昭和三十年三月三十日(月)
明日から四月。兎も角気持ちを入れ替えてと一応は思ったが、どう入れ替えるのか皆目見当がつかない。とりあえずあまり物事に拘らない、要は脳天気に徹することと結論付ける。それしかないだろう。
十時、冬物を数点手押し車に乗せてかみさんと出かける。クリーニング店が手狭なので、表で車に腰かけてかみさんが受付を済ますのを待つ。まるっきり絵にならぬボーズである。スーパーに寄り、パンやら果物を物色して帰宅につく。気温がかなり上昇していて、家に入り買い物を整理して二階に上がると、どっと汗がふきでる。いよいよ夏到来か、靴下を脱ぎタオルで頭や顔の汗を拭う。これから外出から戻れば、これに加えてステテコ一枚になって、大汗を拭う行事が繰り返される。今からいささか憂鬱になる。いや、この考えがいけないのだ。さっきなんだかんだと悟った筈なのにと即反省する。テレビで盛んに南北会談の経緯を放映している。