コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~

制圧者とインカの末裔たちとの戦いの物語

コンドルの系譜 第九話(1119) 碧海の彼方

2016-10-08 22:50:38 | 碧海の彼方

それから、書斎机の横にある椅子に座るようビルカパサに促しながら、トゥパク・アマルが、再び口を開いた。


「砦内の様子はどうかね?


大分、いろいろな悶着が起きているか?」


トゥパク・アマルの問いに、ビルカパサが、その筋骨逞しい体を遠慮がちに椅子に収めながら、「はっ…」と、躊躇(ためら)い気味に応じる。


「そうか。


世話をかけるが、 もう暫く砦内全体を見守ってやってくれ」


「心得ております、トゥパク・アマル様」


そう恭順を示してから、また顔を上げたビルカパサの目に、切れ長の目元を細めて真摯な瞳を真っ直ぐこちらに向けているトゥパク・アマルの表情が映る。


「陛下?」


「ビルカパサ、此度の戦さでは、そなたには非常に危険な役目を任せた。


あのアラゴン王子の甚だしい重砲火の矢面の最前線に立たせたのだからな」


「滅相もございません。


それは、わたしの当然の仕事でございます。


わたし以上に、トゥパク・アマル様こそ、大変な危険に挑んでいらしたではありませんか」


深く恐縮して上擦った声で答えながらも、まるで燃え盛る隕石群の大襲来のごとき壮絶なアラゴン軍の砲火が、ビルカパサの脳裏に生々しく甦る。


実際、あの過酷な激戦の最中、幾度、絶体絶命と感じたか知れなかった。

【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆

≪トゥパク・アマル≫(インカ軍)
反乱の中心に立つ、インカ軍(反乱軍)の総指揮官。
インカ皇帝末裔であり、植民地下にありながらも、民からは「インカ(皇帝)」と称され、敬愛される。
インカ帝国征服直後に、スペイン王により処刑されたインカ皇帝フェリペ・トゥパク・アマル(トゥパク・アマル1世)から数えて6代目にあたる、インカ皇帝の直系の子孫。
「トゥパク・アマル」とは、インカのケチュア語で「(高貴なる)炎の竜」の意味。
清廉高潔な人物。漆黒長髪の精悍な美男子(史実どおり)。

≪ビルカパサ≫(インカ軍)
インカ族の貴族であり、トゥパク・アマル腹心の家臣。
トゥパク・アマルの最も傍近い護衛官として常にトゥパク・アマルと共にあり、幾度と無く命を張って主を守ってきた。
ロレンソの恋人マルセラの叔父でもある。

≪アラゴン≫(スペイン軍)
スペインの植民地であるペルー副王領を統治する副王ハウレギの息子。
反乱鎮圧に手こずる軍に痺れを切らした副王により派兵されたスペイン王党軍を統率している。

◆◇◆◇◆ご案内◆◇◆◇◆

ホームページへは、下記のバナーよりどうぞ。

コンドルバナー

物語概要  物語目次  登場人物紹介  現在の物語

★いつも本当にありがとうございます!

ネットランキング バナー(1日1回有効) wanderking banner 2(1日1回有効)

ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« コンドルの系譜 第九話(111... | トップ |   
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

碧海の彼方」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL