東京多摩借地借家人組合

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ハウスクリーニングの借主負担は不当ではないのか

2008年05月18日 | 敷金と原状回復
Q: 賃貸住宅では「礼金」を払うのが一般的になっているようですが、是正できませんか。また、ハウスクリーニング代の請求は不当でないのでしょうか。

A: 1.礼金の授受について
 礼金その他の一時金の授受は賃料の額の決定と同様に、貸主と借主双方の民事上の契約で決定されるものですが、礼金の授受は必ずしも全国的に行われているものではなく、首都圏を中心に見られる慣行です。
 建設省では、賃貸借契約書のモデルとして平成5年に「賃貸住宅標準契約書」を作成しましたが、その中では、礼金の位置づけはなく、礼金の授受を行う慣習がない地域では契約書に規定することが適当でない旨、地方公共団体及び関係業界団体を通じて指導を行っています。
 また、公的な支援を受けて建設される住宅金融公庫融資の賃貸住宅、特定優良賃貸住宅などでは、家賃の3か月分を超えない敷金を授受することを除いて、礼金その他の名目の一時金を徴収することは認めておりません。

2.ハウスクリーニング代の請求について
 一般的に退去後、原状回復費用として、借主の清掃の有無に係わらず、貸主がハウスクリーニングを実施する場合が多くあります。その場合、費用は借主負担とするものが大半を占めるようです。
 これは、借主が清掃を実施せずに退去したり、また清掃が行われていたとしても十分でなかったりすることから、一律にハウスクリーニングを実施しているものではないかと思われます。
 このようなハウスクリーニングを含め退去時に、畳・ふすまについては毀損や汚損の程度に関係なく取り替えることとするような契約も見受けられますが、民法第601条では、修繕義務は貸主が負うとされているものの、この規定は任意規定のため、当事者間で特約によりこれと異なる費用負担を定めることは可能です。
 契約書においてこのような特約を規定している場合には、一応有効と解されますが、特約条項を設けていても、通常損耗については賃料で回収しており、この場合の特約は、故意・過失又は通常でない使用をしたために発生した場合の損耗について規定したものと解すべきとするいくつかの判例があります。(7/8/8東京簡裁等)



(1998/12/04 国土交通省住宅局 民間住宅課)




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