10月の3連休に南アルプスの仙丈ケ岳登山を予定していました。ところが前の週の木曜日に身体の節々が痛くなってきました。はじめは前の日の乗馬で頑張りすぎたための筋肉痛だと思っていたんですが、そのうち37度を超える熱が出始めて・・・。「や、やばい。風邪か?」でもその日も次の日も、関節の痛みと発熱以外の症状は出ませんでした。出発までに熱が引けば登山に参加、引かなければ留守番と決めて、金曜日は一日中寝てました。いつもはどんな高熱があっても食欲だけは失ったことがないのに、今回は何も食べる気がしません。何か変です。
さて連休初日、朝に熱を測ると、何と35度2分。平熱より1度も低いやんか。薬の利きすぎ?これで留守番する理由はなくなりました。体調によって日程もコースも替えられるし、何とかなるとMr.Dashも言ってくれることやし。
ところが途中のファミレスで昼食をとったあと、胃と腸が張った感じで痛み始めました。こんな痛みを抱えて山には登れない。ふもとの仙流荘で一人泊まって待つかなあ、と考えていると、Mr.Dashが妙な出口から高速を下りてしまい、再び高速道路に戻るまで少し遠回りをしてしまいました。これで、当日中に山に入ってテント泊するという当初の計画は無しに。戸台の駐車場で泊まることが確定しました。ともちゃん的には、山に入るかどうかの判断が先送りになって助かったというところ。
駐車場にテントを張り、寝ていても、胃腸の痛みは治まりません。夕食も半分しか食べられなかったし。うう、不調やわ。
日曜日。胃腸は相変わらず張っていて苦しいものの、痛みはなくなっていたので、出発することにしました。歌宿でバスを途中下車して丹渓新道を歩きます。ともちゃんを先頭に進みますが、なかなか足が前に出ません。そのうち頭もクラクラしてきて、気分は幽体離脱。どうやら高度障害も起こしたようです。「連休明けには病院に行って診てもらわないと」と考えながら歩いてました。下山したら病院に行こうと考えながら歩くのは、
パプアニューギニアのウィルヘルム山でひどい風邪を引いたとき以来です。
酸素がちょっと薄くなってきたころ、周辺の木々には霧氷が見られるようになりました。風が吹くと凍ったサルオガセや氷が降ってきます。風が当たる斜面はびっしりと霧氷がついて冬景色、風のないほうは秋という、稜線に季節の変わり目があるという、不思議な風景を見ることができました。
秋と冬の境界線
しんどいしんどいといいながらも、何とかコースタイムから大きく遅れずに仙丈小屋に到着。その日のうちに仙丈ヶ岳に登頂しておくことにしました。とにかく風が強くて、しかもすごく冷たい風で、耳や頬が痛くなるくらい。帽子を忘れたY井氏とN平氏はかなりつらそうでした。
仙丈ヶ岳山頂から手を振る
山頂からは富士山と北岳という、日本第1、2位の山をいっぺんに見られて、メンバー全員寒さを忘れ大興奮。写真を撮りまくってました。
富士山と北岳
その夜も下腹部が張って痛んだり、頭痛がしたりして、あまり眠れませんでした。その代わり、時々深呼吸をしていたので、朝には頭痛はマシになってました。相変わらず食欲がないのが心配。
前の日の風と寒さに懲りたメンバーは、山頂から日の出を見る気にならず、小屋で朝食をとりながら朝を迎えました。そしてできるだけ風が当たらないよう、尾根ではなく藪沢沿いのコースをとって下山することにしました。よっぽどつらかったのね。皮肉なもので、先日とは打って変わって風がなく、気温も高い一日になったのでした。ま、そんなもんよね。木々を覆っていた霧氷はウソのように消えて、山全体が秋に戻ってました。歩き始めて間もなく、下腹部の痛みが消えたので助かりました。体調もマシになり、天気はというと、雲ひとつない快晴。このまま帰るのがもったいない気がしました。
下山後、温泉で見た新聞に、北アルプス、特に白馬岳で遭難が相次いだことが書かれてました。そういえば、日曜日の夕方と月曜日の朝、小仙丈のあたりでもヘリが飛んでたな。何もなければいいけど。ともちゃんも体調が万全でない中ヘロヘロになって登山してしまったので、偉そうなことは何も言えませんが、白馬岳で遭難したパーティーも、出発を一日後らせていれば快晴に恵まれたのにと悔やまれます。山の天気は劇的に変化するので恐いものです。秋山には冬の装備もお忘れなく。