私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

台湾に好機到来~米評論家、日米同盟の深化に期待(Taipei Times)

2005年11月06日 | 台湾

今朝NHKの日曜討論を見ておりましたら、捨民党のオバハン議員が、「日米同盟を強化するから中国が軍拡に走るので云々・・・・」と例の調子で話していましたが、中国や北朝鮮が脅威の対象であり、問題の根源であるという発想が何故できないんでしょうねぇ。今日は沖縄でもデモ何かやっているのかもしれませんが、中国の軍拡や北朝鮮の核に対して声高に反対の声を挙げたなどとは寡聞にして存じません。日本というのは<主客転倒>という四字熟語の意味を知らない奇妙な人たちが多いようです。
「Taipei Times」紙に<Taiwan has a golden opportunity>(日本語訳)という米評論家James Auer氏の署名記事が掲載されていました。氏は国防長官のオフィスで10年間対日特別顧問を務めたそうですが、極東の安保政策に関してはかなりのエキスパートのようです。記事中では、10月25日に開催された「台米日三カ国戦略対話」(台湾週報記事)に出席された元自衛隊幕僚・川村純彦氏のコメントも掲載されていますので、タイミング的に氏もこの会議に出席されたのかもしれません。

◆Taiwan has a golden opportunity(Taipei Times)
◆【主張】普天間移設問題 平和のコストも考えたい(産経)
◆米国防長官の訪中日程終了 軍拡路線牽制に足場(産経)
◆日本版「動く海上基地」で高速輸送艦を導入 政府、米に伝達(産経)

■ 日米同盟の深化はアジアの民主主義国共通の国益

ワシントンでの「2プラス2」での声明(2月19日、10月29日)および08年の横須賀への原子力空母配備決定といった日米両国の同盟深化に向けた動きについて、James Auer氏は「他のアジアの民主主義国家の国益に繋がり、台湾の自由にも絶好の機会を贈るものである」と高く評価しています。それ故記事のタイトルが、<Taiwan has a golden opportunity>(台湾に好機到来)となっているのですが、当然のことながら、氏は中国や北朝鮮の脅威を念頭においています。

<The threat of North Korea's 200 plus intermediate-range Nodong missiles directly threaten Japan in the way that Chinese missiles threaten Taiwan. China helped to create North Korea's nuclear weapons program and now desires to force Taiwan from a path of self-determination to one of repression in a similar fashion to that of former president Chiang Kai-shek .>

(北朝鮮が保有する二百基以上の中距離ノドンミサイルは、台湾に対する中国のミサイルと同様、直接的な日本への脅威となっている。中国は北朝鮮の核開発計画への支援を行い、台湾を自決の途から、元総統の蒋介石が行ったような抑圧を強いようという思惑を抱いている)

<If China succeeds, not only will Taiwan lose the freedom it has enjoyed since the end of martial law and the advent of free national elections, but US and Japanese security in the Western Pacific will be compromised. China also wants to replace the US as the chief source of influence in East Asia by driving a wedge between Japan and the US and by convincing Taiwan, Southeast Asian countries and even Australia that they would be better off following Beijing rather than Washington.>
(中国の思惑通りになれば、戒厳令後自由な国政選挙が実施されて以来台湾が享受してきた自由が奪われるだけにとどまらず、西太平洋地域における日米の安全保障が危機にさらされることとなる。また中国は日米関係に楔を打ち込み、台湾や東南アジア諸国、さらには豪州にさえも、米国より中国に追随する方が得策だと信じ込ませることで、米国に代わって極東地域での主たる影響力の掌握を目論んでいる)

何時でしたか、米国防総省が日本の将来について言及している記事を読んだ記憶があるのですが、それによりますと、日本の方向性としては、(1)従来の日米同盟の維持・発展、(2)米国と離反し中国の傘下となる、(3)孤立した軍事国家となる、の三つの選択肢があるとされていました。もっとも(3)の可能性は極めて低いとの予想でした(小林よしのりみたいな偏狭かつ非現実的なナショナリストは別として、フツーの日本人はそう思うでしょう・・・・)が、そうなると日本のパートナーは、米国か中国かの二者択一ということになります。
実際地政学的な観点では、ランドパワーとの対決を避けたシーパワーはその軍門にひれ伏す運命をたどるといった法則めいたものがあり、実際日本はアヘン戦争以前の中華皇帝の華夷秩序に断固たるNOを突きつけ、日清・日露の両大戦を経て独立を維持してきました。
私は捨民党や凶惨党支持者ではありませんので、今さら華夷秩序に隷属するなど全く冗談ではないと思うのですが、日英同盟に反対した孫文のように、中国というのは伝統的に日本とアングロサクソンの仲に茶々を入れるのが趣味のようです。そうした中国の離反工作に踊らされることなく、アジアの民主主義を堅持していかねばなりませんし、特に台湾に関しては、96年のミサイル危機がそうであったように、日米の安全保障にも直接の影響が及びます。
従って、日米同盟が果たすべき役割については、単に二国間でどうのこうのと矮小化するのでなく、<アジアの自由・民主を護る防波堤>という観点からの理解と、展望が不可欠であると思います。
その意味では産経の記事にある日本版シー・ベイジング構想のような、日本側からの提案の動きが見られるようになったのは好ましいことです。(勉強を全くしようともしない子供が珍しく30分机に向かったレベルかもしれませんが、それはそれで一歩前進ということで・・・・)

■ 台湾を二度失うのは日本にとって致命的

Auer氏は2月の「2プラス2」で採択された「共通戦略目標」に関して、

<What this means is that, unless the Taiwanese people choose to become a province of China, the US and Japan will act to maintain Taiwan's choice to determine their livelihood independently of Chinese coercion. The Oct. 28 statement about the nuclear carrier and the Oct. 29 joint statement means that Washington and Tokyo will have a far more efficient means of achieving those Common Strategic Objectives.>
(この共通戦略目標は、台湾の人民が中国の一州になるという選択を行わない限り、中国の圧力に屈することなく自らの生き方を決定したいという台湾の人民の選択を守るべく日米両政府が動くということを意味している。28日の横須賀への原子力空母配備の決定と翌29日の共同声明は、日米両国が「共通戦略目標」達成に向けてより効果的な手段を得たということなのだ)


と述べているのですが、残念ながら氏が述べているような「共通戦略目標」のメッセージが台湾の人民に伝わり、安心感を与えているのかというと甚だ疑問な部分があります。
台湾の政界はシーパワー志向(日米寄り)の与党とランドパワー志向(中国寄り)の野党(記事)のつばぜり合いが、今年2月の野党訪中以降際立ってはいましたが、ここのところ汚職疑惑(なる台NEWS)を初め、与党の悪材料が目立つ報道も散見され、12月3日の県・市長選での与党の苦戦は否めないのではなかろうかと思われます。日米vs中国の台湾を巡る綱引きは、中国に引っ張られつつあるのではないかという強い懸念を抱く次第です。
汚職云々のスキャンダルは台湾の与党の責任以外の何でもないのですが、日米両国、特に911以降の米国の極東へのプレゼンス低下は、陳政権にとって打撃となりました。
台湾に対して好意的だった発足当時のブッシュ政権ですが、911以降は対テロ戦に手一杯で、とにかく台湾海峡は<衝突回避>を旨とし、陳政権が提唱した国民投票や憲法改正の動きに対しても、「中国を刺激する」という理由から反対の立場を表明しました。止むを得ない側面があったとはいえ、結果的にそれが「米国の支持を得られない」陳政権への不信へと繋がり、04年の立法院選に響いた側面も否めません。
ここで台湾を失ったら日本にとっては二度目ということになります。一度目は、50年間多大な投資を行った宝の島・旧領台湾を敗戦で失ったわけですが、まともな民主主義国である台湾を今度失ったら、日本にとっては致命的で、安保体制の再検討等そのツケを払わされるのは必至でしょう。もっとも、日本は敗戦以降旧宗主国としての責任等の一切を放置してきたわけですから、自業自得かもしれません。
心情的なものは別として、安保政策に関しては、韓国同様台湾も<やじろべえ>宜しくどっちに転ぶか先が読めないという点を十分に勘案しておく必要があります。その意味では、米軍のグアムへの戦略爆撃機や原潜配備といった動きは、台湾有事を見据えるとともに、ポスト台湾有事、即ち、台湾が中国に「自らの意思で」併呑され、防衛ラインが台湾海峡の中間線からバシー海峡まで南下することも念頭に置いていると読めるのではないでしょうか。

<The Oct. 28 aircraft carrier decision and the Oct. 29 statement of the US and Japanese governments are evidence that by linking Taiwan to the US-Japan alliance, today's young Taiwanese and their children may continue to decide their own futures, a hard fought legacy achieved by their parents and grandparents after much suffering.>

(10月28日の(横須賀への)原子力空母配備決定と翌29日の日米両政府の声明は、台湾が日米同盟と結びつくことで、台湾の若者とその子孫が、自らの未来を彼ら自身の手で決定し続けることができるかもしれないという証であった。それは、彼らの父母、祖父母たちが刻んできた多大なる苦難の歴史の遺産でもあるのだ)

先日赴いた台北市の228記念館では、我々が当たり前のように享受している自由や人権といったものを手に入れるために、台湾の人民がどれだけ苦難の途を歩んできたかということを突きつけられました。そうした苦難の歴史を刻んでやっと得た自由・民主・人権といったものを今後も堅持し、「自らの未来を彼ら自身の手で決定し続け」られるような賢明な選択を台湾の有権者、そして政治家諸氏が行ってくれることを願って止みません。

※写真・・・・台北駅

ナショナルデー(双十国慶節)後とあって華やかな装いでした。旅行ネタが中々進みませんが、写真を見れば何か思い出すからまぁ、いいか・・・・

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4 コメント

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Unknown (猫研究員)
2005-11-06 22:39:34
Auer氏の論評の中で「台湾の人民が中国の一州になるという選択を行わない限り」という留保がついているのが注目点ですね。さすがに民主主義を世界に広めることが使命だと自認している国だけあります。もちろん、そんな選択をされちゃ困るわけですが…。両岸が経済的に結びついているうちになんとなく、なんてことになるのが最大の懸念です。そうならないように、日本と台湾をなんとか通商で結び付けられないものか。沖縄県に通商拠点を作るべきでしょう。八重山地方などは既に台湾とかなり経済的に結びつきが強いんじゃないですかね?

「日米同盟を強化するから中国が軍拡する」なんて政治的にナンセンスなことを言う人物が国会議員だとは恐れ入ります。「日米がミサイル防衛をやるから軍拡する」と言っている中国と同じですな。「日米同盟を強化するから中国が軍拡する」が事実ならば、それは中国が日米と事を構える気が満々だという証明に他なりません。
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資源・エネルギー関係が切り札にならないか? (tsubamerailstar)
2005-11-08 15:40:48
>猫研究員様



>両岸が経済的に結びついているうちになんとなく、なんてことになるのが最大の懸念です。



同感です。なし崩しでズルズルと・・・・という状態や、内部侵食的なところが一番懸念されるところですね。

何か受験や営業の数値目標のようなもので、「120%やるぞ!」という目標設定と言いますか、意気込みを持ってやっと100%・・・・といった感じではないかなぁという気もいたします。



>八重山地方などは既に台湾とかなり経済的に結びつきが強いんじゃないですかね?



実際八重山は戦前との結びつきで、国境を越えた特区申請何て真面目にやっているんですよ! 釜山と対馬何かも似たような関係なのでしょうが・・・・

台湾に有利な条件でFTA締結するとか(フルーツ何かは相互補完の関係にあるので歓迎する向きは大きいと思います)、最近思いついたところですと、<エネルギー包括安全保障>といったものの締結もこれからの時代にはいいかもしれませんね。

台湾に限らず、中位国はこの辺りが共通してネックでしょうから、今後の日本の切り札になり得るかもしれません。和製メジャー等の動き等、資源エネルギーに関する報道も散見されますね。是非猫研究員様にもネタとして取り上げていただきたく希望します!



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社民党相変わらず (wnm)
2005-11-08 22:16:13
クソですね。彼女らが一番重視しているらしい「人道主義」とやらに最も反しているのが北鮮・中共なんですが、彼女らの空っぽの頭の中は無意識にダブルスタンダードなんでしょう。中国人が1万人死ぬのとイラクでイラク人が一人死ぬのが同じくらいの重みを持っているとしか考えられません。もう無視してもいいんじゃないでしょうか、捨民党は(笑)。
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捨民党・・・・ (tsubamerailstar)
2005-11-09 15:37:00
>wnm様



もう、日曜の朝から勘弁してくれ~って感じですね。

あ、訪中して戦車に乗ってはしゃいでいたのは何処の政党の前党首だったかしら?(汗)

ヒント:その党首の苗字の最初は「ど」で最後は「い」です。



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