A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「よく謳うピアノ」といえば、このモンティー・アレキサレンダーもその代表格の一人だ。

2014-01-28 | CONCORD
Triple Treat / Monty Alexander

ジェイムス・ウィリアムスのピアノを久々に堪能したら、コンコルドのアルバムが次もピアノだったので続けていってみることに。タイプは大分違うが。

アメリカのケーキやアイスクリームは甘党の自分でも流石に甘さと量でもてあます。
ジャケットの写真を見るとこのアイスクリームもシングルでも十分そうなのに、ダブル、そしてトリプルとなる果たして食べきれるかどうか・・・。
見ただけで、思わず口の中が甘ったるくなってしまう。

ジャズの世界もこってりしたジャズと、さっぱりしたジャズがある。こってり系の中にはブルースに代表される黒っぽいアーシーな「こってりさ」と、強烈なビート、アクセントの効いたリズムの「こってりさ」がある。さっぱりにもいわゆるクールなトーンと、小気味良い、軽妙なリズムの「さっぱりさ」がある。

さて、お好みは?ということになるが・・・、
自分の好みは基本さっぱりベースにトッピングに濃いこってりした物が適度に、といった感じかもしれない。基本スープがこってり過ぎると大盛りはいらない。聴き続けるのがヘビーになるので。たまには、激辛なども刺激的でいいがいつもだと・・・?
何か、拘りのラーメンのオーダー風になってしまったが、「よく謳う」といっても、その中身は微妙に味付けの違いが出てくるし、個人的な好みにも微妙な違いがあるようだ。
「旨み」にも、とんこつベースと、煮干しベースの違いがあるように。

このモンティー・アレキサンダーはジャマイカの出身、根っこにはラテンの血が流れている。ジャマイカ出身といえばウィントン・ケリーもジャマイカ出身。ケリーの「うたい方」も独特のケリー節があったが、これは自分の好みのタイプでもある。
このモンティーの場合も、大分経験を積んでピーターソンライクから脱却し独自のスタイルを築きつつあったが、果たしてどんな味付けになってきたのか。

コンコルドではこの時すでにアネスティン・アンダーソンのバックを務めたり、レーベルの顔になっていたが、自己のトリオの演奏はこれが3枚目。最初はジェフ・ハミルトンを入れたドラムトリオだったが、前作からハーブ・エリスを入れたギタートリオに変身した。
ドラムレスのギタートリオは、ナットキングコールの時代からよく謳うピアノトリオの代名詞にもなっている。このアルバムで一緒のハーブ・エリスとレイ・ブラウンはそのピーターソンのドラムレスのトリオを組んでいた当事者でもある。

ピーターソンはギターからドラムにトリオを替えたが、モンティーの場合は同じ若手代表のジェフ・ハミルトンのドラムから、ベテランのハーブ・エリスを加えたトリオ編成にしている。さて、これが謳い方にどう作用するか?

メンバーも見ただけで、3人が良く謳う演奏をするのは間違いない。せっかくピーターソンから抜け出そうになったのに、ピーターソンが得意としていた編成に、さらには同じパートナーに脇を固められたら、またピーターソンに戻ってしまうのではと心配にはなるが。

実は、このアルバムは日本での録音。この年来日した3人を大阪で録音したものだ。
確かに興行的には、あのナットキングコールやオスカー・ピーターソンの再来と位置付けた方が成功する。此の頃の日本は大物達の来日ラッシュが続く。何か特徴を付けないと、新人や中堅は位置付けが難しかった。もしかしたらアレキサンダーもキングコール風、ピーターソン擬きに甘んじていたのかもしれない。内容的にもそつなく、よく謳う演奏だが自由奔放に吹っ切れていないものが何かあるような気がする。
このトリオ編成はこの後もしばらく続く。そして、ツアーで世界を廻ることになるが、この時代のモンティー・アレキサンダーのツアー用の標準編成だったということになる。アルバムも、第2作、第3作と続く。コンコルドブランドの商品としてはこのトリオは大成功だったと思う。

自由にアルバム作りができるのがコンコルドの特徴であったが、これだけのアルバム数とライブも世界中で行うようになると、自然とブランドイメージが定着してしまう。したがって、その中での自由度ということは仕方がないとは思うが。それに加え、日本制作という外野の声がもう一つ入るようになると、その意見も取り入れなければならないし・・・。
こだわりの味を売りにしていた個人のラーメン店が多店舗化するとどうしても味の尖がった部分がなくなるのと同じかもしれない。
良くとらえれば、3人が一緒にやる時の味付けは、これしかないということだとも言える。

結局モンティー・アレキサンダーが「自分の歌心」を表面に出した自己のグループも持つようになったのは90年以降、そして現在に至る。

試聴はこちらで、

Monty Alexander Trio - But Not For Me 1982 (Triple Treat Vol.1)



1. (Meet The) Flinstones      Joseph Barbera / Hoyt Curtin / William Hanna 3:01
2. Body and Soul   Frank Eyton / Johnny Green / Edward Heyman / Robert Sour 6:08
3. Small Fry Hoagy        Carmichael / Frank Loesser 3:52
4. When Lights Are Low     Benny Carter / Spencer Williams 6:51
5. Triple Treat Blues      Monty Alexander 6:31
6. Fungi Mama   Dennis Bell / Thomas F. Browne / Blue Mitchell / Claudette Washington 3:47
7. Sweet Lady         Monty Alexander 5:49
8. But Not for Me       George Gershwin / Ira Gershwin 4:56

Monty Alexsander (p)
Ray Brown (b)
Herb Ellis (ds)

Produced by Carl Jefferson & Yoichiro Kikuchi
Recorded at Sound Creation, Osaka, Japan, March 1982
Recording Engineer : Yoshihisa Watanabe

Originally released on Concord CJ-193 (所有盤はCD)





Triple Treat
Monty Alexsander
Concord Records

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