●五体俳句0281・髪014・青山茂根01・2016-05-31(火)
○「蜘蛛の糸吐き出すやうに髪洗ふ」(『Babylonバビロン』2011)(青山茂根01)
○季語(髪洗ふ・夏) 「くものいとはきだすやうにかみあらふ」(「俳句201202」より引用)【→五体俳句-索引 →俳人一覧(あ・か・さ・た・な・は・ま・や)】
【鑑賞】:「髪洗ふ」は夏の季語。何がら年じゅう髪は洗うのですが、頻繁に髪を洗うのは汗ばむ夏なので。しかもこの季語はやはり女性の髪にかぎるでしょう。これは蜘蛛ですが、髪が蛇のメドゥーサを想起するような句です。
●青山茂根(あおやまもね)
○好きな一句「ダリヤダリヤ馬肉の熟るる赤さもて」02
○季語(ダリヤ・夏) 「だりやだりやまにくのうるるあかさもて」
【Profile】:1966年、茨城県出身。1993年、俳句を始める。「港」所属後、退会。1998年「銀化」(→中原道夫主宰)創刊より入会、「銀化」同人。2006年「豈」へ参加。「港」「銀化」にて新人賞。第53回角川俳句賞2点獲得作品。超新撰21入集俳人。俳人協会会員。
●五感俳句0281・嗅覚057・ねじめ正也01・2016-05-30(月)
○「水族館汗の少女の来て匂ふ」(『蝿取リボン』1991)(ねじめ正也01)
○季語(汗・夏) 「すいぞくかんあせのしょうじょのきてにほふ」【→五感俳句-索引 →俳人一覧(あ・か・さ・た・な・は・ま・や)】
【鑑賞】:ご存じ「高円寺純情商店街」ねじめ正一のお父上。すべての魚類をのがさず観ようと急いで館内を走り回ってきた少女かも知れません。
●ねじめ正也(ねじめしょうや)
○好きな一句「蠅生る納税の紙幣揃へをり」(『蝿取リボン』1991)02
○季語(蠅生る・春) 「はえうまるのうぜいのしへいそろへをり」(「増殖する俳句歳時記(ナナ・コーポレイト・コミュニケーション)」より引用)
【Profile】:出生年未確認。2007年没。高円寺で、乾物店を営んでいたが、美術・骨董の趣味が高じて1966年に乾物店を廃業し、民芸店を開業。 詩人のねじめ正一の父。
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ねじめ正也掲載句
03自転車の税の督促日短か(日短か・三冬)〈特集555・今年の漢字04(2014)「税」〉2021/11/5
●次元俳句0281・折る(空間)01・上野一孝01・2016-05-29(日)
○「座布団を折りて枕や業平忌」(上野一孝01)
○季語(業平忌・夏) 「ざぶとんをおりてまくらやなりひらき」(→「現代俳句データベース」より引用)【→次元俳句-索引 →俳人一覧(あ・か・さ・た・な・は・ま・や)】
【鑑賞】:陰暦の今日は六歌仙の一人で、伊勢物語の主人公とされる在原業平の忌日(880)。取り合わせの一考察→「座布団を折って枕にする。枕といえば枕詞。そういえば『ちはやぶる神代も‥』は業平の歌だったなあ。」
●上野一孝(うえのいっこう)
○好きな一句「覚めてまた眠りに白のさるすべり」02
○季語(さるすべり・夏) 「さめてまたねむりにしろのさるすべり」(「俳句201311」より引用)
【Profile】:1958年、兵庫県姫路市出身。1975年より→森澄雄に師事、「→杉」同人。1993年より「杉」編集長。『萬里』により杉賞受賞。2010年「杉」退会。2011年高橋博夫とともに「梓」創刊。「梓」代表。日本文芸家協会会員。