わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

キャンディード

2004年04月26日 | 観劇記
2004年4月26日ソワレ 
東京国際フォーラムCホール 実質11列目上手側

舞台の感想です。あら筋は書いていませんが、感想とともに舞台の内容に踏み込んでいます。ご了承の上お読み下さい。

初日を観劇しました。
「太平洋序曲」メンバーからは佐山陽規さん、村上勧次朗さん、岡田誠さんがご出演。

2001年の初演も観劇しました。今回は再演ということですが、ここまで大幅に変わると再演ではなく、新作を観たという感じです。
私としては、今回の方がしっくり来ました。上演時間も3時間位におさまっていました。曲ごとなくなった場面と、縮まった場面があったようです。3時間というのが、集中できる限界なのかもしれません。

しっくり感じたもう一つは、衣装でしょうか。この作品はとても多くのことを考えさせてはくれるのですが、ある面非常に荒唐無稽なのです。01年のときは比較的今私達が普段に着ているような衣装なので、その荒唐無稽な面がとても印象付けられてしまったように思います。が、今回は、豪華な衣装と荒唐無稽な出来事がマッチしていたように感じました。

また、振付も私が好きな麻咲梨乃さんになり、場面場面がとても立体的になり、後で関連する場面が出てきたときに、「ああ、あの時ね」と思えるのでした。

ブログって、長くてもいいのか不安を覚えつつ、主要キャストへの感想にとりかかります。

キャンディードの中川晃教さん。初めて舞台を拝見しました。確かな歌唱力と細やかな演技の出来る方ですね。キャンディードの純粋さが伝わってきました。ただ、小柄な方なので相手役の起用には細心をはらっていかないと、中川さんも相手役の方も活きないなぁと思いました。というのも、カカンボの坂元健児さんとの組み合わせがちょっといただけなかったのです。坂元さんも小柄な方ですが、がっしりなさっていますよね。お二人が並ぶと、主人と従者の関係がはっきりしなくなっていました。カカンボという素晴らしい役がちょっと印象に残りませんでした。

クネゴンデの鵜木絵里さん。「着飾って浮かれましょ」はこの作品の一番の聞かせどころですが、本当に素晴らしかったです。アリアで歌い上げるところも良いのですが、そのほかのところは動き回り、表情豊かに、女ならこういう思いってあるよね、と共感出来る歌でした。

ヴォルテールの辰巳琢郎さん。テレビ俳優としては結構好きな方なのですが、舞台で拝見するのは始めて。この配役が発表になったときから、とても楽しみにしていました。初日ということで、出だしはとても早口で聞き取れない部分もありました。でも、途中からは芝居に割り込むという難しい役柄ですが、自然な流れで舞台に登場し、話を進め、締めくくって下さいました。

パングロスの岡幸二郎さん。まあ、言うことないほど、堅実に歌い、演技し、楽しませて下さいます。岡さんへの感想ではないのですが、パングロスの衣装はちょっと・・・という感じでした。そして、その対になるマーティンの衣装も。他の方の衣装はいいなぁと思いましたが、パングロスとマーティンは対照的という印象が私にはあるので、前回の白と黒という明確な衣装が好きでした。割と今回は素材的には似たようなものを使っていると思えました。で、感じたのは衣装の太田雅公さんは、パングロスとマーティンは対照ではなく、突き詰めると似ていると考えていらっしゃるのでは、ということでした。そう考えると、また、舞台も今までとは感じ方が違ったりして、衣装という視覚に訴えるものの存在の重要性を認識したのでした。

マキシミリアンの新納慎也さん。この役は前回が岡さんでしたからね、どうしても印象が強すぎますよね。あまりにも荒唐無稽な登場が多く、本当に難しいと思います。新納さんもとても素敵でしたが、ひとつ足りないのは「貴族の気品」でしょうか。キャンディードに「私生児のくせに」と言い切る時の気品がちょっと物足りませんでした。

岡田さんと村上さんは、各所にご登場。一度観ただけでは、ご活躍を観切れていない感じです。この舞台自体、とてもアンサンブルが重要です。素晴らしい曲の数々はアンサンブルが歌うことが多いですから。私が一番好きなのは、内容とメロディが対照的な「火あぶりの刑」。これを聞くと美しい姿の人間の中にある醜い心を感じます。そして、それは社会の混乱が生み出すものであることを思い知らされます。

ジェームズとマーティンの佐山陽規さん。歌があるのはマーティンなので注目していますが、ジェームズも大好きです。ジェームズはとても優しい人間として描かれています。その優しさをヴォルテールが説明もしてくれますが、ジェームズ自身の短い台詞で表現しなければなりませんから、大変なはずなのです。でも、佐山さんは温かな台詞回しであっさりその優しさを感じさせて下さいます。マーティンもマーティンで作品のキーワードのような台詞がありますし、佐山さんから目が離せない作品ですね。

すっかり長くなってしまいましたので、このあたりでやめておきますね。
初日からスタンディング・オーベーションでした。それに相応しい舞台だと私も思います。東京では11日まで上演していますので、是非。
こちらで、初日顔合わせの動画も見ることが出来ます。
http://forum.nifty.com/ftheater/p/04cand/index.htm
それでは。

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