今回は、残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1)亡甲野太郎(以下「太郎」という。太郎は,平成16年1月13日交通事故により死亡しているが,以下,この交通事故を「本件交通事故」という。)は,原告らの子であるが,平成14年4月,被告に入社したものであり,死亡当時,川上ダムの現場事務所で勤務していた。
(2)被告は,土木建築工事請負及び設計施工などを行うもので,三重県名賀郡青山町羽根葭ヶ廣地内で行う川上ダム付替町道第1工区工事作業所(以下「本件作業所」という。)で道路工事を行う事業主であったものである。
(3)太郎は,平成14年4月ころ,被告の養成社員制度により,養成社員として被告に入社することで,被告との間で雇用契約を締結した。
養成社員制度とは,三重県で最大規模の総合建設業を営む被告が,関連子会社(個人企業)の建設業者の子を一定期間預かって被告の社員として就労させ,その間に,関連子会社の事業承継者としての技術的・経営的ノウハウを身につけさせて,それが完了した時点で雇用契約を合意解消し,預かり元に戻す制度である。したがって,被告は,平成14年4月上旬,太郎との間で養成社員としての雇用契約を締結したものであり,この雇用契約上の付随義務として信義則に基づき,太郎に対し,その勤務により健康を害しないように配慮(管理)すべき義務(勤務管理義務)としての安全配慮義務及び被告の社員が養成社員に対して被告の下請会社に対する優越的立場を利用して養成社員に対する職場内の人権侵害(いわゆるパワーハラスメント)を生じないように配慮する義務(パワーハラスメント防止義務)としての安全配慮義務を負担していた。
(4)また,被告は,預かり元である被告の2次下請をしていた甲野建設株式会社の代表取締役である原告甲野一郎(以下「原告一郎」という。)との間で,被告と太郎との養成社員雇用契約に関して,明示あるいは黙示の準委任契約を締結した。準委任の内容は,原告らの子である太郎を被告の関連子会社の事業承継者として養成し,技術的・経営的ノウハウを身につけさせることであり,太郎の就労に関しては,労働基準法をはじめとする労働法や国内諸法令を遵守して就労させることである。したがって,被告は,この準委任契約上の付随義務として信義則に基づき,原告一郎に対しても,太郎に対してと同様に,太郎に対する勤務管理義務及びパワーハラスメント防止義務としての安全配慮義務を負担していた。
(5)しかし,被告は,労働基準法に違反して,太郎をして平成14年9月から同人が死亡する平成16年1月13日に死亡するまでの間,以下のとおり,違法で過酷な時間外労働(残業)に就労させ,同時に,上司による太郎に対するパワーハラスメントを放置して,上記太郎との雇用契約及び原告一郎との準委任契約上の付随義務として信義則に基づく勤務管理義務及びパワーハラスメント防止義務としての安全配慮義務に違反した。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇、保険会社との交通事故の示談交渉、刑事事件や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、オフィスや店舗の敷金返還(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1)亡甲野太郎(以下「太郎」という。太郎は,平成16年1月13日交通事故により死亡しているが,以下,この交通事故を「本件交通事故」という。)は,原告らの子であるが,平成14年4月,被告に入社したものであり,死亡当時,川上ダムの現場事務所で勤務していた。
(2)被告は,土木建築工事請負及び設計施工などを行うもので,三重県名賀郡青山町羽根葭ヶ廣地内で行う川上ダム付替町道第1工区工事作業所(以下「本件作業所」という。)で道路工事を行う事業主であったものである。
(3)太郎は,平成14年4月ころ,被告の養成社員制度により,養成社員として被告に入社することで,被告との間で雇用契約を締結した。
養成社員制度とは,三重県で最大規模の総合建設業を営む被告が,関連子会社(個人企業)の建設業者の子を一定期間預かって被告の社員として就労させ,その間に,関連子会社の事業承継者としての技術的・経営的ノウハウを身につけさせて,それが完了した時点で雇用契約を合意解消し,預かり元に戻す制度である。したがって,被告は,平成14年4月上旬,太郎との間で養成社員としての雇用契約を締結したものであり,この雇用契約上の付随義務として信義則に基づき,太郎に対し,その勤務により健康を害しないように配慮(管理)すべき義務(勤務管理義務)としての安全配慮義務及び被告の社員が養成社員に対して被告の下請会社に対する優越的立場を利用して養成社員に対する職場内の人権侵害(いわゆるパワーハラスメント)を生じないように配慮する義務(パワーハラスメント防止義務)としての安全配慮義務を負担していた。
(4)また,被告は,預かり元である被告の2次下請をしていた甲野建設株式会社の代表取締役である原告甲野一郎(以下「原告一郎」という。)との間で,被告と太郎との養成社員雇用契約に関して,明示あるいは黙示の準委任契約を締結した。準委任の内容は,原告らの子である太郎を被告の関連子会社の事業承継者として養成し,技術的・経営的ノウハウを身につけさせることであり,太郎の就労に関しては,労働基準法をはじめとする労働法や国内諸法令を遵守して就労させることである。したがって,被告は,この準委任契約上の付随義務として信義則に基づき,原告一郎に対しても,太郎に対してと同様に,太郎に対する勤務管理義務及びパワーハラスメント防止義務としての安全配慮義務を負担していた。
(5)しかし,被告は,労働基準法に違反して,太郎をして平成14年9月から同人が死亡する平成16年1月13日に死亡するまでの間,以下のとおり,違法で過酷な時間外労働(残業)に就労させ,同時に,上司による太郎に対するパワーハラスメントを放置して,上記太郎との雇用契約及び原告一郎との準委任契約上の付随義務として信義則に基づく勤務管理義務及びパワーハラスメント防止義務としての安全配慮義務に違反した。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇、保険会社との交通事故の示談交渉、刑事事件や多重債務(借金)の返済、遺言・相続の問題、オフィスや店舗の敷金返還(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。