このブログでは、各業界の企業の顧問弁護士をしている者の立場から、一般的に役立つと思われる法律知識や裁判例などを紹介しています。テーマは特に限定していませんが、個人の方の法律問題としては、多重債務(借金)の返済の問題、不当な整理解雇の相談、未払いの残業代の請求、交通事故の示談交渉や慰謝料交渉、知人が刑事事件で逮捕されたという刑事弁護の相談も増えているため、扱うテーマもそういう偏りがあるかもしれません。なお、法改正や新判例などにより、記事をアップしたときには新しい情報であっても、現時点では情報として古いものになっている可能性があります。また、それなりに気をつけていますが誤植など不完全な内容があるかもしれませんので、ご了承ください。実際に法律問題に直面した会社の方は、顧問弁護士にご相談ください。顧問弁護士がいない企業も多いようです。顧問弁護士の費用やサービス内容は区々ですから、企業の顧問弁護士をしている法律事務所のホームページなどをよく調べることをお勧めします。個人の方で、不当解雇、交通事故、債務返済(借金返済)、刑事事件、残業代請求などの法律問題について相談したい方は、弁護士にご相談ください。
今日は交通事故の裁判例を紹介します。本件保険契約の約款第三章(無保険車傷害条項)一条二項に、無保険車傷害保険金が、「自賠責保険等によって支払われる金額(自賠責保険等がない場合、または自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償保障事業により損害のてん補を受けられる場合は、自賠責保険等によって支払われる金額に相当する金額)」を超過した額について支払われる旨の規定があることは、原告らと被告会社との間で争いがない。ところで、無保険車傷害保険は、対人賠償保険に加入していた被保険者が、死亡し又は後遺障害を負ったにもかかわらず、たまたま加害車両が無保険であるため損害の填補を受けることができない場合に、対人賠償保険を不定額の傷害保険に転換することとして、被害者の救済を図るために設けられたものである。換言すれば、無保険車傷害保険は、被保険者が付保していた対人賠償保険に、それがあたかも加害車両に付保されていたのと同じような効果を与えて、本人が付保した対人賠償保険の保険金額まで被保険者を救済しようとするものにほかならない。そして、無保険車傷害保険においては、基本的に、相手方に任意対人賠償保険が付されている場合と同じ要件の下で保険金が支払われることになるのであり、対人賠償保険が自賠責保険等の上積み保険である(第一章一三条一項三号参照)のと同様に、無保険車傷害保険も自賠責保険等の上積み保険とされている。そうすると、無保険車傷害保険についての上記第三章一条二項の規定は特段不合理とはいえないものであり、これが無効である等という原告らの主張は理由がない。そして、通常の事案では、自賠責保険金の限度額(死亡の場合には三〇〇〇万円)を超過する部分について無保険車傷害保険金が支払われることになるが、本件のように自動車損害賠償保障事業からの損害填補額が減額されたような場合には、賠償義務者の賠償資力を補うという上積み保険としての無保険車傷害保険制度の趣旨にかんがみると、上記の現実の填補額を超過する損害額が無保険車傷害保険の支払の対象になると解するのが相当である。上記第三章一条二項の規定の文言は、このように解することの妨げとなるものではない。したがって、被告会社は、自動車損害賠償保障事業から支払を受けた二〇一五万五二五九円を超える範囲において、原告らに対し無保険車傷害保険金の支払義務を負担するものというべきであって、その支払義務が自賠責保険金の限度額三〇〇〇万円を超える部分に限られるとする被告会社の主張も理由がない。ブログ
今日は交通事故の裁判例を紹介します。本件保険契約の約款第三章(無保険車傷害条項)一条二項に、無保険車傷害保険金が、「自賠責保険等によって支払われる金額(自賠責保険等がない場合、または自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償保障事業により損害のてん補を受けられる場合は、自賠責保険等によって支払われる金額に相当する金額)」を超過した額について支払われる旨の規定があることは、原告らと被告会社との間で争いがない。ところで、無保険車傷害保険は、対人賠償保険に加入していた被保険者が、死亡し又は後遺障害を負ったにもかかわらず、たまたま加害車両が無保険であるため損害の填補を受けることができない場合に、対人賠償保険を不定額の傷害保険に転換することとして、被害者の救済を図るために設けられたものである。換言すれば、無保険車傷害保険は、被保険者が付保していた対人賠償保険に、それがあたかも加害車両に付保されていたのと同じような効果を与えて、本人が付保した対人賠償保険の保険金額まで被保険者を救済しようとするものにほかならない。そして、無保険車傷害保険においては、基本的に、相手方に任意対人賠償保険が付されている場合と同じ要件の下で保険金が支払われることになるのであり、対人賠償保険が自賠責保険等の上積み保険である(第一章一三条一項三号参照)のと同様に、無保険車傷害保険も自賠責保険等の上積み保険とされている。そうすると、無保険車傷害保険についての上記第三章一条二項の規定は特段不合理とはいえないものであり、これが無効である等という原告らの主張は理由がない。そして、通常の事案では、自賠責保険金の限度額(死亡の場合には三〇〇〇万円)を超過する部分について無保険車傷害保険金が支払われることになるが、本件のように自動車損害賠償保障事業からの損害填補額が減額されたような場合には、賠償義務者の賠償資力を補うという上積み保険としての無保険車傷害保険制度の趣旨にかんがみると、上記の現実の填補額を超過する損害額が無保険車傷害保険の支払の対象になると解するのが相当である。上記第三章一条二項の規定の文言は、このように解することの妨げとなるものではない。したがって、被告会社は、自動車損害賠償保障事業から支払を受けた二〇一五万五二五九円を超える範囲において、原告らに対し無保険車傷害保険金の支払義務を負担するものというべきであって、その支払義務が自賠責保険金の限度額三〇〇〇万円を超える部分に限られるとする被告会社の主張も理由がない。ブログ