そのままトゥパク・アマルたちは怒涛の勢いで彼らの陣の敷かれた岸壁をくだり、疾風さながらに、敵陣の据えられた数キロ先の断崖を駆け上りはじめた。
ほどなく彼らの姿をとらえたスペイン軍陣営の衛兵が、転がるようにして彼らの総大将アレッチェの元へと素っ飛んでいく。
「ト…ト…トゥパク・アマルが、こっちに向かっています!!」
「なに?!」
厳然たる隙の無い面持ちで、黒々と磨き抜かれた砦の砲台群を見回っていたアレッチェが、ギッと、鋭い眼光で振り向いた。
「トゥパク・アマルだと?!」
【登場人物のご紹介】
≪トゥパク・アマル≫(インカ軍)
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。
≪ビルカパサ≫(インカ軍)
インカ族の貴族であり、トゥパク・アマル腹心の家臣。
トゥパク・アマルの最も傍近い護衛官として常にトゥパク・アマルと共にあり、幾度と無く命を張って主を守ってきた。
≪ホセ・アントニオ・アレッチェ≫(スペイン軍)
植民地ペルーの行政を監督するためにスペインから派遣されたエリート高官(全権植民地巡察官)で、植民地支配における多大な権力を有する。
ペルー副王領の反乱軍討伐隊(スペイン王党軍)総指揮官として、反乱鎮圧の総責任者をつとめる。
有能だが、プライドが高く、偏見の強い冷酷無比な人物。
名実共に、トゥパク・アマルの宿敵である。
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