(問)京都地裁で更新料支払特約があっても契約を法廷更新した場合には、借主に更新料支払義務は無いという借家での判決があった。他に約定更新料の支払義務無しという借家に関する高裁又は最高裁の判例はあるのか。
(答)東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。
具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。
地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981年7月15日判決)とした。この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断を下している。
このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。
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(答)東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。
具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。
地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981年7月15日判決)とした。この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断を下している。
このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。
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