私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

明日の日本への「台湾の声」~台湾英字紙、社説で日本にエール

2005年11月03日 | 台湾

先月末はワシントンでの「2プラス2」や内閣改造と慌しい動きがありましたが、今日は文化の日の旗日です。私自身日章旗何か持ってないのですが、先日赴いた台北市は、ナショナルデー(双十国慶節)の直後とあって、随所で国旗を目にしました。それでなくとも、台湾では建物の屋上等に翻る国旗をよく目にするのですが、日本国民ももう少し国旗を重んじる習慣づけをした方がよいのかもしれませんね。

Editorial: A Japan that can say `let's go'(Taipei Times)

私は中国語とかはさっぱりなので、このTipei Times紙を重宝しているのですが、昨日11月2日に<A Japan that can say `let's go'>(日本語訳)という読み応えのある社説が掲載されていました。
憲法改正に向けての動き等、地域の安定のために「普通の国」として歩んでいこうとする日本の立場への支持を明確に打ち出し、地域の安定としての日米同盟の役割に期待するとともに、台湾を初め近隣の民主主義国はそうした日米に協力すべきである、と訴えているのですが、日本へのエールが非常に清清しく映ります。 (←昨日外出前にさらっと一読してここにテキトーなこと書いて外出した次第なのですが、今朝原文を読み返して見ましたら改めて産経新聞も真っ青の正論っぷりに感激です!)

■ 「普通」の国として歩む日本を支持

<A number of recent developments have highlighted the Japanese government's efforts to play a greater role in regional security, and Taiwan should do everything it can to support these moves.>
(地域の安全保障により大きな役割を果たそうという日本政府の努力を示す動きが最近いろいろと見受けられるが、このような日本の動向に対し、台湾は出来うる限りの支援を行なうべきである)


<Therefore, while the US and Japan continue to search for the means to keep their security relationship healthy, responsible governments in the region should support these efforts.>
(従って、日米両国が安保関係を健全に保とうという努力を続ける限り、この地域の各国の責任ある政府は、日米両国の努力を支援すべきなのである)


ずばりこの部分が要旨であり、国際社会において「普通の」国になるべく憲法改正といった着実な歩みを続ける小泉内閣を<正当な努力>と評価し、そうした日本と堅固で均衡の取れた関係を維持することが、台湾にとっての国益でもあると訴えています。
同社説では、また、こうした動きの背景として、金で安全保障を賄うという一国平和主義的なプロトコルが過去のものとなるとともに、中国や北朝鮮の独裁体制の思惑に対する自然な懐疑心から、平和と安定の維持のために将来を見据えた体制作りが必要だという日本国民の意識と理解が形成されつつある点を指摘しています。
当然のことながら、こうしたムーブメントは「軍国主義や帝国主義の復活を目論むものでは決してない」と述べているのですが、こうした日本の動きに懐疑的な日本国民がいるというのは全く滑稽なことです。現に一昨日のTipeiTimes紙では、「今回の内閣改造で憲法改正、軍国主義化云々」という捨民党福島党首の談話(これはAFP配信の記事ですが・・・・)が掲載されており、期せずして苦笑した次第です。

■ 噂の<極東三国>も一刀両断!

<And although Chinese ultra-nationalists and their "Greater China" lackeys rant about Japan's history of military aggression in World War II, these critics would do well to remember that it is China that has fought in four international conflicts since 1945 -- against South Korea and the UN, India, the Soviet Union and Vietnam -- and is now the world's most rapidly modernizing military power.>
(中国の超国粋主義者と「大中華」の下僕達は、第二次世界大戦における日本の軍事侵略の歴史に関して非難轟々だが、彼らは1945年以降の中国が、対韓国や国連軍、インド、ソ連、ベトナムと4回もの国際紛争を戦い、現在世界で最も軍事力を急速に近代化させている国家であるということをよく銘記しておくべきである)

<It is hardly odd for a Japanese politician to be wary of North Korea. The Japanese shogun Hideyoshi Toyotomi was famously alleged to describe the Korean Peninsula as "a dagger pointing at the heart of Japan," and given the bellicosity and open hostility of the North Korean regime, it is little wonder that most modern Japanese still feel this way.>
(日本の政治家が北朝鮮に警戒心を持つのはおかしなことでも何でもない。かつて豊臣秀吉が朝鮮半島を「日本の心臓に向けられた剣」と評した有名な話もあるが、北朝鮮の好戦的性向や公然たる敵意を鑑みると、現代の日本人の多くが秀吉と同様の感慨を抱いたとしても何ら不思議ではない)

<In any other country, criticizing hostile regimes would be considered common sense, not hawkish, but the unforgiving and myopic nature of Chinese and Korean nationalism refuses to countenance a Japan that is anything other than accommodating.>
(如何なる国に於いても、自国と敵対的な政治体制を非難することは「タカ派」でも何でもなく、常識であるとされているが、中国や韓国の容赦なく近視眼的な民族主義的性向は、くみし易い相手国という以外の日本を認めようとはしないのである)

日本の新聞も、これくらい書いてくれれば溜飲が下がるのでしょうが、日本人が朝鮮に感じる潜在的な脅威を、豊臣秀吉の言葉を引用して分析しているのは非常に面白いですね。(こんな話は私は存じませんでしたが・・・・)
また、拉致問題等に関連して北朝鮮批判をする安倍氏を「タカ派」呼ばわりするマスメディアは正確でないとも指摘しているのですが、米紙同様、対外的な知名度という点においては、やはり安倍氏が一歩リードなのか(あくまで「知名度」に関してですが・・・・)と非常に興味深く思った次第です。

■ 地域の安定役としての<日米同盟>への期待

李登輝前総統も、先日ワシントンでの共同通信とのインタビューの場で、「地政学的にも日本、台湾、韓国、フィリピンといった民主主義国家の連携が不可欠である」と述べていましたが、<新しい危機構造の到来>(記事)に対し、民主主義の防波堤としての日米同盟の強化は不可欠であり、日本がフラフラすることは地域の安定と平和の阻害要因となりかねません。
以前、「日本は〝太平洋の英国〟を志向し、地域の安定に寄与すべきである」(記事)と思った次第ですが、同盟変革の方向性としてもそのような筋書きが読み取れつつあります。
ポスト冷戦後の今日を概観すると、欧州の戦略的な地位が低下するのと反比例するかのように、極東、中東地域といった所謂<不安定の弧>の脅威は増すばかりです。例えばロシアにしても、かつてはベルリンの鉄のカーテンで対峙していたのが、その舞台は今や中央アジアへと移っていますし、テロという<新たな脅威>への対応も求められる時代となりました。こうした状況の変化をふまえ、米国の世界戦略の軸足が移り、変容を遂げてきているわけです。
知日派のアーミテージ前国務副長官も、「米国の一国覇権主義は20年後はどうなっているか判らないので、日本がしっかりすべきだ」というメッセージを再三日本に送っていますが、同盟の相手国としての日本の積極的な関与と、地域の安定を護っていくという断固たる決意が今こそ必要とされる時はないと言えるでしょう。そうした日本に台湾は期待を寄せ、地域の安定のために日米に協力すべきだとTipei Timesの社説は訴えているのです。

社説は、<And the only question for Taiwan is: "How can we help?">(台湾にとっての唯一の問いは、「どのような支援ができるのか」という点に尽きる)と結ばれているのですが、単に「台湾は日本に好意的だなぁ・・・・」で終わっては意味がありません。日本が同じ問いを突きつけられたら如何に回答すべきか、その<模範解答>を早急に練り上げていくことが肝要と言えるのではないでしょうか。

※写真・・・・台北市、忠考敦化付近

黄色いタクシーを見ると、台湾(台北)って感じが個人的にはいたします。

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13 コメント

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ううっ (A/T)
2005-11-04 16:21:52
良くぞ!

何でこう言う正論を、日本以外のマスコミの方が書いてくれるんだ。

日本も見習えよ、特にアサ……あ、今一瞬で諦めた自分が。

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TBありがとうございました (相対的価値ブログ(日本人的視点))
2005-11-04 16:51:18
こういう米国の記事の公平さをみると、日本のマスコミは何をしているのかと感じるばかりです。

もっとも、白書にははじめて中国の軍事力の脅威を日本政府がまとめているのですが、それも国民にどれだけの人が注視しているのかということです。

こうしたバランスある記事をこれからもどうぞご紹介していってください。

よろしくお願いします。
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TB有り難う存じます (チラシ)
2005-11-04 18:34:28
この台湾発の文章が2ちゃんねるでも取り上げられていて、

自分も2ちゃんねるで眼にしました。

読んでいて、こうしたエールを送ってくれている台湾に対して

日本のしている事は随分と、冷たいな・・・と個人的に感じて

しまいました。

李登輝前総統が訪日を希望しているそうですし、

是非、いらして戴きたいです。外務省も町村氏からの流れで

変化の兆しが御座いますから、ちゃちゃ入れんなよ!!と。

しかし、こうした正論を言う新聞社なりなんなりの言論機関不在が

日本のお馬鹿を表しているようで不甲斐なく感じます・・・。
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TBありがとうございます (猫研究員)
2005-11-05 01:01:22
すばらしい記事を紹介してくださり、ありがとうございます!思わず英文を朗読してしまいました(笑)日本のマスコミは戦略を論じさせるとたいていは全然ダメなんですよねぇ。この地域の安定のために日米台の目指すべき道は明らかであるというのに…。三者三様に「同盟国」として互いを必要とし合っています。
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塩蜆 (worldwalker)
2005-11-05 01:10:13
台湾と聞くと塩蜆を食べたくなる。これがあるとごはん10杯いけます。

http://www.osk.3web.ne.jp/~hihiro/alishan-3.jpg
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これはすごいですね・・・。 (やくも)
2005-11-05 01:10:59
Tipei Times紙のこの社説初めて拝見致しましたが、いやはやtsubamerailstarさんの言われる通り産経新聞も真っ青と言えますね。同じ近隣諸国でもここまで見識が異なっているのはある意味清清しいです。朝日新聞社はこの社説に対してどのような感想を抱いているのか興味津々です(笑)



さて今日までの日本はそんな台湾に報いるようなことが出来ているのか、全く考えさせられる社説だと思います。日本のメディアこそこのような社説を掲載して頂きたかったですね。
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台湾は日本を映す鏡 (tsubamerailstar)
2005-11-05 15:43:38
>A/T様、相対的価値ブログ(日本人的視点)様、チラシ様、猫研究員様、やくも様



皆様がご指摘されているとおり、日本の現状が見えて、単に感激でなく、色々と反省させられることが多いですよね。

皆様が共通して指摘されている日本のマスゴミの情けなさ・・・・猫研究員様は、「具体的な戦略等を論じるのが日本のマスコミは苦手」と指摘されていますが、確かにそういった骨太な社説何て皆目見た記憶がありません。抽象論振りかざすだけではもはやオピニオンリーダーどころか、こうしてブログ等が普及し、メディア・リテラシーが鍛えられる世の中とあっては恐竜のように時代に取り残されて衰退することともなりかねませんね。



また、やくも様がご指摘されているように、台湾政策に関する戦後の日本の政策不在の姿、高砂義勇隊として大東亜戦争に赴いた元行軍兵士の方などは、「今度また日本が戦争する時はまた立ち上がる。このことは孫達にも言ってある」等と言う方もいるというのに、旧宗主国としてあんまりじゃないかと思うのですね。その辺りの〝ツケ〟が大きな代償としてしっぺ返し食らうことがないかという危惧の方が正直大きいです。

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TBありがとうございました (とんぼがえり)
2005-11-05 21:45:25
台湾という国を独立国家として存在させるなら、純粋に立場的に見ても、こういう理屈しか成り立たないわけですよね。

日本も現実として中国との「日常のお付き合い」はしなくちゃいけないけれども、安全保障として考えるなら答えははっきりしている。おっしゃる通り、現在は日米同盟を強固にするしかない。



中国が陰に陽に働きかけてくる国家であるということを、リベラル(左翼ではなくて)寄りの人間は軽視しすぎているように見えます。一定の事項において中国に絶対譲歩しない大切さというのを、あまり認識していない。

麻生さんについては、今のところ判断は保留しているのですが、『親台湾=右寄り』という認識もどうなのかと思います。まあ実際そういう傾向にあるのが、頭の痛いところではあるんですけど(苦笑)、政治判断としては台湾独立支持しかありえないことを、そしてそれなら中国は絶対受け入れないんだということを、もうちょっと日本のマスコミははっきり書くべきなんでしょうね。

朝日新聞とかが(爆
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平凡会社員 (統一を目指す台湾?)
2005-11-06 11:15:45
台北タイムズの記事は、日本人にとっては非常に感動的ですね。



ところで、ぶっちゃけ台湾は今どのような状況なのでしょう?

日本にいますと”陳政権の支持率は国共トップ会談以降ガタ落ち、国民の多くは「パンダ」を心待ちにしていて、中国が打ち出す「同朋(台湾人)優遇策」にメロメロ、李登輝外遊には批判的で、台湾意識よりも中国人意識が増幅、馬英九は抗日の記憶(のようなもの)を大声で語り継いでいる”っていうふうにしか見えないんですが。



日本国内の情報をあさっている限りでは、台湾は今にも統一しそうな勢いに感じますよ。
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ズルズル行ってしまわないかと・・・・・ (tsubamerailstar)
2005-11-06 14:10:22
>平凡会社員様



現状は全くご指摘の通りだと思います。先ほど「どっちに転ぶか判らないやじろべえ」何てと書いておりましたらタイミングよく平凡会社員様のコメントが。(笑)



台湾に行ったり、台湾の人と話していると<積極的に統一>というのは大勢ではないようなんですね。事実行政院大陸委員会の両岸関係に関する世論調査でもそんな数字です。ただ、ずるずると、なし崩しにといった誘引が一番不味いんじゃないかということと、そこら辺の危機感がイマイチ南方系で暢気に構えているんじゃないかなぁという気がします。

営業でも受験でも、目標以上の数値設定してやっとこさ目標行くか行かないか、といったところがあるじゃないですか。それと似たようなものかなぁと・・・・安直に流れるがままの現状維持志向では、経済的な結びつきが深化した中国に引っ張られるのは必然のようにも思いますね。



心情的にはともかく、実際問題台湾がそっちに転ぶことも想定して防衛戦略等を考えておく必要があろうかと思います。

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