(この日のメイン料理・真鯛のポアレ)
田園調布にあるフランス料理店「セ・ラ・ヴィ」へ行ってきました。”C'est la vie” は「それが人生だ」の意味。場所は東急線田園調布駅から2分くらいのところです。
料理が美味しいのはもちろんですが、ゆっくり落ち着いて楽しめるお店でした。
(セラヴィの店構え)
ちなみに昔の田園調布駅舎は特徴がありましたが、東急線の工事にともなっていったん解体されました。私が大学院生だったころの一時期に、家庭教師でこの田園調布駅近くに通っていたことがあります。駅は作り直されていますが、昔の駅舎は2000年に新しい駅に復元されています。昔を知っている人間には、新しいショッピングセンターと古い駅舎の組み合わせに不思議な感覚を覚えます。
この日行った「セ・ラ・ヴィ」は、東口から線路沿いに北に向かってすぐの場所にあります。店内に入ると5テーブル16席の小さなお店ですが、テーブル同士がそれほど近くないし、落ち着いた雰囲気です。店内が狭いわりには窮屈な感じのしない、くつろげるスペースになっています。
先にネットで調べて、2500円コース(パスタ・メイン1品など)と3300円コース(メイン2品など)かと思って行きましたが、行ってみたところ、この日のランチは2500円コース(一口前菜・オードブル・スープ・パスタ・メイン・デザート・コーヒー)と3000円コース(一口前菜・オードブル2品・スープ・パスタ・メイン・デザート・コーヒー)でした。せっかくなので、3000円コースとグラスワインをいただきました。
(一口前菜・フランスパンのグラタン)
一口前菜はこのお店の定番らしくて、フランスパンの上にグラタンを乗せたもの。最初に出るアミューズとしては熱々で重めですが、小さいので重すぎることはありません。
それから一皿めのオードブルはホタテとアオリイカ。焼いたホタテには数種類の香草やケッパーを使ったソースが、アオリイカにはイカ墨のソースが添えられていて、それぞれ素材との組み合わせを楽しめます。
(ホタテとアオリイカのオードブル)
(2皿めのオードブル・マッシュポテトのクレープ)
次は、3000円コースだけに付く2皿めのオードブルで、マッシュポテトをクレープ包みしたお料理。下にはボロネーズソースが敷かれていました。この料理は、私は初めて食べました。これもオードブルとしてはかなりしっかりしたお料理です。
ちなみに、アミューズと2皿めのオードブルがともに温かいお料理なので尋ねてみたところ、この日は急に気温が下がったので、2皿めのオードブルを冷たい料理から温かい料理に変更したとか!たしかにこの日は、前日より10度以上も気温が下がって、少し肌寒く感じる日でした。気候に合わせたメニューを出そうとする気遣いにも感心させられました。
次のスープがガスパチョ(スペインの冷たいトマトスープ)。それによって、アミューズからメイン、デザートまで、「温→温と冷→温→冷→温→冷」と並んでいて、温かいお料理と冷たいお料理が交互に食べられるのも嬉しいところでした。
(冷製トマトスープ・ガスパチョ)
(この日のパスタ・ペペロンチーノ)
コースにパスタが入っているのがフレンチ・レストランにしては珍しいところ。その意図するところは聞いてみませんでしたが、ガスパチョ、パスタ、南仏のワインという組み合わせからして、全体に南フランスや地中海的なコンセプトのコース設定と受け取りました。
もしイタリアン・レストランで自分がパスタを注文するなら、ペペロンチーノを頼むことはあまりないと思います。どうしても、トマトソースやホワイトソースのパスタの方が好きで頼んでしまうのですが、食べてみたらこの方が良かったと思います。トマトやホワイトソースのパスタだと満腹感が強くなってしまうので、コース途中の料理としてしていただくのであれば、ニンニクと鷹の爪を使ったペペロンチーノが後の食欲をそがなくて、いい組み合わせでした。
メイン料理は、冒頭の写真に写っている「真鯛のポアレ」です。それ自体はよく出される料理でですが、この日の「真鯛のポアレ」は下にキノコソース、上にバルサミコソースと、上下に違ったソースがかかっているのが特徴です。私は、バルサミコソースはそれほど好きなわけではないのですが(特に嫌いでもありませんが)、このお料理はパリッと焼けた真鯛と二つのソースの組み合わせを楽しむことができました。これまでいただいた数々の「真鯛のポアレ」の中でも指折りの美味しさでした。
(この日のデザート・冷たい苺スープとキャラメルムース)
最後にいただいたデザートは、冷たい苺ソースとキャラメルムース(写真)か、キャラメルムースの代わりにココナッツのブラマンジェ。私は甘いだけのデザートよりも、少し酸味のあるデザートがほしいので、冷たいイチゴのスープがあるのは嬉しいところでした。
それから付け加えると、先にグラスワインとしていただいたのが、白・赤ともにフランスの「コート・デュ・リュベロン」(Côtes du Luberon)。けっして高級ワインではありませんが(このお店ではグラスで600円)、その値段のわりにはたいへん美味しいワインでした。1988年にADC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ=フランス農産物に与えられる最上級の等級)に認定されたワインだそうで、今度自分でも買って飲んでみようと思いました。
なんだかほめてばかりですが、しいて物足りない点と言えば、料理の選択肢がないということでしょうか。マッシュポテトのクレープがあるかないかだけが選択肢だったので、メニューはほぼ1種類です。ただ、私は食べられない食材がありませんし、フレンチ・レストランに入ったらアラカルトではなく必ずコースで注文します。ですので、メニューの選択肢がないことは特に気になりませんでした。
小さなお店ですから、無駄な食材が出るよりも、その分リーズナブルな価格でコースを提供してもらえれば、その方がありがたいと私は思います。この値段でこの内容のお料理をいただければ満足で、十分楽しんでくることができました。今度は夜にも行ってみたいと思います。