自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

高校生の意識-日本・アメリカ・中国・韓国の比較ー

2015-09-14 21:37:26 | 自然と人為
平成27年8月、国立青少年教育振興機構「高校生の生活と意識に関する調査」 -日本・アメリカ・中国・韓国の比較ー を発表している。
 高校生は多感な時期であるが、私は大学に入ってから、いろんな考え方や世界があることに目覚めたように、一般には育った環境から意識は生まれる。したがって高校生の意識調査は、我々が漠然とその国について想像しているよりも、その国の世間的常識に近いのではないかと思う。そこで高校生の意識調査の結果を通してそれぞれの国を比較想像してみた。
1.親子関係
 日本は工業化や都市化等により中山間地域の過疎化と核家族化が進んだが、今や高齢化が進み夫婦2人から一人住まいへと住環境の過疎化が進んでいる。
 少子化が進む中で「どんなことをしても自分で親の世話をしたい」と思っているのは日本は37.9%で最も少なく、中国は87.7%と最も多い。10年前と比較しても5.2%減少している。その背景に何があるのだろう。



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 「家族との生活にとても満足している」のは、日本と韓国は39%で、中国、米国の50%程度より低い。また、いずれの国も2005年、2011年、2014年と増加している。「親の期待にプレッシャーを感じる」のも中国63.6%、米国62.0%、韓国52.2%に対して日本29.5%で最も低い。「親(保護者)をとても尊敬している」のは日本37.1%、中国59.7%、米国70.9%、韓国64.6%と日本が最も低く、米国が高い。

 この調査結果を専門家は、「日本の親子関係は『敬い、老後は世話をする』のタテの関係からヨコの関係の『友だち関係』になりつつあるのではなかろうか」としている。

2.自分について
 もう一つこの調査で気になるのは、日本で「人並みの能力がある」について、とてもそう思うのが7.4%で、中国33.3%、米国55.9%、韓国16.7%と比較し最も少なく、「ダメな人間と思うことがある」については、そうとても思うが25.5%と最も多いことである。

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 私の小学校時代、戦後10年は貧しかったけれど、サラリーマンという職種を知らず、親は農業や商業、下駄の街の家内工業で一生懸命働き、子供は地域の繋がりの中で大人の優しい視線を感じながら地域で遊ぶ「子供の世界」があった。子供たちは地域グループで年長者の親分が引き連れて里山でドングリを採り、池でフナを釣り、川や海にも遊びに行った。

 今は駅前商店街も家内工業も姿を消し、地域外に勤務に行くサラリーマンが普通になり、子供の学校を通じて母親同士がつながり、大人が子供会を指導するのが常識になってしまった。運動会でも順位を競うことや、地域や紅白に分かれての競争は姿を消し、人それぞれの能力や個性を発揮する場がなくなってしまった。子供たちが巣立っていくと、母親同士は毎月少しづつ預金して、ささやかな食事会で地域の繋がりを求めている。

 このように地域共同体に活力がなくなったことが、子どもの活力や自信にもつながっているのではなかろうか。この調査は日本、中国、米国、韓国について、いろいろと比較して考えるきっかけを与えてくれる。専門家は調査対象の高校生について次の解析をしているが、自然体験を小学生から実施すれば、さらに効果は上がるであろう。
 「希望はある。今回の自然体験をした者は正義感・思いやりが生まれ、自尊感情が高まり、自立意識が高まる、というデータがある。高校生の体験活動が生き方を前向きにし、自信を持たせるのである。今の『内向き』志向の高校生を『外向き』にさせるには、行動半径を広げ、多くの人との交流をする様々な体験を積ませなければならない。それが早道である。」

初稿 2015.9.14

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