東京多摩借地借家人組合

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借地の更新料請求訴訟で組合員が全面勝訴 更新料574万円の請求棄却

2011年12月19日 | 契約更新と更新料
 渋谷区で41坪を借地しているYさんは、20年の借地契約が平成18年12月末で期間満了し、翌年の19年2月に更新料として借地権価格の1割の計算で574万円の更新料を請求され、地代も増額を請求されました。河野さんは、組合の学習会にも参加していて、更新料については支払義務のないことを知っていたので、直ちに更新料の請求を拒否するとともに、地代の増額についても地主の請求は公租公課の4・1倍で高いので、地代値上げも拒否しました。

 昭和62年の前回の更新の時は、Yさんの父親が700万円の更新料を支払ってしまいました。平成2年に父親が亡くなり、Yさんが借地を相続しました。地主は、弁護士を代理人に立て、更新料を支払うよう何度か請求がありましたが、その都度明確に更新料の請求を拒否しました。地主の代理人は更新料の支払いに応じないなら、訴訟を提起して解決する、年5分の利息をも合わせて請求すると言っていました。

 今年3月に提訴され、Yさんは組合の顧問弁護士を代理人に立て争い、10月に判決が下りました。結果は、原告(地主)の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする。以上の判決が下り、被告のYさんが全面勝訴し、地主は控訴せず判決が確定しました。

 今回の裁判で最大の争点になったのは、更新料支払の合意があったか否かでした。原告は、昭和62年の契約更新の際に借地人が更新料の支払があったことをもって、将来の更新時にも更新料を支払う合意が成立していると主張。被告は将来の更新時に更新料を支払う合意はしていないと主張しました。

 東京地裁の裁判長は、「本件借地契約書には更新料の支払について定めた条項はない。そうすると、昭和62年の本件借地契約の更新の際に更新料の支払いがあったことをもって、直ちに、将来の更新料を支払う合意が成立したとは認めがたいというべきである。…… その他原告の主張を認めるに足りる証拠はない。よって、主文のとおり判決する。」と地主の更新料請求は棄却されました。

 このように、東京地裁の判決では、20年前に更新料を支払ったことをもって、契約書にも更新料を支払うとの明確な合意がない場合には、更新料を請求する根拠はないとしています。逆に、契約書に「更新料として借地権価格の5%を支払う」と明確に書き込まれ、借地人が契約書に署名すると、更新料の支払う合意があったとされてしまう恐れがあるので注意する必要があります。(東京多摩借地借家人組合ニュース12月号より)


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借地人の家主から建物買取った地主が借家人に明渡し請求

2011年12月17日 | 明渡しと地上げ問題
 北区西ヶ原で平屋一戸建住宅を親の代から賃借中のYさんは、今年10月初めこの地で有数の地主が突然不動産屋を連れてきて、「借地人より建物ごと買取ったとので今後孫に使用させる」と言って即明渡しを請求。また家賃が安い、建物が古い等言い掛りをつけ、あげくのはて目が悪いのに態度が気に食わない等悪態をついた。Yさんは組合に相談し、建物は前所有者と合議の上自己負担で修理行い手直し等を続けて使用してきた、再び身体的な言動をするようなら人権侵害で訴えると反論した。その後、賃料の受領拒否で法務局に供託した。


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合意更新でなく法定更新で、更新料の支払義務なし

2011年12月14日 | 契約更新と更新料
 戦後の日本復興を担った京浜工業地帯で物作りの町工場が集中して栄えた。大田区西
糀谷地域で、約30坪を賃借している山野さんは、平成23年10月の契約期間満了期日を控
えて、地主より長期不況にも関わらず更新料の請求を受けて、知人の紹介で組合事務所
を訪ねてきた。

 不況で仕事は減り日々の生活に追われている状況で更新料の支払に回す資金はなく、
さらに、契約書に「合意の上で更新する場合は、適正な更新料を支払う」との特約条項
が気がかりという。助言は、通常通り更新料は法律上支払う義務はなく、最高裁判所の判決は地主の借地人への更新料請求を却下しており、安心して支払拒否して法定更新を選択することを地主の問い合わせの際に伝えることにした。助言どおり対応すると、地主は山野さんに内容証明郵便を送り、更新料支払わないなら契約を解除するとか、法定更新するとの主張や組合に相談していることに不満の態度を示し、裁判に訴えると通告してきた。早速、山野さんは所有建物が現存しており、更新の条件は整えていること。従って更新料を支払わず契約の合意更新には至らないので、法定更新もやむを得ないと内容証明郵便で通告した。

 11月になって、地主の通告通り東京簡易裁判所より調停期日呼出状が届き、早速、打ち合わせを行う。調停裁判は話し合いなので更新料は払わないことを最後まで主張する。法定更新を主張し、更新料の支払の特約条項は適正な更新料などなく、金額を算定できる明確な特約ではなく更新料の請求権は認められない。今回は、山野さん自身で調停裁判に望むことになった。(東京借地借家人新聞12月号より)


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一度下げた家賃を再び大幅値上げを請求された

2011年12月12日 | 地代家賃の増減
 荒川区東日暮里4丁目で木造2階建店舗兼住宅(約30坪)を平成4年から家賃18万円で借り、水道工事や水洗トイレの新設と修理する自営業を営んでいるSさんは、今年6月に家主の代理という娘と同行してきた不動産屋から「家賃4万円の値上げに応じなければ弁護士でも誰でも聞いてみろ、裁判すれば1回で追い出せる」と恫喝された。

 Sさんは確かに借りた当時家賃が月額18万円だったが、バブルが崩壊した後、一時的に仕事もなく家賃すら支払いに困難となり、平成14年に家主に減額を申入れ、家主の理解を得て月額16万円に値下げしてもらった。景気は一向に回復せず16万円の支払いも苦しい毎日だった。千田さんは意を決して廃業を覚悟し、平成18年に借家を返し他を借りると家主に申入れたところ、「そんなに大変なら家賃10万円で結構ですよ」といわれ現在に至っている。家主の娘の話では「家主は少し認知症なので今までの家賃減額の話はご破算にしてほしい。その上で4万円値上げする」とのことだった。

 Sさんは3者で弁護士のところに相談に行った。結果は家主側に分が悪く、家主側から何も言ってこなくなり、最近になって家主側から「仕方がないので同じ条件で借り続けて結構」との返事が届き、Sさんは一安心した。(東京借地借家人新聞12月号より)
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