白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

悪気はないのに

2018-07-27 12:38:41 | RP
今日は職場でバーベキュー。
長男は近くでボートの練習があったため、練習の後会社に遊びに来た。

食べていると、同僚たちが話しかけてくる?


「え?ハズバンド?にしては若すぎるよね。」

「まさかお子さん?えーー、こんなに大きなお子さんがいるの?」

アジア人は若く見られるため、露骨に驚かれる。
私44歳なんですけど。
息子は14歳、
ごく、ごく普通の親子。

私の同僚たちが、長男に握手を求めて手をだす。

でも長男は知らんぷり。

いくら手を出しても、長男は応じようとしない。

私は肘で長男の腕をつつく。
「ちょっと、手を出されているんだから、あなたも手を出しなさいよ。」

言われてやっと気づく。

んも~、そういうのとっても失礼でしょ!

無性に腹が立つ。



帰りに長男が言った。

「人としゃべっているときは、相手の顔を見ているから、手を出されても気づかない。
みえないんだよ。」

え?見えてなかったの?

不便なだけならまだしも、誤解を招くのは嫌だなぁ。

わざとじゃないのに、悪気はないのに、こういうの、どうにかできないのか?
マーカスの目が悪いことを知っている私でも、気づかなかった。

難しい。。。


ロックパーク

2018-07-15 15:59:21 | 家族
夏の昼下がり、日曜日。

みんな家の中でダラダラしていた。

夫が突然、「よし、ハイキングに行こう!」

みんないやいやながら靴を履き、
私は日焼け止めを完璧にしてさぁ外へ。

いやいやながら出てきたものの、サンフランシスコ湾を眼下に見下ろし、なかなかすがすがしい。


こういう高いところにひょひょいのひょいっと上っていくのは次男。


いつもニコニコご機嫌三男。

白杖の勧め

2018-07-03 12:36:15 | RP
私の考えは固まっている。

長男には早い段階から白杖を使わせる。

自分の意志だけではなかなか勇気が出ない。
だからまだ子供のうちに、持たせる。
親の私が背中を押してやる。

勇気が要るのは一回目だけ。

考えは固まっているものの、なかなか言い出せない自分もいる。

やっぱり目が見えない人の象徴的杖だし、
ショックを受けるんじゃないか、
いやだとおもうんじゃないか。

心配でなかなか言い出せない。



本人に言う前に夫に言ってみた。

同じような病気を持つ人は、なかなか白杖を持つ勇気がなくて苦しむこと。
その原因のほとんどは「昔を知っている人たちの目」が気になるからだということ。
だから、長男には早くから使わせたいこと。

私なりに一生懸命説明した。

でも夫はきっと考えたことがなかったんだろう。
「白杖」という言葉に、明らかにショックをうけていた。
あきらかに抵抗があるご様子。

「あの子はまだ見える。まだ必要ない。」
そうとでも言いたげなご様子。

これだけ、転んで、つまずいて、ぶつかって、けがが絶えないのに必要ないってどうしていえるの?
痛い思いをしているのはあなたじゃない、長男なんだから。

足元が見えないゴーグルつけて散歩してこい。
どれだけ歩くのが怖いか。

夫が考えていることはわかる。
もしマー君が白杖を使ったら、彼の家族はどう思うか。
それが心配で仕方ない。
隠したくて仕方ない。

現に、彼の家族には目が悪いことがばれるまで言わなかった。
どうしても秘密にしておきたかった。

ばれてからも、
「大したことない、全然大丈夫」
っと言い続けているようだ。

情けない。

心配かけたくないと言えばかっこいいけど、
そんなんじゃない気がする。

なんで?
体裁?
見栄?

目の悪い息子を一番受け入れることができないでいるのは父親の彼自身だということにどうして気づかないんだろう。

もうしらない、夫のことは無視して私だけでどうにかしよう。

数日後機会を見計らって長男に話をしてみた。

「白い杖知ってる?」
「うん、目が悪い人が使う杖でしょ。」
「あれねぇ、マー君が使ってもいいんだよ。あんたはPartially Blindだから。」

反応が心配だった。
すごく嫌な顔をされたらどうしよう。
困った顔をされたらどうしよう。
又は悲しい顔をされたらどうしよう。
ショックを受けるかな?
拒否されるかな?

「え?ほんと?使っていいの?」

よろこんでる?

うそ?
こいつ明らかに喜んでる。

うっそ~~~。

「たい君がさぁ~、どんどん先に行って、僕のこと遅い遅いっていうんだけど、転びそうで追いつけないんだよねぇ。」

あ、そっか。
マー君速く歩くのが怖かったんだ。

よかった、これならいける。

それから私はいろいろな話をした。

白杖は周りに自分の目が悪いことを伝える役目もあること。
歩行者としては絶対的な優先権を与えられていること。
逆に、もし目が悪いことを隠して(白杖を持たずに)歩行して、小さい子供とぶつかってけがをさせたり、信号や道路標識に気付かず無視して事故に合ったりしたら、責任を問われること。

冗談まで出てきた。

「白杖は水戸黄門の印籠みたいなもんさ」

「この白杖が目に入らぬか~」笑笑笑



良かった。
とりあえず、第一関門突破。