熊澤良尊の将棋駒三昧

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浄法寺

2009-08-16 07:32:44 | 文章
8月16日(日)、曇り。

昨日一昨日と晴れていたが、今日は空一面の村雲。
遠くで鳴く騒がしいセミの声は相変わらずです。

先ほど、BSテレビでは「浄法寺の漆掻き」をやっていました。
漆掻きは、漆の木の幹に傷を付けてそこから滲み出る漆液を集める仕事やそれをする人のこと。
浄法寺は、岩手県の北にあります。青森に近いところ。
そこで漆の木を栽培し、樹液を採取して、それを仕事にしている様子をドキュメンタリー風に放映していました。
漆掻きについては、物の本で読んで知っては居ますが、改めて興味深く見ました。
独特の先が二股になっている刃物で、幹を傷つけて、ほんのちょっぴり出てくる漆液を掻きとる。これをあちこちの山に植えた漆の木で繰り返すわけですが、同じ木は4日休ませてから、繰り返すそうです。

そのほかの道具は、木の皮を剥ぐ鉈。採った樹液を入れる漆桶など。これを腰にぶら下げて山に入ります。
帽子、手袋、地下足袋、腕カバーと顔以外は肌は露出しない服装です。
直に漆の液に触れると、ひどい漆被れになるからです。
(小生の経験では、精製した蝋色漆や透き漆ではほとんど被れなくても、生の漆「生漆」ではひどく被れます)

1日に採れる漆液の量はほんの少し。それでも春先から秋口にかけて採れる量をまとめると、100キロぐらいとか。
日本産漆は中国漆に較べて5倍くらい高いので、まずまず食っていけるのでしょう。

ところで、現在、浄法寺以外で漆の木を栽培して樹液を採っているところとしては、石川県の山中あたり、岡山県の備中あたりなど数えるほどです。

漆掻きは大変な重労働だと思います。
盛りは暑いさなかの夏。若い人はよほどの人でないと続かない。後継者不足は眼に見えているようです。

安い漆は、流通段階で混ぜ物で量を増やして売られています。
漆掻き人→仲買人→精製業者→漆屋→消費者と流れていると思いますが、中国産の場合は、途中に何人もの業者が居ると思った方が良いのでしょう。
元々、日本産と較べて成分の関係で質が劣るのですが、途中の業者それぞれが増量のため混ぜ物をしているとすれば、どうでしょうか。

ところで近年は、漆の値段が高騰しているようです。
混ぜ物がない日本産蝋色漆。
以前は、100グラム1万円ほどでしたが、最近は倍の2万円ほどになっています。
2年ほど前から、日光の東照宮で大掛かりな修復事業が開始されて、日本国中の質の良い日本産の漆が買い占められて、それも一因かと思っています。

漆のことでは、一度岡山に行って勉強して来ようと思っています。

今週は、徳島の王位戦第5局に行きます。
幸い、四日市の尾崎さんが、車で連れて行ってくれるので、それに甘えます。
19日は徳島で泊まり、20日は高知へ足を延ばして一泊。翌日は徳島に戻り、終局まで結果を見届けて帰ります。

今日は、少し買い物で半日つぶれる予定です。
残った半日は、工房で何かをします。

昨日は、小一時間ほど庭の草むしりをして、腰に少々痛みが出ています。
一昨日の右手薬指の先の痛みは治まりました。
続きの研ぎ出しでもやりますかね。

おっと、もう1つ面白いことを書いておきます。
テレビでは「漆のくすり」と書いたペットボトルに入った液体がありました。
これは漆かぶれの特効薬だそうで、「ハンノキ」だったか「カバノキ」だったか思い出せませんが、「何かの木の皮を煮出した液」だそうです。
誰か覚えている人が居られましたら、教えてください。




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