自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

経済と社会のあり方~お金の根源を問う

2015-09-04 14:53:46 | 自然と人為
 「豊かさというのは本来は人間の心が豊かに、一人ひとりの人間が人間らしく生き生きと生きて行くことができるような状態を『豊か』という。20世紀を通じて追及してきている豊かさは『まやかしの豊かさ』だったと思う。」

  あの人に会いたい 宇沢弘文(1928年 - 2014年)(2)

 経済学者宇沢弘文さん、経済成長理論で世界に貢献した一方で、利潤や効率中心の経済の生み出す社会の矛盾を早くから警告、環境と人間を重視した経済発展のあり方を提言し続けました。

 「環境と人間」を重視する経済、それは、経済と社会は自然界の一部であるので、『人間を含む自然を重視した経済発展はどうあるべきか』と21世紀に求められている大きな課題だと思う。
 宇沢弘文先生が亡くなられて1年になろうとしているが、この問題をさらに考えたいと思いWeb検索していて、「改めて人のための経済学ってなんだろう?と考えてみる」(動画あり):(削除された宇沢先生の動画の一部)に出会い、NHK-BS放送(NHKスペシャル)、1999年(平成11年)5月4日放送の「エンデの遺言~根源からお金を問う」(動画)と「続エンデの遺言 坂本龍一 銀行の"未来”」(動画あり)を知った。

 ミハエル・エンデ( 1929年 - 1995年) は宇沢先生の1年後の生まれでドイツの児童文学者として活躍し、その死に際しドイツ大統領が「現在のドイツ人でエンデの本とともに成長した記憶を持たない人はいません」と哀悼の言葉を語っている。日本ともNHKの番組を含め関係が深く、「エンデの遺言」の番組を残してくれたことに深く感謝したい。

参考:
エンデの遺言~根源からお金を問う~テキスト起こし
エンデの遺言~根源からお金を問う~シナリオ要約

 この番組ではシルビオ・ゲゼル『自然的経済秩序』 (訳) で提案したスタンプ通貨について紹介している。現在は「お金」はコンピュータの記録に過ぎないが、市場で利益を生むことが期待され、銀行で利子を生むのが常識とされている。しかしお金は人々やモノ・コトの交流のために必要なもので、お金を貯めて使わない、すなわち使わないと価値が低下していくものというのがスタンプ通貨の考え方で、世界大恐慌の際にヴェルグルに導入されて大成功をした。現在は「地域通貨」として知られ、地域の共同体の維持、活性化に期待が寄せられている。

ヴェルグルの奇跡 ゲゼルの自由貨幣理論を導入して大成功
地域通貨:ヴェルグルの労働証明書
シルビオ・ゲゼルの「ロビンソン・クルーソー物語」
シルビオ・ゲゼルの減価する貨幣の可能性と問題点
松岡正剛のシルビオ・ゲゼル
エンデの遺言、シルビオ・ゲゼル、イサカアワー、イスラーム金融
地域通貨の歴史
貨幣の流通速度(スタンプ通貨からエンデの遺言まで)
減価する貨幣の理論
地域通貨によるコミュニティの再生
地域通貨の将来像 - 国立国会図書館(2005)

 しかし、最近では地域通貨の話題が少なくなってしまった。「お金は天下の回りもの」とも言い、循環するからこそ価値のあるものである。地域通貨は短期間に地域で複数回流通させることに意義があるが、それが売上金とみなされ消費税の対象とされるという。消費税導入は1988年竹下内閣だが、その後何が変わったのだろう。お金は貯めるものではなく、自然や地域の資源を循環させるされることに意義がある。循環させることで資源を食いつぶすことは、人類の生存にとって危険である。また、循環させているお金を、消費税で国が回収するには、そのお金だけでなく税金は、人類の生活を破壊することが明白な軍事費には絶対に使わないで、自然と資源を循環させるために使う義務があろう。政治とは人類を幸福にするための仕事だ。
 いずれにしても『エンデの遺言』もゲゼルの『自然的経済秩序』も刺激的な考え方であり、もっと勉強したいと思う。

 2020年の東京オリンピックも近づいてきた。このオリンピックも真夏に開催するなんて自然を無視して非常識だが、マスコミは問題にしない。福島原発は海を汚していないと世界に嘘をついて誘致したオリンピック、何故、オリンピックなのだ!オリンピックの意義もお金の起源も無視して、利益追及に汚れたオリンピックなんか返上したほうが良い!今、大切にしなければならないのは何だ!

 私はキャンペーン"「巨額の建設費をかけない新国立競技場を求めます!」"に賛同しました。スポーツは多くの人が参加し、実践することに意味があるので、巨額建設費の競技場は必要ない。

初稿 2015年9月4日 追加更新 2015年9月5日
削除された動画やリンク先等の変更 2018.9.20

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