老いは確実に日々忍びよってくる。ならば老いと上手に付き合って行こうなんて、殊勝に考えたりしているこのごろである。そんなわけで昨日朝食をすませてから、外は曇天そして雨模様の気配であるので、こんな日は読書に限ると早々と炬燵にもぐり込んだ。
二三日前に買った2冊のうち1冊の文庫本を開く。荻原浩氏の「神様からのひと言」と題する分厚い読みでのある小説である。すべての人に元気をくれる笑えて痛快!サラリーマン小説。売れてます!続々重版65万部突破との新聞広告に魅せられて買ったものである。
帯にも同様の惹句があり、期待を持って読みだした。しかし冒頭から違和感というか、どうもどっかで記憶のあるようなないような内容で不思議な気分である。しかしどんどん引き込まれていく面白さに40ページほど読み進んでしまう。
そうかと本を閉じ、下に降りて納戸の本箱を調べて見ると、それこそ最近買って読み片づけた箇所に同じ本が収まっているではないか。ヤラレタ!と思わずつぶやき、苦笑してしまう。そしてニヤニヤしながら部屋にもどり、かみさんに一部始終を語って「齢は取りたくねえ」とボヤキ節である。
この始末、初めてのことではない。過去に2回ほど経験がある。しかしそれはかなりの月日が経ってからの話であって、今回のようにホント日にちを置かずに購入するなんてことは皆無のことである。
「オトウサンもそろそろですか、あたしのこと言えないわね」そうなのだ。かみさんは高峰秀子のエッセーが好きでよく読んでいるのだが、同じ本を3冊も買っていたことがあるのだ。
まあ腐るものではなし、読む本がないときは以前に読んだ本を持ち出して2度3度と読み返すこともあるので、よしこの本をどこまで読み続けられるか試してみようと決心する。文庫ながら解説を入れて449頁の大冊である。
なお、最初の本は34刷。今回の本は36刷である。