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莫言の長編小説「白檀の刑」、少しずつ読み進んで、第三章まで来ています。意外だったのは、猫の目のように章ごとに語り手が替わることです。
実の父親・孫丙が謀反で処刑されようとしている孫眉娘が、第一章の語り手だったので、てっきり眉娘が主人公なのかと思っていたら、第二章は眉娘の舅で処刑官の趙甲、第三章は眉娘の夫で肉屋の趙小甲、第四章をめくると、孫丙を裁く県知事で眉娘の愛人でもある銭丁がそれぞれ語り手となっています。
と、眉娘が言ったように、彼女はむしろ狂言回しの役割で、三人の父親を巡る複雑な人間関係を軸に話が進展していくようです。三人の名前に、それぞれ、「甲乙丙丁」のうちの一文字がふられているのも、いわくありげです(乙はないど)。
つづく
実の父親・孫丙が謀反で処刑されようとしている孫眉娘が、第一章の語り手だったので、てっきり眉娘が主人公なのかと思っていたら、第二章は眉娘の舅で処刑官の趙甲、第三章は眉娘の夫で肉屋の趙小甲、第四章をめくると、孫丙を裁く県知事で眉娘の愛人でもある銭丁がそれぞれ語り手となっています。
こいつは傑作だわ。じつの父親に亭主の父親に義理の父親(県知事銭丁のこと)--三人の父親がお裁きの場で顔を合わせるなんて。三堂会審ならうちも唱ったことがあるけど、三父会審なんて、聞いたこともない。
(第一章)
「お二人のうち」と嫁さん(眉娘)は言うた。
「お一人はうちの乾爹(義理の誓いをした父親)、お一人はうちの公爹(舅)。乾爹はうちの親爹(実父)を捕まえて、うちの公爹にうちの親爹を殺させようとなさる。乾爹に公爹。うちの親爹の命は、お二人の手に握られておりますのよ!」
(第三章)
と、眉娘が言ったように、彼女はむしろ狂言回しの役割で、三人の父親を巡る複雑な人間関係を軸に話が進展していくようです。三人の名前に、それぞれ、「甲乙丙丁」のうちの一文字がふられているのも、いわくありげです(乙はないど)。
つづく
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