敏翁のシルバー談義

敏翁の興味のスパンは広いのですが、最近は健康談義から大型TVを含むITと「カラオケ」「珈琲」にシフトしています。

「ゲイシャ」のスチーム焙煎

2015-03-26 10:20:08 | お酒とコーヒー
 一寸前のテレビの広告から、キリンの缶コーヒーで、最近スチームロースト豆を20%使用した「朝の、ほろ苦。」
 を新発売したのを見たのにヒントを得て、「ゲイシャ」をスチーム焙煎したらどうなるか考えてみた。
 キリンのは高温高圧の過熱水蒸気を利用するものらしいが、それは簡単には真似できそうもなく、
 雰囲気を水蒸気にした焙煎、特にゲイシャの酸味を生かすための浅煎りを中心に考えて見た。

 .既にお話しした「ダンパー付」焙煎による酸味最大を狙った浅煎り焙煎で重量減は11~13%あたり
  で、また、生豆の水分含有量は一般に丁度その当たり~12%程度らしい。(友田五郎著「珈琲学」 )
 .これより焙煎初期の発生ガスは水分が主体で、その後煎りが深まってくると発生ガスの主体が
  炭酸ガスになっていくと思われるが、対象であるゲイシャの浅煎りでは発生ガスは水分主体と
  考えてよい。
 .一回の焙煎で処理する生豆は~100gであり、ここから発生する~12gの水分は~150℃程度で
  放出されるとして気体換算
    (12/18)x22.4x(273 + 150/273)= 23.1L(リットル) 
  となる。
  私の使っている手回し金網式焙煎機の金網は一辺9cmの直方体(内容積~0.73L)
  なので、金網を覆えば、豆の焙煎雰囲気をほぼスチームと見做される様に出来る事
  が分かった。
  オーダーを試算してみると、金網中完全混合、と外部からの侵入を無視したモデルで
  水蒸気の発生が5Lの時点での金網中の酸素濃度は既に、
     0.2・exp(-5/0.73) =0.00021 となり完全な酸欠として良い状態になる。

  金網だけの場合の開放度を100%とした場合、前にご覧に入れたダンパー付の場合の開放度を
  測定してみたところ~35%となった。
  そこで今回、より完全にアルミ箔で覆い、豆の状態を観察するために~1cm幅のスリットを
  一つ入れ、また各面に小穴をいくつか入れて解放度~9%の状態を作り出しその状態で焙煎
  を行ってみた。

  結果を下表に示します。

   農場    開放度% 重量減%  酸味   香り  コク  苦み   備考
 ①サンタマウラ 100    16.3    ○=   △   △    ○-
 ② 〃        35    13.0    ○-   △   △    △
 ③ 〃        9    12.2    ○     ○-   ○-    △     
 ④ママカタ     -    (16)推定  ○    ○   ○    ○-     丸山珈琲焙煎

       強さの表示は
      弱 <--- △ ○= ○- ○ -->強

 評価は、同時に2種類の焙煎豆各11gをレギュラーグラインド後、ドリッパー(メリタ、カリタ
 各一杯用)で160ccの湯で抽出、ストレート及びパルスイート+メリマ各小匙半杯添加後に味わって
 行った。
 今回新たに行った評価は、③vs.②、及び③vs.④である。

  これより、今回の試みによるスチーム焙煎を模したもの(③)は、酸味だけでなく、
  香り、コクも④丸山珈琲焙煎によるママカタ農園のゲイシャにかなり近づいている
  ように思えた。

  酸味が開放度が減少するにつれ高まるように見える要因は、
  1.酸味の主体である有機酸の減少メカニズムに酸化が寄与していて、スチーム焙煎では
    金網中の酸素濃度は大幅に減少している事
  または、
  2.密封に近い空間を構築した事による有機酸蒸発の抑制
  のいすれかまたは双方であると考えている。
  3.香りについても似たようなメカニズムが考えられると思う。

丸山珈琲の「ゲイシャ」

2015-03-04 15:01:26 | お酒とコーヒー
  横浜高島屋で開催(2月25日~3月2日)していた
 「第35回グルメのための味百選」に赴き、出店していた丸山珈琲店で
 「ゲイシャ」焙煎豆100g(2592円)を購入してきました。
 購入品の内容は下記をご覧ください。



 対応してくれた丸山珈琲の派遣社員の方は、後で調べてみると、昨年日本人として初めて
 バリスタ世界チャンピオンになった井崎英典さんの様でした。(ホームページの顔写真から推定)
 私がドン・パチ(珈琲屋バッハで飲んだもの)は飲んだというと、彼はドン・パチ農場は訪れた事
 があると言っていましたので並の人ではないと思っていましたが。

 補足説明をします。
 ① バリスタ(伊: barista)は、バールのカウンターに立ち、客からの注文を受けてエスプレッソを
   はじめとするコーヒーを淹れる職業、およびその職業についている人物を言います。
 ② ハニープロセス(下記参照堀口俊英著「珈琲の教科書」より)
   
   井崎さんが世界チャンピオンになった時、使った豆は
   エスプレッソには、モンテ・コペイのラ・メサ農園、ティピカ、レッドハニープロセス、
   スロウドライでした。
   「スロウドライ」とは、コスタリカでも新しい乾燥方法のことを指し、その名のとおり「ゆっくり」
乾燥させます。
   陰干しを施したり、日の当て方を工夫することで、豆の水分含有量をゆっくりと減らしていきます。
そうすることで更なる甘さがこのコーヒーに与えられます。

    今回のママ・カタの「ゲイシャ」も丸山珈琲のサジェスションがあったのではと思われます。

  さて、この豆(以下「ママ・カタ」と略称)は、上記の様にその特徴に酸味について一切触れていません。
  それで、先日から賞味しているニカラグァ/サンタマウラ・ゲイシャ(「サンタマウラ」と略称)
  が「30年前のブルーマウンテンにそっくりな風味と煎り豆の形状で、浅煎りで甘酸っぱさと
  マスカットのような風味がブルーマウンテンを超える美味しさです」と酸味についても触れている
  ものとの飲み比べをして見ました。

  条件は、豆11gをレギュラー・グラインド、160ccの湯でメリタ標準抽出
 
         焙煎度(重量減)      香り  酸味  コク・甘み  PH
  ママ・カタ   ~16%(色から推定)    ○   ○-   ○    ~5
  サンタマウラ  13% (ダンパー付き)  △   ○-   △    ~5
  サンタマウラ  16.3%(ダンパー無し)  △   ○=   △    ~5

  ママ・カタが香りとコク・甘みで僅かに優れていますが、その差は僅少で価格差(約5倍)
  ほどの価値差があるとは私には思えませんでした。
  但し酸味は殆ど差が無いように思えました。
  そして、これらの検討からサンタマウラがお買い得品という感を益々高めた次第です。
  (実はその後サンタマウラ生豆1kgを買い増しをしています)

  尚、探し物をしていて、PH試験紙を見付けたので測定した結果を右端に示して置きました。
  但し、この試験紙は広域測定範囲のもの(下図参照)精度のほどは?であります。
  
  ついでに他の豆についてもPHを測定してみました。

  ○ 2月11日に本ブログに掲載したもので、酸味で名の通っているケニア/AAキリニャガ品を
    アルミ箔ダンパー付焙煎した重量減11.8%のもの  PH~4.8%

  ○ エチオピア/イルガチョフG-1ナチュアル・アリーシャ 所謂「モカ」と呼ばれるものです。
    ダンパー無し焙煎(重量減19.2% フレンチ・ロースト)品 PH~6.5

  またドン・パチ品はかって飲み味からPH<3と推定しました(本ブログ掲載昨年6月2日)が、
  もう一度このPH試験紙で測定してみたいと思っているところです。