「１Ｑ８４」と倉橋由美子

「おしやべりな文學少女的ですね、こんなお話。でも、ほんたうは、あたし、文學少女なんかぢやないのよ。いはば數學少女なんです。ゆうべは嘘をついて、佛文科にはいつたばかり、といひましたけれど、じつは數學科。」

「１Ｑ８４」を読むのが遅々として進まない。まだ第４章。天吾が「新宿中村屋」で、ふかえり(深キョン＋サトエリ？それとも深津絵里？)と会って「リングイーネ」を食べているところ。そういえば、小松がふかえりを見出だすあたりは、平野謙が倉橋由美子を発掘したエピソードを思い出させる。

河出書房新社が刊行している「ＫＡＷＡＤＥ 道の手帖」シリーズの一冊「倉橋由美子 夢幻の毒想」という研究書を買ってきた。「１Ｑ８４」と並行させて読んでいて、前にも書いた倉橋由美子との関連性を訝る箇所がいろいろと見つかる。

冒頭に引用したのは、単行本未収録作品「わたしの心はパパのもの」の一部。後に書き下ろしの「聖少女」の原型となった小説だが、ふかえりと数学教師の天吾を想起させないか。「わたしの心...」では、他にも新宿の伊勢丹地下にあったといわれる「カリーナ」で「タリャテレ」を食べたり、「DIG」「木馬」と思われるジャズ喫茶が舞台になっていたり、青豆よろしくサッポー(レズビアンのパートナーという意味合いか？)のＭが登場したりする。

つづく