マディと愛犬ユーリ、親友のクリスティ、それにハワイのこと

ハワイに住んでいたころ、マディという女の子が近所に住んでいて、犬のユーリを連れて遊びに来ていた。

" Some fancy bar " ( ある高級なバー )

2017-03-15 11:03:06 | マディソン

 

 

 マディソンはウイスコンシン州の州都であるから、州政府があり州議会もある。ウイスコンシン州の各地から選ばれた州議会議員がマディソンに集まってくる。州知事をはじめ多くの役人たちがここに住んでいるのである。
 マディソンは、政治家や役人たちとその家族、もう一つは、なんといってもウイスコンシン大学があるから学生たちや大学の関係者が住んでいる。大まかに言ってマディソンの町は、州政府と大学で成り立っているのだ。

 マディソンの冬は寒くて、零下20度にもなるが、大陸性の気候というか夏は結構暑くて40度近くにもなる。テレビのニュースで、車のボンネットで生卵を割って乗せ目玉焼きを作っているシーンがあったが、そのように暑いところである。
 政治家や役人たちは、夏の暑い時でも黒いスーツに身を包み街を歩いていたりするから目立つ。いかにもフォーマルな感じの人たちがたくさんいるのである。

 このようなハイソな人たちは週末には、家族を連れてあるいは友達同士で高級なレストランやバーなどに集まる。
 彼らに人気のバーがある。バーと言っていいのか、洋風の料亭と言ったらいいのか。実はこの店は日本人の経営である。壁際の棚には日本の酒がずらりと並んでいる。何かを注文すると日本の伝統陶器に料理が上品に盛られてくる。ポキのようなもの、カルパッチョ、酢味噌和え、卵豆腐などが、仰々しくでなくいかにもこじんまりと上品に装われている。店の雰囲気はいかにも和式の感じである。中で働いている人たちは白人でハッピを着ているが、だれも日本語は話せない。お客さんとして日本人が来ることはまずない。マディソンに住んでいるセレブ達である。

 この店のオーナーの日本人は、ウイスコンシン大学のビジネススクールで学んだ人である。
 もともとは日本に帰って東京でインターナショナルビジネスに関係する分野で働くつもりだった。学生時代アルバイトで日本料理店で働いていて、彼の働きぶりを見初めたオーナーが、マディソンで店を出さないかとのれん分けをしてくれた。
 もともと商才があったのだろう、紆余曲折があったものの彼はマディソンでいかにも高級な和風の店を出しそれが成功した。結局日本に帰ることがなくマディソンの住人になってしまった。
 マディソンのセレブに気に入られて高級なレストランとしての評価が定着した。雑誌や新聞の記事にもなった。あのハリウッドの有名なスーパースター、ロバート・レッドフォードの知己を得た。彼もしばしばこの店を訪れているのである。ロバートレッドフォードに誘われて、彼が作ったサンダカン・シアターの一角にこの店の2号店を出した。

 ノンノちゃんは、この店が気に入ってしまって屡々通っている。前付けで出てくる料理を楽しみながら、日本酒をたしなんでいる。トシも何度も彼女とこの店に行った。美味しいのだが、何しろ高い。ノンノちゃんは金持ちだから気にしていないようなのだが、トシにとってそんなに通えるところではない。

 


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