CHARLES MINGUS PRESENTS CHARLES MINGUS
MINGUS AH UM: Charles Mingus
この海賊盤らしからぬ海賊盤が、わたしのファースト・コレクション。オリジナルのレーベルは、以前に主張するレーベルと紹介したＣＡＮＤＩＤ。このＣＡＮＤＩＤは経営的には上手く行かず、版権をアンディ・ウイリアムスに渡したことも、以前にお話した。
フランスのＡｍｅｒｉｃａ３０が、この海賊盤の発売元である。ところがこのＡｍｅｒｉｃａ３０が大きく成長したのである。「直立猿人」の再演や、名盤となった３枚組みの「ザ・グレイト・コンサート・オブ・チャールス・ミンガス」などを世に出してくれたのである。今にして思えば、このプレゼンツ・ミンガスは、オリジナルの版権が自由にならないミンガス自身の肝いりでＡｍｅｒｉｃａ３０に出させたのかも知れない。
怒れるミンガスが、主張するレーベルのＣＡＮＤＩＤで録音したのであるから、当然にして問題作となる。その曲が「オリジナル・フォーバス知事の寓話」。リトル・ロック事件の処理で、肌の色による依怙偏頗(えこへんぱ)な政策をとるフォーバス知事を、強烈に揶揄する。これによって、極東の島国に生きるわたしでも、フォーバス知事の名を知るという、まあ日本で言えばフォーバス知事は末代の恥となった。ミンガスのグループを抜けたがっていたエリック・ドルフィーと、ミンガスが「ホワット・ラブ」で、やめさせてくれ、いやだめだ、と楽器（ bclとb ）で対話をしている、と聴く評論家もいるようであるが、然り。
．．．と聴きながら、書いていて、これピアノ・レスだったのだと発見してしまった。声がでかいと（主張が鮮明だと）、気が付かないもんですね。
"Presents Charles Mingus" America(FRA)30_AM-6082 Folk Forms No.1 / Original Faubus Fables What Love / All The Things You Could Be By Now Charles Mingus (b) Eric Dolphy (as、b.cl) Ted Curson (tp) Dannie Richmond (ds) 1960/10/20
ＣＡＮＤＩＤの「フォーバス知事の寓話」は２度目の録音なのに、オリジナルと命名した。これもミンガスらしいところである。初演はこのＣＢＳ盤である。ＣＢＳのプロデューサーが強烈な主張を抑えさせたのだろう。
この初演となったＣＢＳ盤も、牙を抜かれた訳ではなく、その後たびたび演奏される曲が、初登場している名盤である。例によって、誰と、何時やったのかが記載していない。たまたま、ミンガス・マニアがディスコグラフィーなどというものまで持っているので写しておきます。
"Mingus Ah Um" CBS(USA)CS-8171 Better Git It In Your Soul Goodbye Poke Pie Hat / Boogie Stop Shuffle Self-Portrait In Three Colors Open Letter To Duke / Bird Calls Fables Of Faubus / Pussy Cat Dues Jelly Roll Charles Mingus (b) Jimmy Knepper (tb) John Handy (as、cl) Shafi Hadi (as,ts) Booker Ervin (ts) Horace Parlan (p) Dannie Richmond (ds) Willie Dennis (tb) 1959/05/05 12
こんなレコードを聴いていると、ジャズがつまらなくなったのは、今のジャズに何も主張がないこともあるのかも知れん。
投稿済み・準備中を含め アルバム・ジャケット一覧 を用意しました。
2005/05/14 ものずき烏 記
（参考）
2005-05-09 マックス・ローチ：ウイ・インシスト ←ＣＡＮＤＩＤレーベルについて
2005-07-06 ミンガス：’６４ヨーロッパ・ツアー（タウン・ホール）
2005-07-07 ミンガス：’６４ヨーロッパ・ツアー（ブレーメン）
2005-07-08 ミンガス：’６４ヨーロッパ・ツアー（パリ）
2005-08-03 ミンガス：直立猿人（’５６、’７０）
