廃墟みたいなホテルで、ブルブル震えていた…（前編）

２日目・ｐｍ６：００　麻布十番


【ホテルのフロントで恥ずかしいティモコ】



一泊目のホテルは、東京タワー近くの安いビジネスホテルだったけど、そこそこに近代的で、狭いながらも居心地は良く、ホテルの人がサービスで飲み物とお菓子をくれたり、階は違えどボウとダオも一緒だったので、そこにお邪魔したりして楽しく過ごしたんだ。

二泊目も同じホテルで良かったんだけど、その日は予約がいっぱいで、一部屋も取れなかったんだ。

だからボウとダオはコンサートをやる新宿のカプセルホテルに移動することになったけど、そこは男性専用なので、ワタシはせめて同じ新宿で、と、別のホテルを探したけれども、予約するのが遅すぎたせいか、ゴールデンウィークのド真ん中だったせいか、東京のド真ん中だったせいか、

メッチャ高いところしか空いてなくて。

何万もするホテルなんて無理だし、第一泊まるだけなのにモッタイナイ…。
ホテル自体を楽しみたいならそれもいいかもしれないけど、今はそんなお金があったらまた旅がしたいよ！

そんなこんなで、やっと見つけた手頃なホテルは、麻布十番の（ＨＰ画像では）なんだか小洒落たホテル。

『あざぶじゅうばん』…なんかカッコイイ地名だぞ…
新宿より治安も良さそうだし、駅から歩いて行けるし、女一人旅（違？）にはピッタリではないか！
朝・夕食事もついていて、大浴場もあるらしい。
それで１万円弱なら、なかなか良いんでないの～？

よし！そこに決めた！！
期待を膨らませ、ワタシはコンサートへ行く二人と新宿駅で別れて、いざ！麻布十番へ！！

マダ～ム気分で駅につき、住所を探して進んでいったら、どんどん古い住宅街に。
まだ明るい今は、風情があって静かでいい所だけど、夜は真っ暗だろうな…出歩くのはちょっと怖いな…。
本当は荷物を置いて、どこかひとりで出かけてみようか、なんて思っていたのだけど…。

まあいいか。夕食付きで大浴場もあるなら、ホテルでゆっくり優雅に（？）過ごす、ってのも素敵よね

辿り着いたホテルの、蔦の絡まるアンティークな門を見て、豚のテンションは最高潮に達した。
気分はすっかり、古い洋館に住む、
マッダ～ム！！！

いいじゃないか、いいじゃないか…
と、ウハウハ敷地に入って行ったら、見えてきたのはなんだか古めかしいビル…。
中は改装しました、って感じで、それなりに綺麗だったけど、フロントにいたお姉さんにはまるっきり笑顔がない。

「あ、あの、予約した豚野ですけど…」

「こちらに住所と名前を書いて下さい（※棒読み）」

外は風が強かったので髪はぐしゃぐしゃだし、化粧はハゲてるし、ひまわりを見た後、若い息子たちと渋谷だの原宿だの行って、また新宿に戻って歩き回ってきた後だったので、普段よりさらにヨレヨレの不審ブタに見えたのかもしれない。

お姉さん、お姉さん、ワタシはね、イイ年だけどまるっきりひとりで泊まるのは人生初なんだよ…実はドキドキおろおろしてて、不安でいっぱいなんだよ…


ちょこっとくらいニッコリしてくれよ～～～う！


そしてお姉さんは事務的に言った。

「料金は現金で前払いでお願いします」

「え？…あ、そうか…ハイ…」

ワタシはリュックを下ろしてゴソゴソと財布を探した。
そういえばボウがそう言ってたような…

すっかり忘れてた。
最近ではいろんな予約はボウがパソコンで全部やってくれる。（ありがたや～～～）
一緒に旅行に行く時は、交通費やホテル代はとりあえずボウのカードでまとめて払うことにして、帰ってから自分の分を計算してボウに渡す、というパターンが多かったので、うっかりしてそのまんま泊まれるものと、宿泊費のことなんかまったく頭になかった。

でもすぐに、すぐに嫌な予感はしたんだ…。

…やべえ。お金ナイかもしれない

ワタシはそそっかしいので万一落とした時のことを考えて、旅行へ行く前には財布から、海外ならクレジットカード１枚、国内なら銀行のカード１枚だけ残して、後は全部家に置いて出ている。
でもって現金は入ってるだけ使っちゃうので（なんて悪い豚なんだ！）前回の旅行でも多目に入れていったらスッカラカンになったので、今回はケチって少ししか持ってこなかったような…
でもって昨日と今日、計算もせずに、いっぱい食べたり飲んだり、Ｓｕｉｃａに補充したりしたから…

そして嫌な予感は的中した。

がっちょーーーーーん！！！！！



７千円しか入ってねぇ！



ワタシはただでさえ不審顔のお姉さんの前で、リュックと財布をゴソゴソゴソゴソゴソゴソした挙句、旅行者だというのにわずか１万円の現金も払えず…！

「…すいません、この近くにお金下ろせるトコ、ありませんか…？」

と訊くという、世にも恐ろしい失態を曝した。

お姉さんは「ナニこのブタ、信じられない！」という顔をして、さらに不審な表情で、近くのコンビニの場所を教えてくれました…。




つづく







どこへ出しても恥ずかしい女・それがティモコ…

※前回の記事へのコメントをありがとう！
お返事、ちょっと待っててね


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