フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



  写真はロンドンの無料新聞『METRO』(3月14日版)第1面

 東日本の大地震から10日が経ちました。

 私は地震の発生時から1週間ほどの間、日本にいませんでした。地震発生時、私は日本からロンドンへ向かう飛行機の中にいて、ロンドン到着の1時間ほど前に初めて機長からのアナウンスで地震のことを知りました。しかし、その時には「日本で大地震がありましたが、詳しいことはわかりません」というアナウンスでした。その後、ロンドンに着いたものの、日本時間の深夜過ぎで、日本の家族や知人に連絡をとるのに苦労しました。日本時間の翌朝になって、ようやく私の家族の無事を確認することができました。
 その後、私は3月11日(金)から18日(金)までのちょうど1週間をロンドンで共同研究の職務にあたり、日本時間の19日(土)夕方になってようやく日本に着きました。その間、主にテレビとインターネットとメールを通じて、日本の状況を知ろうとしました。日本にいないもどかしさはありましたが、一方で海外でもこれほど日本の地震が大きく取り上げられていることに驚かされました。通常の日本への無関心ぶりはどうかと思うことがありますが、このような大惨事で注目されるのは悲しいことでした。

 インターネットでは主として日本の新聞社の報道を見ていました。また、宿にいるときにはテレビをつけたままにし、24時間ニュースを放送し続けている「BBC・NEWS」チャンネルを見続けていました。地震の当日から数日間は、24時間放送の(私が見ている限り)ほとんどすべての時間を日本の大地震報道にあてていました。それほどの大災害だったのです。
 その後1週間を見ると、次第に地震そのものの報道より原子力発電所の事故と放射能汚染の問題に重点が移り変わっていきました。CNNの場合は株や為替の問題にもかなりの時間を割いていたようでしたが、BBCニュースについては、原発事故と放射能にきわめて奥の時間を使い、原子力の専門家を招いて解説してもらうという時間が増えました。

 こうした報道を反映してか、海外からの知人から多くのメールや直接の声かけをもらいました。
 まず地震直後には、主に韓国・中国に住む教え子や知人から多くのメールをもらい、私と私の家族の安否を気遣ってもらいました。それが数日経って原発事故と放射能問題の報道が多くなると、今度は主としてヨーロッパ在住の知人から心配の連絡をもらうようになりました。中には「自分の家に住んでいいから、日本には帰らない方がいい」という申し出ももらいました。その気持ちには涙が出るほど嬉しく思いましたが、それほど日本の状況が危険なものなのかとかえって心配になりました。

 その後、19日(土)夕方に成田空港に到着しました。首都圏の状況が思っていたより平穏で、その点では安心しました。しかし、今なお東北地方を中心に不自由な生活を続けている多くの方たちのことが心配ですし、東京電力福島第一原子力発電所の事故の今後にも大きな不安を感じます。
 ともあれ、日本に戻って家族がそろってよかったと思いますし、職場や地域においてもできることをしていきたいと思っています。



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