「シモン殿、あなたの仰るように、これほどに険しい山岳地ゆえ、如何に相手の数が多いとはいえ、実際に彼らが攻め上ってくることが可能な斜面は限られておるのです。
せいぜい、この数メートル幅の細長い道無き道を、長々しい縦列を為して登ってくることしかできないはずです。
つまり、当地は、敵が、その数を、そう容易(たやす)く生かせるような地形ではないのですよ。
トゥパク・アマル様が、ここに本陣を敷いた最たる理由もそこにあったのです」
ゆるぎない口調でそう言うと、ベルムデスは鋭さのいや増した面持ちを上げた。
「なるほど」
シモンはベルムデスに頷きながら、数回、己の額を拳で叩(はた)いた。
それから、地勢図を睨みながら、いっそうテーブル上に身を乗り出す。
いつしか、そんなシモンとベルムデスの周りに他の者たちも集まり、息を詰めて二人の話に耳を傾けている。
その張り詰めた空気の中、「そういうことならば」と、再びシモンが口火を切った。
【登場人物のご紹介】
≪トゥパク・アマル≫(インカ軍)
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。
≪ベルムデス≫(インカ軍)
トゥパク・アマルが全幅の信頼を置く、高齢の重臣。武勇にも優れる高徳の賢者。
既に亡きトゥパク・アマルの父の代から、インカの王族を支え続けてきた。
現在は、ミカエラの護るサンガララの本陣にて、ミカエラや皇子たちを支えている。
≪シモン≫(白人の革命軍)
植民地生まれの白人(クリオーリョ)の革命分子を束ねるリーダー。
ただし、一般的に貧しいクリオーリョたちとは異なり、当地生まれでありながらも富裕層に属するらしきスペイン人。
トゥパク・アマルの反乱に乗じて、スペイン本国による植民地支配を瓦解させる機会を狙っている。
せいぜい、この数メートル幅の細長い道無き道を、長々しい縦列を為して登ってくることしかできないはずです。
つまり、当地は、敵が、その数を、そう容易(たやす)く生かせるような地形ではないのですよ。
トゥパク・アマル様が、ここに本陣を敷いた最たる理由もそこにあったのです」
ゆるぎない口調でそう言うと、ベルムデスは鋭さのいや増した面持ちを上げた。
「なるほど」
シモンはベルムデスに頷きながら、数回、己の額を拳で叩(はた)いた。
それから、地勢図を睨みながら、いっそうテーブル上に身を乗り出す。
いつしか、そんなシモンとベルムデスの周りに他の者たちも集まり、息を詰めて二人の話に耳を傾けている。
その張り詰めた空気の中、「そういうことならば」と、再びシモンが口火を切った。
【登場人物のご紹介】
≪トゥパク・アマル≫(インカ軍)
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。
≪ベルムデス≫(インカ軍)
トゥパク・アマルが全幅の信頼を置く、高齢の重臣。武勇にも優れる高徳の賢者。
既に亡きトゥパク・アマルの父の代から、インカの王族を支え続けてきた。
現在は、ミカエラの護るサンガララの本陣にて、ミカエラや皇子たちを支えている。
≪シモン≫(白人の革命軍)
植民地生まれの白人(クリオーリョ)の革命分子を束ねるリーダー。
ただし、一般的に貧しいクリオーリョたちとは異なり、当地生まれでありながらも富裕層に属するらしきスペイン人。
トゥパク・アマルの反乱に乗じて、スペイン本国による植民地支配を瓦解させる機会を狙っている。
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