私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

日本は<新しい危機構造の到来>に如何に備えるべきか?

2005年10月04日 | 極東情勢(日本とその周辺)
今月の石原慎太郎都知事の「日本よ」(産経新聞連載)は<新しい危機構造の到来>というタイトルでした。中国の軍拡、政治社会体制の不安定さがアジア地域にもたらす影響と、外交基盤における米国のプレゼンス低下の両面を「新しい危機構造の到来」と指摘し、「その認識の上に今後我々は危機に備えて何をなすべきなのだろうか」と結んでいます。

■ とにかく〝合意文書〟ありきだった六カ国協議

今回の六カ国協議は極東における米国のプレゼンス低下を痛感する象徴的な舞台でした。
途中休会後も「核の完全放棄」を迫る米国と、見返りを同時並行で要求する北朝鮮との間での意見の隔たりが際立っていましたが、結局共同文書では「新たな軽水炉建設」の項目も盛り込まれ、共同文書採択から一日も経たないうちに、「鶏が先か、卵が先か」という米朝の見解の食い違いが報じられ、図らずも合意文書が<玉虫色>の内容だったことがあらわとなりました。具体的なプロセスは次回の協議に持ち越しとなり、あたかも〝利息〟だけとりあえず返済して〝元本〟の返済を先送りしたような印象です。
交渉の過程で議長国の中国が米国に、「共同声明に署名しないなら、失敗の責任は米国にあると発表する」と強い圧力をかけていたことも報じられていましたが、8月末のハリケーン「カトリーナ」の被害で国内が混乱する中、米国は「とにかく合意文書まで持っていき、米国としての体裁を整えよう」という焦りを見透かされていたのではないでしょうか。
北朝鮮を「悪の枢軸」と名指ししたブッシュ大統領のかつての威光はそこにはありませんでした。

■ 不運続きのブッシュ政権

大統領就任前のブリーフィングで「米国の脅威は、アルカイダ、大量破壊兵器の拡散、中国の軍事的台頭である」と明言した共和党ブッシュ政権の誕生は、日本や台湾にとっては大歓迎すべき政権交代でした。
大統領自身、父ブッシュ氏の影響か、俳句作りにもチャレンジしする程の知日派であり、「中国は戦略的競争相手ではあってもパートナーではない」とまで断言した姿は、かつて「悪の帝国」ソ連を崩壊に導いたレーガン大統領を彷彿とさせましたが、前代未聞の911同時多発テロで早くもその路線は軌道修正を迫られました。イラク、アフガニスタンへの対テロ戦争では中国の理解と協力が不可欠であり、先が見えない対テロ戦争に加えて、<不安定の弧>は、朝鮮半島、台湾海峡、中央アジア、イラン、イスラエル・パレスチナ等など発火点のオンパレードです。
未曾有の対テロ戦争が長引いた結果、軍事面も含め極東における米国のプレゼンスは低下し、目下米軍のトランスフォーメーションが愁眉の急となっています。そこに追い討ちをかけるように二つのハリケーンが到来と、本当に「泣きっ面に蜂」といった塩梅です。
同盟の相手方たる日本はそうした状況を把握しつつ戦略的かつ能動的に動いているようにはおよそ見受けられないどころか、自衛隊のイラク派遣やインド洋での海上給油活動を声高に非難する怪しげな平和団体や、思考停止した極左政党の声が際立っているのは全く由々しき事態です。

■ 「新しい危機構造の到来」に如何に備えるべきか

今後のブッシュ政権は、未曾有の大災害の事後処理とイラクからの撤退を求める世論の高まりといった国内事情への対処に手一杯という事態も予想されます。というよりも、それを前提として、ブッシュ政権の残り任期中に、日本なりの戦略を練っていくのが急務といえるのではないでしょうか。具体的には遅々として進まない在日米軍のトランスフォーメーションの道筋を一日も早くつけることと、同盟の相手方として「保安官助手」を務められる程度の体制作りを急ぐことだと思います。
知日派のアーミテージ前国務副長官は、「共和党のアジア政策の基本は、強い日本との同盟だ。米国と日本が堅密に協力すれば、ロシアや中国の脅威など問題ではない」とシンポジウムの席で述べたそうですが、共和党ブッシュ政権は、日本が「太平洋の英国」へと飛躍することを望んでいますし、米国だけでなく、台湾もそうした日本と連携したいと再三秋波を送っています。台湾だけでなく日本が一国平和主義から覚醒し、地域の安定に寄与することは、ASEAN諸国にとっても歓迎する向きが多いと思います。
クリントン政権時代に、尖閣諸島に支那の民兵が上陸した事件に関連して、モンデール駐日大使が「尖閣は日米安保の範囲外」と発言し、大使解任に至る大騒ぎとなったことがありましたが、逆に言えばその程度の米国の対日政策のブレは想定しておかねばならないと言えるのではないでしょうか。この発言は中国を調子付かせることとなりましたが、とどのつまり、日本単体では何も出来はしないと舐められているということなのです。
日米関係を顧みると、共和党と民主党では極端なまでに対日政策が異なる傾向にありますが、未来永劫共和党政権が続くわけではなし。クリントン政権時代の再来のような事態が再来したとしても、慌てないだけの備えをしておけば、通商関係はさておき、安全保障に関しては大騒ぎせずに済むわけです。
物事には「潮目」というものがありますが、日米関係が良好で、日本の政権基盤が固まっているその潮目が変わらないうちに対処しておく必要があると思います。

「強い日本たれ」というアーミテージ前国務副長官の言葉が、石原都知事が投げかけた問いに対する、時点での最適解と言えるのではないでしょうか。

※写真・・・・ブッシュ大統領と小泉首相(AFP)

11月の首脳会談はどうなることやら・・・・

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3 コメント

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今のところは (ピア)
2005-10-05 20:34:11
こんばんわ、コメントありがとうございました。

最近のネットの力で、いかに中韓がおかしなことを言っているか、いろんな人が実感していると思いますが、まだまだ国内の抵抗勢力は強く、力強い日本という方針をとるにはいたっていません。ここはもうしばらくアメリカの力を借りるほかないと思います。

またよろしくお願いします!
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Unknown (morokuzu)
2005-10-08 10:46:07
tsubamerailstar さん、コメントありがとうございます。



(記事と関係のないコメントで、すみません)



コンサートやオペラはお金もかかりますが、ドイツとの友好年ですし、

存分に楽しめますね。



一方、韓国との友好年の今年、韓国でのねぶたのイベントの観衆が

たったの3,000人とのことで、もう友好年の行事を取りやめるべきだ

と思います。韓流スターの金儲けに利用されるだけで、 文化的な高

まりが全く期待出来ません。ドイツとの友好年とは全く逆ですね。



↓韓国と絡んだために、荒れています



http://morokuzu.exblog.jp/3579040/
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ねぶたのイベントの件 (morokuzu)
2005-10-08 12:08:30
tsubamerailstar さん、コメントありがとうございます。



9月24日にソウルで日本と韓国のお祭り等の文化交流のイベントが

ありました。



その新聞等をまとめた記事があります



http://morokuzu.exblog.jp/3561325/



ねぶた祭は170万人も人が集まるイベントなんですが、韓国では

観客が3,000人しか集まらなかったようで、中日新聞の記事のよ

うに盛り上がらなかったようです。
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