一寸前のテレビの広告から、キリンの缶コーヒーで、最近スチームロースト豆を20%使用した「朝の、ほろ苦。」
を新発売したのを見たのにヒントを得て、「ゲイシャ」をスチーム焙煎したらどうなるか考えてみた。
キリンのは高温高圧の過熱水蒸気を利用するものらしいが、それは簡単には真似できそうもなく、
雰囲気を水蒸気にした焙煎、特にゲイシャの酸味を生かすための浅煎りを中心に考えて見た。
.既にお話しした「ダンパー付」焙煎による酸味最大を狙った浅煎り焙煎で重量減は11~13%あたり
で、また、生豆の水分含有量は一般に丁度その当たり~12%程度らしい。(友田五郎著「珈琲学」 )
.これより焙煎初期の発生ガスは水分が主体で、その後煎りが深まってくると発生ガスの主体が
炭酸ガスになっていくと思われるが、対象であるゲイシャの浅煎りでは発生ガスは水分主体と
考えてよい。
.一回の焙煎で処理する生豆は~100gであり、ここから発生する~12gの水分は~150℃程度で
放出されるとして気体換算
(12/18)x22.4x(273 + 150/273)= 23.1L(リットル)
となる。
私の使っている手回し金網式焙煎機の金網は一辺9cmの直方体(内容積~0.73L)
なので、金網を覆えば、豆の焙煎雰囲気をほぼスチームと見做される様に出来る事
が分かった。
オーダーを試算してみると、金網中完全混合、と外部からの侵入を無視したモデルで
水蒸気の発生が5Lの時点での金網中の酸素濃度は既に、
0.2・exp(-5/0.73) =0.00021 となり完全な酸欠として良い状態になる。
金網だけの場合の開放度を100%とした場合、前にご覧に入れたダンパー付の場合の開放度を
測定してみたところ~35%となった。
そこで今回、より完全にアルミ箔で覆い、豆の状態を観察するために~1cm幅のスリットを
一つ入れ、また各面に小穴をいくつか入れて解放度~9%の状態を作り出しその状態で焙煎
を行ってみた。
結果を下表に示します。
農場 開放度% 重量減% 酸味 香り コク 苦み 備考
①サンタマウラ 100 16.3 ○= △ △ ○-
② 〃 35 13.0 ○- △ △ △
③ 〃 9 12.2 ○ ○- ○- △
④ママカタ - (16)推定 ○ ○ ○ ○- 丸山珈琲焙煎
強さの表示は
弱 <--- △ ○= ○- ○ -->強
評価は、同時に2種類の焙煎豆各11gをレギュラーグラインド後、ドリッパー(メリタ、カリタ
各一杯用)で160ccの湯で抽出、ストレート及びパルスイート+メリマ各小匙半杯添加後に味わって
行った。
今回新たに行った評価は、③vs.②、及び③vs.④である。
これより、今回の試みによるスチーム焙煎を模したもの(③)は、酸味だけでなく、
香り、コクも④丸山珈琲焙煎によるママカタ農園のゲイシャにかなり近づいている
ように思えた。
酸味が開放度が減少するにつれ高まるように見える要因は、
1.酸味の主体である有機酸の減少メカニズムに酸化が寄与していて、スチーム焙煎では
金網中の酸素濃度は大幅に減少している事
または、
2.密封に近い空間を構築した事による有機酸蒸発の抑制
のいすれかまたは双方であると考えている。
3.香りについても似たようなメカニズムが考えられると思う。
を新発売したのを見たのにヒントを得て、「ゲイシャ」をスチーム焙煎したらどうなるか考えてみた。
キリンのは高温高圧の過熱水蒸気を利用するものらしいが、それは簡単には真似できそうもなく、
雰囲気を水蒸気にした焙煎、特にゲイシャの酸味を生かすための浅煎りを中心に考えて見た。
.既にお話しした「ダンパー付」焙煎による酸味最大を狙った浅煎り焙煎で重量減は11~13%あたり
で、また、生豆の水分含有量は一般に丁度その当たり~12%程度らしい。(友田五郎著「珈琲学」 )
.これより焙煎初期の発生ガスは水分が主体で、その後煎りが深まってくると発生ガスの主体が
炭酸ガスになっていくと思われるが、対象であるゲイシャの浅煎りでは発生ガスは水分主体と
考えてよい。
.一回の焙煎で処理する生豆は~100gであり、ここから発生する~12gの水分は~150℃程度で
放出されるとして気体換算
(12/18)x22.4x(273 + 150/273)= 23.1L(リットル)
となる。
私の使っている手回し金網式焙煎機の金網は一辺9cmの直方体(内容積~0.73L)
なので、金網を覆えば、豆の焙煎雰囲気をほぼスチームと見做される様に出来る事
が分かった。
オーダーを試算してみると、金網中完全混合、と外部からの侵入を無視したモデルで
水蒸気の発生が5Lの時点での金網中の酸素濃度は既に、
0.2・exp(-5/0.73) =0.00021 となり完全な酸欠として良い状態になる。
金網だけの場合の開放度を100%とした場合、前にご覧に入れたダンパー付の場合の開放度を
測定してみたところ~35%となった。
そこで今回、より完全にアルミ箔で覆い、豆の状態を観察するために~1cm幅のスリットを
一つ入れ、また各面に小穴をいくつか入れて解放度~9%の状態を作り出しその状態で焙煎
を行ってみた。
結果を下表に示します。
農場 開放度% 重量減% 酸味 香り コク 苦み 備考
①サンタマウラ 100 16.3 ○= △ △ ○-
② 〃 35 13.0 ○- △ △ △
③ 〃 9 12.2 ○ ○- ○- △
④ママカタ - (16)推定 ○ ○ ○ ○- 丸山珈琲焙煎
強さの表示は
弱 <--- △ ○= ○- ○ -->強
評価は、同時に2種類の焙煎豆各11gをレギュラーグラインド後、ドリッパー(メリタ、カリタ
各一杯用)で160ccの湯で抽出、ストレート及びパルスイート+メリマ各小匙半杯添加後に味わって
行った。
今回新たに行った評価は、③vs.②、及び③vs.④である。
これより、今回の試みによるスチーム焙煎を模したもの(③)は、酸味だけでなく、
香り、コクも④丸山珈琲焙煎によるママカタ農園のゲイシャにかなり近づいている
ように思えた。
酸味が開放度が減少するにつれ高まるように見える要因は、
1.酸味の主体である有機酸の減少メカニズムに酸化が寄与していて、スチーム焙煎では
金網中の酸素濃度は大幅に減少している事
または、
2.密封に近い空間を構築した事による有機酸蒸発の抑制
のいすれかまたは双方であると考えている。
3.香りについても似たようなメカニズムが考えられると思う。