昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

蒼い恋慕 ~ブルー・れいでぃ~ (煩悶)

2010-01-31 13:47:11 | 小説
長い長い、少年の煩悶が続いた。
“どうして・・なぜ・・
どうする・・どうやって・・
どうして・・なぜ・・”

悲しいことに、何をどう煩悶しているのか、
少年には分かっていない。
言葉だけが堂々巡りしている。
少年の視線の先にいる女は、
食い入るようにバンドを見つめている。

“ほらほら、待ってるんだぞ、
ほら、ほら、待ってるんだぞ、”

煩悶が、いつしか逡巡に変わっていた。
靴のかかとが、コトコトと音を立てている。
よしっ!と、ぐっと握り締めた拳も、
すぐに力が抜ける。

気を取り直しての力も、
かかとが床に着くと同時に緩んでしまう。

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