天皇制であれば、リベラルは非科学的で非合理な制度だから無くすべきと考え、保守は日本の伝統で国民の統合の象徴であるから存続するのが当然と考えます。
あ、ちなみに僕は天皇制は続いて欲しいと考えていますよ。その点では保守的ですね。
リベラルはすべての人間には基本的人権があり、誰にでも平等に権利が与えられるべきと考えます。機会の平等は保証されるべきですが、機会の平等をつき進めていくと、結局は有能な人物ほど裕福になり、そうでない人との差はどんどん開いていくことになります。つまり、結果の不平等を招くということ。
これに対し保守は、機会の平等を進めると結果の不平等が広がり、社会が不安定化してしまうことを危惧します。完全な競争社会では一部の勝者と大多数の敗者に分かれてしまうことから、保守は勝ち組が勝ちすぎないよう、負け組が落ちぶれないよう、バランスを取るべきと考えます。
僕はリベラルな社会になれば完全に勝ち組に回る方なので、リベラル支持というわけ。でも多くの人にとってはリベラルな社会は好ましくありません。だから保守が優勢なのであり、特に社会が不安定化して貧困層が増えれば増えるほど、社会は保守化するのです。