自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

新・映像の世紀~米ソ冷戦時代から日米関係を考える

2016-01-28 12:45:32 | 自然と人為

 映像資料で過去から現在を考えることは、映像解説にもよるが強烈な影響を与えてくれる。先日(2016年1月24日)、放送された新・映像の世紀「第4集 冷戦~世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた」は、是非皆さんにお知らせしたい番組だと思った。
 私は古稀も過ぎ、独りではどこにも行けない歩行困難な身となったことが悔しいが、次の世代のために自然を大切にし、憲法を守りたいという立場からこのブログを書いている。

 新・映像の世紀「冷戦~世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた」(動画)は、「資本主義のアメリカ、社会主義のソビエト。冷戦時代、両陣営は激しいスパイ合戦を繰り広げ、両陣営の権力者は異常な監視社会を生みだし、人々の自由を奪った。米ソは直接戦うことを避け、アジア、南米、アフリカなど世界各地で代理戦争を繰り返した。CIAは秘密工作によって外国の反米政権を次々に転覆させた。」等を公開された映像を基に解説している。
 本格的な米ソ冷戦は日本への原爆投下から始まったと私は思っているが、米ソ冷戦が日米関係に及ぼした影響について、この番組が私の視野を拡大し考え方を深めてくれた強烈な印象について紹介しておきたい。

1.ナチスをスパイに採用したCIAと赤狩り(動画)
 米ソ共にドイツ敗戦後にお互いの懐疑心から、兵器開発とスパイ活動を強化するためにナチスの科学者やスパイを大規模に採用したことは知らなかった。迫害されたユダヤの国、イスラエルの建国を支持する一方で「ホロコースト」のナチスの犯罪を許して、お互いに仮想敵国への対応策を最優先にした。ここでは米ソ冷戦が日米関係に及ぼした影響を見るために、アメリカの情報機関、CIAとFBIに焦点を合わせて動画を紹介している。

 日本の東条内閣の商工大臣としてA級戦犯とされた岸信介が東条英樹死刑の翌日に釈放されたこと、多くの戦争犯罪者が公職追放を解除されたことは、この米ソ冷戦と共産党支配の中国がからむ朝鮮戦争を契機に日本をソ連、中国の反共の砦に利用したものと思われる。

 NHKの「戦後70年 ニッポンの肖像」は、-世界の中で-第1回 信頼回復への道 2015年06月19日(動画)では、サブリミナル効果を狙ったのではないかと思える岸信介の写真をしつこく使い、アジアとの戦後賠償に岸信介が大きく貢献したかのごとく編集している。戦争を肯定し反省していない岸信介がアジアに誠実に戦後賠償をしたのではなく、利権で動かした不誠実なツケがその国の政情不安をもたらし、今も慰安婦問題等で残っているのではないか。第2回 冷戦 日本の選択 2015年6月20日(動画)に於いても、冷戦を経済成長した日本の沖縄変換問題として解説するなど冷戦構造の理解をゆがめる意図的な編集がなされている。
 また、-政治の模索-第1回 保守2大潮流の系譜 2015年07月18日(動画)においても、日本をアメリカのソ連、中国の反共の砦とするために釈放された岸信介がCIAの支援をバックに政権復帰したことには触れられていない。

 「戦後70年 ニッポンの肖像」はメディアの支配に熱心な安倍政権下の今つくられたが、戦後80年にはどのような番組が編集されるのであろうか。憲法が改悪され国家主権となって東ドイツ時代の監視社会(動画)の様に市民生活の自由が奪われ、もっとゆがめられた番組になるのであろうか。それとも国民が憲法を守り続けて、国民主権の番組に改善されるであろうか。岸信介と安倍晋三の関係を問題にした下記のブログを知ったのは、この番組に啓発されて調べてからである。
戦後70年特別企画 安倍首相の祖父“A級戦犯”岸信介の正体
安倍首相が心酔するおじいちゃん・岸信介の戦争犯罪!
A級戦犯の岸信介が処刑を免れたのは何故か?
昭和天皇が嫌っていた松岡洋右と安倍晋三は親戚だった!そして岸信介がA級戦犯不起訴になった本当の理由。

2.CIAの秘密工作と反米政権の転覆~イラン(動画)
 パーレビ国王と王妃のことは知っていても主権国家として英国の支配下にあった石油産業の国有化と、政治体制を民主化したモサデグ政権のことは知らなかった。メディアの報じる一面的側面で世界を理解したつもりになっていることが多いが、この番組はそのことに目覚めさせてくれた。この映像を知って調べたら下記のブログもあった。
イラン石油国有化後のCIAの策謀
イランとアメリカに怨念の歴史
アラブ世界で起こっていること  その2 イランについて

3.核戦争の危機(動画)
 お互いに相手を信用せず疑心暗鬼に陥ることがスパイ体制を生むが、スパイから得た情報判断によって核戦争を回避できた例もある。その世界を破滅から救った人類の恩人であるスパイ、ペンコフスキーはソ連で処刑され、核の先制攻撃を主張したルメイ将軍は勲一等旭日大綬章を入間基地で航空幕僚長から授与された。その時の政権は、佐藤栄作総理大臣、防衛庁長官は小泉純也(小泉純一郎のオヤジ)。ルメイ将軍に対する叙勲はおかしいと思っていたが核の先制攻撃を主張していたことまでは知らなかった。愚かな支配者が得られた情報からとんでもない判断をすることを考えるとゾッとする。情報を国益の名の下に隠ぺいすることは恐ろしいことだ。それにしても日本の支配者は信じられないほど米軍に媚びへつらい、小泉純一郎とブッシュとの関係もその延長にあるのだろう。
ルメイの勲章
日本焦土化作戦の立案者 カーチス・ルメイに対する海外の反応
恥を忘れた日本人:小泉首相の遠足外交に全米が仰天

コイズミ「求愛劇場」の終幕
小泉元首相を回想するブッシュ夫人

4.ケネディ大統領暗殺、そしてキング牧師暗殺とベトナム戦争(動画)
 アメリカは大統領が暗殺される恐ろしい銃社会だ。しかも、その真相が闇の中にあるのは、坂本龍馬暗殺者を闇の中とした明治政府と似ている。ケネディの暗殺によって大統領に就任したジョンソン政権に隠ぺいの疑いが残る。ジョンソン政権時代にはベトナム戦争に反対したキング牧師もFBIから脅迫され、何者かによって暗殺された。

 アメリカの映画組合でCIAのスパイとして赤狩りに積極的に働いたレーガンは大統領となり、ソ連を「悪の帝国」と非難し、西ヨーロッパにアメリカ製中距離核ミサイルを配備しただけでなく、スターウォーズ計画と皮肉られた宇宙空間からソ連のミサイルを打ち落とすというSDI(戦略防衛構想)に着手した。一方、日本では憲法改悪に熱心な岸信介の流れをくむ中曽根は訪米時に日本列島をアメリカの不沈空母にすると発言し、「ロンヤス関係」と呼ばれるほど関係を深めた。
 また、読売新聞と日本テレビもCIAの末端組織と言われるほど関係が深く、日本の政治経済、メディアから裁判所は、アメリカのCIAを通しての支配下にある。なお、原発問題についてはドイツ国営テレビ放送ZDFがどう報じているかをを含めて別の機会に紹介したい。

 ベトナム戦争も原爆投下も、アジア、南米、アフリカなど世界各地で代理戦争を繰り返したのも、その背景にはキング牧師暗殺に象徴されるようにアメリカの開拓時代からの根強い人種差別があると思う。
 人間は組織と国がある限り、どこに行っても差別と支配の欲望から抜け出せないようだ。集団と個人の問題を克服し、人類の理想(動画)を貫くには、自然を大切にし、世界に誇れる日本の憲法を守り、他者との競争を熱きエネルギー源とするのではなく、他者との共創を正義とする教育と社会を根気強く、静かに築いていくしか道はない。この番組から私はそう確信した。

参考:新・映像の世紀
NO.1 百年の悲劇はここから始まった(動画)
 中東問題を生んだイギリスの三枚舌「百年の悲劇はここから始まった」43分~より(動画)
NO.2 グレートファミリー 新たな支配者(動画)
NO.3 時代は独裁者を求めた 2015.12.20(動画)
NO.4 冷戦~世界は秘密と嘘(うそ)に覆われた(動画)

初稿 2016.1.28 動画修正 2016.12.2


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