ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、前国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

応用物理学会にて「日本の大学の研究競争力はなぜ弱くなったのか?」

2016年04月01日 | 高等教育

 2016年3月19日に東京工業大学で開かれた応用物理学会の特別シンポジウム「科学と産業の凋落と再興:応用物理と未来社会」で、幸いにも発表する機会をいただきました。このシンポジウムは、大阪大学大学院工学研究科教授の河田 聡 先生の司会で、ずいぶんと盛り上がりました。

 シンポジウムの終わった後、聴衆のお一人からデータを公開してほしい旨を伝えらましたので、このブログでお示しをしておきます。膨大なスライドの羅列になりますが・・・。なお、本日お示しするスライドの一部は、当日発表したデータの一部を再度分析しなおし、修正したスライドに入れ替えてあります(スライド47-54)。また、適宜、文言の修正もしてあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アカデミアと名目GDPレベルターゲティング (TIM)
2016-04-03 11:47:36
豊田先生
大変わかりやすいまとめをありがとうございます。
選択と集中は、国策としては持続性が無いということが客観的に示されていて、今後の予算折衝でもとても有用なのではないかと思いました。
最後のスライドの方にある、最悪の借金財政という点ですが、素人考えで恐縮ですがアカデミアとして名目GDPレベルターゲティング(NGDPLT)を支持するというのも、今後必要なことではないかと思われます。
先進諸国の名目GDP(自国通貨建て)は毎年成長しているものの、日本はここ20年ほど停滞しております。先生のご指摘通り、日本の公的資金の投入量は先進諸国の中でも低いのですが、対GDP比でも低い推移です。
この場合、公的資金の対GDP比率を上げるか、GDPそのものを上昇させるかという選択肢が考えられます。
受給ギャップは10兆円とも言われており、先ごろ来日されたポール・クルーグマン教授の言うように、むしろ日本政府は借金を拡大するべきとき(国民ではない)ですので、科学技術立国として冠たる地位を築くためにはさらなる公的資金を(政府債務ででも)投入するよう求めることができるのではないでしょうか。
長々と失礼いたしました。
Unknown (私大太郎)
2016-04-03 12:17:22
私大の論文数が伸びているというのは無視しがたいと思います。

日本の研究政策は国立大中心に傾きすぎているのではないでしょうか。直感的にも早慶への公的予算が実力に比して低すぎるのではないかと思います。

大学ランキングなどの外部評価・国際比較のある基準をベンチマークとして成果主義に基づいた研究政策を行うなら私大中心の政策が良いと思います。台湾はわかりませんが韓国では日本よりは私大が重視されているのではないかと思います。役員輩出や司法試験など国の文教予算が影響を与えにくいランキングでは早慶≒東大京大>その他旧帝大というランキングになっています。これが順当な実力順位に近いのではないでしょうか。
国際論文の論文数処理 (AKamemori)
2016-04-03 13:47:19
著者が複数国にわたる場合、どのように割り付けられているのでしょうか?ラストオーサーの所属国ですか?ラストオーサーの所属機関が複数国ある場合は?
匿名 (匿名)
2016-04-03 20:46:13
35%の研究時間は明らかにおかしい。こんな時間では新しい分野の挑戦はできない。試行錯誤の余裕も他の研究者と強力する力も落ちてしまう。
就職がない (ハブグレジュンタのマミー)
2016-04-05 12:06:38
私は40年ほど前にアメリカにわたり、分子遺伝学を学びましたが、日本での就職がなく、アメリカにとどまりました。海外流出した日本人の研究者は増えていると思いますが、それを考慮したナンバーはどうなっているのでしょうか?
技術系の論文が少なくなっているのは、少子化もあるでしょうが、経験から言うと就職がないからでは。
アメリカでも博士を取った人たちの就職は困難です。
日本の会社では学士、修士、博士の違いが給料的にも地位的にもそれほどないので、論文を書くことを要求せれる大学院生自体が少ないのでは。
Unknown (旧軍と同じ)
2016-04-05 12:38:06
世界と戦う為にやるべきことは、どんどん細分化され且つ多くなっているのに、緊縮財政に応じて後方支援部隊(技術系職員)を減らし、最前線の兵士(教員)と将校(事務系職員+大学幹部)の数だけ維持してきた結果。

補給を考慮せず、各師団兵員数を削減して見かけ上の師団数(新学部学科)増設、最戦線兵士の精神だけで何とか乗り切ろうと号令だけかける…

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 ビスマルク
所詮日本の学術関係者も愚者だったということ

世界と戦う (しまえなが)
2016-04-06 14:19:32
論文数が減っているのはわかったのですが、日本が「世界と戦う」ために論文が必要なのかどうかが検証されていないのではないでしょうか。
論文数と各種経済指標との関連がどうなっているのか教えてください。
女性優遇策の影響は? (性転換も考える親爺研究者)
2016-04-30 00:43:36
豊田先生、大変素晴らしい解析、有難うございました。一つ考慮に加えていただきたいのは、独立ポジション採用への女性優遇策です。
 
日本政府はここ10年ほどに渡って、独立ポジション(准教授など)への女性限定採用という世界でも類を見ない急進的なやり方で女性の研究者を増やそうとしています。 
 
この政策では女性若手研究者限定に独立ポジションを与え、研究室を主催させるというものです。ただでさえ少ない女性の若手研究者のみがこのポジションに応募できるため、当然ならがら競争率は非常に低くなり、その結果、性別に関係なく採用をした場合よりも優秀な研究者が独立ポジションに就く可能性は著しく低くなります。
 
女性限定ではなくても女性を優先的に採用する場合が多いため、実際私の周りでも、ここ5年ほどの間に独立ポジションに就いた若手研究者の殆どが経験の浅く業績のあまりない若い女性です。そして、経験と業績のある男性研究者が、性別という研究とは全く関係ない理由で職に就けず、研究職を諦めたり、海外に職を求めて流失しています。

欧米などでは業績・評価が同等な場合にのみ女性を優先的に採用するというような女性優遇措置が行われていたため、それによる研究レベルの低下は起き得ないと考えられますが、日本政府はともかく女性の研究者の頭数を増やせば良いという、非常に短絡的な政策をとっているため、それによる研究レベルの低下が起きることは至極当然のことです。

この問題を声高々に叫ぶと女性差別のレッテルを貼られかねないため男性研究者たちは大っぴらには文句を言いませんが、この政策が日本の研究の競争力を下げることは誰の目にも明らかです(多くの女性もわかっています)。日本政府が一日も早く欧米と同じような、研究レベルの低下が起きにくい女性優遇政策を取るように切に願います。
たしかに! (通りすがりのポスドク男)
2016-04-30 17:46:42
「性転換も考える親爺研究者」さんのご指摘、まったくそのとおりだと思います。

就職難の男性ポスドク達の間でも、「准教授になりたいなら論文出すより性転換!」という冗談がよく聞かれます。もちろん本気で性転換する人はいないでしょうが、それだけ理不尽な採用が行われているということです。。。
文系学者の悩み (某文系研究者)
2017-06-17 11:17:58
規制の撤廃こそ、解決の大きな道だと思います。年齢と所属を問わず、日本人に幅広く研究の資金を出すという姿勢によってこそ、競争の原理が働き、革新的なものが生まれると思います。
==
私は、教員養成系教育学の研究者(非常勤)です。
この分野で非常に感じることは、およそ20年前バブル崩壊が起こってから、研究者の質が大きな変化をしているということです。バブル崩壊以前は、公務員よりも一般企業が好まれ、ある程度の大学を卒業していれば一般企業位ならば入れるという社会的な流れがあり、国立大学の教員というのは、よほどの情熱が無ければ、なろうと思われないものでした。
ところが、ここ15年ほどは、公務員こそ勝ち組、国立大学は高給取りの代名詞とまで言われてしまうようになりました。そうすると、大学の徒弟制度が、ある種の権益共有共同体になってきました。面白い研究よりも派閥の論理。教え子が大学を繋いでいく。こうしてできたのが、科研の業績をうまくマワシながら、さも研究をしているかのように弟子に業績を作らせたことにして跡継ぎを作っていく、まさに無能集団のピラミッドが出来上がったのでした。

さて、私の研究部門である教員養成系教育学というのは、無能な人には顕著な動向が現れます。「自分では研究できないので、ゲストに研究してもらう」「実験・調査、分析はその道の人にやってもらう」というものです。科研は大学に常勤で所属する研究者しか取れませんから、ゲストとして私のような非常勤が科研の書類を書き、研究して、教員は業績とお金を稼ぐ。私は非常勤として雇ってもらうために尽くす。実際の教員は、実験も調査の方法も分からないし機材も何もないので、私が全部やる。でも、論文は教員だけがやったことになる。公務員が勝ち組だからこそ、無能な人はそういう人なりに、生き抜いていく力はずば抜けていたりするわけですね。私は失望しています。実際の能力よりも、可愛がられる馬鹿でなければ、この利益共同体に入れないという日本のムラ社会に。

研究、論文の、質・量がなぜ低下するか。それは、私の分野で言わせていただければ、仲間うちだけで利益を守ろうとする姿勢が問題だと思います。
日本の大学に所属する研究者だけしか科研を採れないという規制が、既存の研究者、利益・権益を守ろうとしている人たちをただただ守るように存在しているということでしょう。日本人は、年齢・所属を問わず申請できるようになったら、競争の中から研究のアイデアは溢れ、研究活動も活発になると、私は思います。

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