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学費4000万円!一般家庭から私立医大に進むには(さくら教育研究所)

2022-02-02 | 日記

難化が目立つ医学部

  歯科医師・弁護士・公認会計士は数が増えすぎて、年収300万円未満も珍しくない。

 高級官僚は、現役時代は大手企業と比べれば薄給激務なのに、将来の天下りポストも減る一方だ。東京電力・東芝・日本航空といった有名大企業も安泰ではない。東大を出ても、過労自殺に追い込まれてしまった電通の新入社員の例もあった。

 このように、職業の価値観が変わっていく中、少子化で大学入試の易化が目立つが、医学部だけは別世界である。全国的に難化し、ここ数年では「地方の国公立医大」≒「東大の非医学部」まで偏差値レベルが上昇したケースもある。

 昭和時代のエリートコースが次々と色あせる中で、「医師免許は日本で残った最後の優良資格」と、広く世間で思われているからだろう。

 昭和時代には「女子が医大になんか進学したら、縁遠くなる」と言われて敬遠されていたが、近年では「女性が生涯を通じて働きやすい」「医師の夫をゲットする近道」と、積極的に受験するようになった効果も大きい。 

私立医大なんてムリ? 

 医大進学熱が高まる一方、6年間の学費総額は「国公立」で350万円、「私立」は1850万~4720万円が必要である。国公立ならまだしも、私立なんて「とても通わせられない」とあきらめるのはちょっと待って。

 厚生労働省の調査によると、1世帯当たり平均所得(2013年)を世帯主の年齢階級別でみると、「50~59歳」が722万2000円、次いで「40~49歳」の641万円、「30~39歳」の564万円となっている。

 こういった家庭から私立医大に子どもを進学させるのは無理なのか。世帯年収600万円で私立医大に進学する方法を考えてみたい。

 「学費」と「偏差値」、これがロコツに反比例するのが医大の世界である。

 学費の心配をせずに医師になれるちょっと特殊な大学が三つある。「防衛医官になるなら学費タダで給料をもらえるが、早期に辞めると最大5000万円返還」という防衛医科大。そして、「へき地などに従事するなら学費の返済が免除」される自治医科大、「産業医になるなら学費大幅割引」の産業医科大。いずれも、入試難易度はトップレベルだ。

 学費総額が6年間で約2000万円という“お買い得”な私立医大としては、順天堂大学医学部、慶應大学医学部、東京慈恵会医科大などが挙げられる。昭和時代から難関とされてきた慶應のみならず、順天堂や慈恵のような「東京都内にある“お買い得”私立医大」がいまや、「地方の国公立医大」を入試難易度で凌しのぐようになった。

 各大学が公開している学費総額の最安値は、2017年春に開学する国際医療福祉大医学部の1850万円。首都圏(千葉県成田市)にあるため、新設といえども激戦入試になることが予想される。 

最高値は4700万円超 

 学費総額の最高値は、川崎医科大の約4720万円。偏差値では医大の中で下位グループにある。校名から神奈川県川崎市にあると誤解されやすいが、実は岡山県倉敷市にあり、開設者の川崎祐宣先生にちなんで命名された。

 かつては、卒業まで約5000万円かかるとされた帝京大医学部は「最も高い(かつ、入りやすい)医大」とささやかれた。ところが、14年から約3750万円に大幅値下げすると、東京都板橋区という立地の良さもあって、志願者が急増し偏差値が上昇している。

 では、「学費合計が4000万円を超すような私立医大なら、簡単に入学できるのか?」と言われれば、現在では決してそうではない。近年の医学部人気は私立医大の偏差値も上昇させており、「片田舎の私立医大」≒「慶應(非医学部)・早稲田」レベルまで難化した。

 「東大、早慶を出れば年収1000万円は確実」ともはや言えない時代ではあるが、「医師免許さえあれば、(30代以降は)年収1000万以上」を稼ぐことは難しくない。

 「年収1000万円以上×30年以上」が成り立つならば、私立医大進学は、「4000万円かけても十分に回収が見込める投資」とも考えられる。

 では、世帯年収600万円のような平均的なサラリーマン家庭から、私立医大進学はどうすれば可能なのか?

【1】特待生になる 

 医大進学の最大の目的は医師免許取得である。医師国家試験の合格率は公表され、その合格率ランキングは私立医大の人気ランキングに直結する。ゆえに、特待生制度で「安めの学費で、少数の優秀な学生」を確保して、学生の勉強会グループのコアメンバーとして配置し、大学の国家試験合格率アップをねらう医大が増えている。17年新設の国際医療福祉大は、特待生に選ばれると学費1850万円→710万円と大幅値引きされる。 

【2】ヒモ付き奨学金 

〈1〉大学の奨学金

 近年の若手医師の大学病院離れを反映して、「卒業後に付属病院に勤務」「なり手の少ない専門科(産科、救急科など)に勤務」などを条件にした条件付き奨学金も増えている。

 順天堂大は東京都と共同で「東京都枠」を設けており、貸与した「学費全額+生活費月10万円」を「9年間、都の指定する病院で産科・救急・へき地医療などに従事すること」で返済が免除される超オトクな制度がある。この東京都枠は、慈恵医大や杏林大にも存在する。東北医科薬科大(仙台市)や岩手医大(盛岡市)にも、地元自治体との提携枠が存在する。

 慶應大は「卒業後に研究医になる」ことを条件とする総額1000万円の奨学金がある。これを利用すれば学費は2160万円→1160万円となる。

 こうした奨学金は、大学ホームページで公表されているものもあるが、合格通知書と同封で案内書が郵送される未公開のものも多い。 

〈2〉地方自治体の奨学金

 深刻化する医師不足を受けて、地方自治体が医学生向けに独自に設ける奨学金制度が増えている。

 例えば、埼玉県では医学生に、医師不足地域や専門科(産科、小児科など)で働くことを条件に、「月20万円」の奨学金を貸与している。貸与期間の1.5倍(貸与期間6年間なら、9年間)を同県内の指定病院で勤務すれば返済免除になる。

 特定地域勤務と言っても、いわゆる、へき地は少子高齢化が進行しすぎて出産年齢の女性が激減しており、産科そのものが存在しない。よって、埼玉県で産婦人科を選べば、少なくとも週末には東京都内で買い物などを楽しめる程度の地方中核都市には住めるだろう。

 埼玉県に限らず、医師不足が深刻な自治体では、将来の医師確保対策として同様の奨学金制度を用意している。

 医師を確保するため、自治体や医療機関が民間の医師転職支援業者に依頼すれば、手数料はざっくり医師の年俸の20~30%かかる。すなわち「年俸1500万円の医師ならば300~450万円」が必要になる。せっかく確保した人材もいつ辞めるか分からないし、後任医師の保証もない。

 一方、医学生のための奨学金は、たとえば「月20万円×12カ月×6年間=1440万円」としても、9年間1人の医師をとどめておけると考えれば、年160万円の支出となる計算だ。だから、この奨学金制度は、地方自治体にとってオトクな制度なのである。

【3】学費ローン、貸与型奨学金

  「特待生になる学力はないし、見知らぬ土地での勤務もちょっと……」という場合は、「貸与型奨学金」や「教育ローン」、要するに借金で進学することが可能である。米国でも医大の学費は高額(年4~5万ドル×4年間)だが、学費ローンを利用する学生が多く、「医大生時代の10~20万ドルの借金を抱える研修医」はフツーである。 

〈1〉日本学生支援機構(旧:日本育英会)による貸与型奨学金

 世帯年収が800万円未満ならば、「月6万円(無利子)」の貸与型奨学金が利用できる。さらに「医大生ならば月16万円(有利子)」奨学金も併用できる。これなら、6年間合計で最大1584万円を借りることができる。 

〈2〉銀行ローン

 「学費に4000万円かかっても、年収1000万円以上が30年以上続けば返済できる」という計算式は、金融のプロたる銀行員でなくても簡単に思いつく。

 というわけで、「医学部限定、上限3000万円までの教育ローン」という金融商品が多くの銀行から提供されている。「住宅ローンをもう一つ背負う」レベルの覚悟があれば、学費の捻出は不可能ではないのだ。

 私立医大の偏差値急上昇の一因は、中流家庭出身者の私立医大受験への参入がある。急速な少子化の進行によって1人息子や孫1人のような家庭が急増しており、親族の財産を結集すれば学費を捻出できるケースが多い。「孫が医者になる」というのは、祖父母にとってもうれしいものなのだ。

手っ取り早く借金を返す方法

  さて、3000万~4000万円の借金を抱えた若手医師が、最も効率よく返済できる専攻科は何だろうか?

 特に女医の場合、妊娠出産後にバリバリ稼ぐことは困難なので、その前には借金を完済しておきたい。私のおすすめは、産婦人科、特に産科である。

 産科医は激務かつハイリスクゆえに全国的に不足している。

 安全なお産には365日24時間体制での対応が必須であり、当直は産科医の宿命である。帝王切開は夜中の緊急手術も多い。2006年には帝王切開中の妊産婦死亡をめぐって執刀した男性産科医が逮捕されるという事件もあった(08年に無罪確定)。

 しかし、産科の特性から女医率は高く、産育休取得者や残業・当直免除者が多い。

 ただ、近年では「フリーランス医師」に見られるように、「リスクや激務には、相応の対価を払うべき」という意識も医療界に浸透しつつある。当直や帝王切開の可能な産科医は、現在では男女を問わず超売り手市場が続いており、「『中堅私立医大卒、月8回当直可能な医師』>『東大卒、昼間の外来しか担当しないママ女医』」なのだ。

 産科医不足を背景に、「産科医になること」を条件にした奨学金は多いし、「産科当直月8回」の覚悟があれば「30歳で2000万円超」を稼ぐことは困難ではない。「卒後6~8年で完済」も可能になる。睡眠不足に耐える体力・精神力と強い意志があれば道は拓ひらけるのだ。 

情報収集は親、本人は勉強に専念すべし 

 医大入試は情報戦でもある。

 各医大の定員は80~120人なのに、推薦・AO・一般・地域枠・センター利用など複数の入試方法が入り乱れており、しかも毎年のようにコロコロ変わる。入試問題の傾向も大学ごとに違う。このあたりのノウハウは医大専門予備校に行けば相談できるが、予備校の学費もそれなり(新車一台レベル)だ。

 センター試験が終了した今から受験生が自分で情報収集を始めると、勉強時間は確実に不足する。という訳で、私立医大を目指す覚悟が親子ともにできたならば、本人は勉強に専念し、親は奨学金や銀行ローン、受験スケジュールなどを調べてあげるのが望ましい。

 また、受験会場までのアクセス確認も重要である。医大キャンパスや入試会場は、不便な立地のことも多く、複数校の受験に際しては無理のない移動スケジュールや交通機関の手配も併せて確認しておきたい。

 では、Good Luck!