●次元俳句0133・対岸(空間)01・中川乙由・2013-06-30(日)
○「浮草や今朝はあちらの岸に咲く」(中川乙由01)
季語(浮草・夏)
昨日まではこっちの岸辺に咲いていた浮草の花。今朝はもう向こう岸で咲いています。あなたの心もまるで浮草暮らしのようにうつりゆくものなのでしょうか((+_+))。
○中川乙由(なかがわおつゆう)(1675~1739)
代表句「涼しさや夢もぬけ行く籠枕」02
季語(涼しい・夏)
伊勢国川崎生まれ。麦畑の中に草庵を結んで麦林舎と号した。→松尾芭蕉晩年の門人であるが、面接は一二度くらいらしく、主として岩田涼菟の門人。凉莵とともに伊勢風俳諧を弘布した。
●三色絵俳句0132・マンションの・透次・2013-06-28(金)
○「マンションの最上階の油虫」(→透次0146)
季語(油虫・夏) →三色絵フォトチャンネルへ
地上のやや高い場所に住んで30年たちます。部屋にいながら雨が着地するところを確認できません。いつでも雨は途中の貌をして落花していきます。やはり人間の棲息するところは「接地」が基本でしょうね。(~_~;)
●特集俳句0132・天体俳句01=月・田島風亜・2013-06-27(木)
「鮎を焼く月若く火も若くして」(田島風亜01)
季語(鮎・夏)
鮎を焼いているのは裏路地でしょうか。まだ明るい夕の空に月が白く浮いています。鮎の火はまだ点火したばかり。あの月もまだ生まれたばかりの若い光を放ちます。単に「月」といえば秋の季語ですが、ここでは「夏の月」です。
○田島風亜(たじまふうあ)(1956~2011)代表句「秋風が芯まで染みた帰ろうか」02季語(秋風)福岡県生まれ。1997年作句開始。2001年「梟」入会。2010年「光円」所属。
●方法俳句0132・同質因果013・田中王城・2013-06-26(水)
○「竹伐るやうち倒れゆく竹の中」(田中王城01)
季語(竹伐る・秋) 「たけきるやうちたおれゆくたけのなか」
【鑑賞】:方法の「同質回帰・因果」。「同質因果」の5句目。伐られた竹が音をたてて倒れます。それは周囲の竹とこすりあう音です。死にゆく竹が生きている竹のなかでたてる音です。
○田中王城(たなかおうじょう)(1885~1939)
代表句「水取や廂につゞく星の空」02
季語(水取・春) 「みずとりやひさしにつづくほしのそら」
【Profile】:京都の書林文求堂に生まれる。中学時代より句作に志し、→中川四明に師事する。早稲田大学商科に学び、→高浜虚子の句の指導をうける。「ホトトギス」同人。俳誌「鹿笛」を主宰。
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田中王城掲載句
2014/11/14 03山二つかたみに時雨れ光悦寺(時雨・冬)〈特集・寺社俳句〉