経営者フォーラム 東京ランド株式会社

借金たっぷり真っ赤な赤字企業でも破産も倒産も夜逃げも無用です。一人で悩んでいないで私たちに相談してください。

借金コロガシ 第 11 章 官僚の本音と銀行のウソ

2018年01月17日 | 倒産回避
私も今や60 歳代半ば、ずいぶん多くの場面に遭遇し、世の中の表も裏も見
てきました。サラリーマンの多くは一つの仕事に専念していますが、私の場合、
大学卒業後、どこの組織にも属さず、就職もせず、ヒラメクままに色々な活動
や商売をやってきましたから、いろいろな仕事人の裏事情にも精通するように
なってまいりました。
官僚も銀行も弁護士も、すっかり嫌いになったのは、嫌いになる具体的な事
実があったからです。それまではなんとなく、この3 者に対して根拠のない尊
敬の念を抱いていました。官僚は頭の良い人たちだと思い込まされていました
し、銀行員は真面目で誠実な人だと思い込まされていました。弁護士は青春を
投げ打って司法試験の勉強に専念した正義感の強い人だと思っていました。
各々にひそやかな尊敬の念を本気で抱いていたのです。
しかし、バブル不況真只中で、私が「借金地獄から抜け出す合法的裏技」(二
見書房)を出版して間もなく、ある経済問題研究会に講師で呼ばれ、そこに出
席していた大蔵官僚と知り合ったのです。この研究会の代表理事とは、長いお
付き合いがありました。この理事たちも会員も殆どが東京大学法学部出身者で
99
す。そしてこの時の私の講演がインターネットの動画映像で公開されていると
は、ついこの間まで知りませんでした。その時撮影されている事も知りません
でした。
当時はバブル崩壊が進展し、これからとんでもない経済不況が起こるであろ
うと予測されていたころです。ですから私の講演は、「この大不況の原因を作
ったのは政府、日銀、銀行だ」と力説し、銀行批判に終始したのです。
この講演を聞いていた大蔵官僚が、講演後、発言を求めました。その発言の
内容は、次の通りです。
「中島さん、世の中を暗くするようなことは、あまり言わないほうが良いの
ではないですか。私はあなたの会社に税務調査を入れるとは言わないから。」
「バカヤロウ。世の中を暗くしたのはお前ら大蔵官僚じゃないか。」口には
出さず、私は心の中で思ったのです。でも、1 か月もしないうちに、わが社に
税務調査が入りました。こののち、大蔵官僚がすっかり嫌いになったのは言う
までもありません。その後、権力を振り撒く権力者は全部嫌いになりました。
彼らこそがペーパー人間の代表です。記憶力が抜群に良くて、過去には強く
て、ペーパーテストには強いが、今現在起こっていることや将来起きることに
はまるで弱いのです。その上、独創性や創造力がありません。そんなものがあ
ったら役人組織の中で浮いてしまいます。上司にニラマレてしまいます。
この世で独創性や構想力が最もある者は、中小企業の経営者たちです。それ
100
が無ければ、中小企業の経営は継続できないからです。バブル崩壊後の、長い
不況を乗り切ってきた中小企業の社長たちは、独創性や仕事造りの塊です。常
に次のビジネスを考えています。彼らと経営相談や借金対策などを話し合って
いると、極めて仕事熱心な人たちだと感心することが多々あります。生きるエ
ネルギーを持っています。冷たい頭脳の官僚たちに中小企業の経営者の才能と
熱いハートを分けてあげたいと思うほどです。
バブル景気のころ大変親密であった銀行および銀行員が嫌いになったのは、
バブルが崩壊したのち取り立て屋に豹変した銀行から担保処分して「貸した金
を全部返せ」と強要された時からです。彼らは当然のことを言っただけなのに、
おかしなことです。それも元金と金利全部一括して支払えと言ってきたのです。
当初は金利だけでいい銀行の利益は金利なのだからと言ってた筈なのに。言う
ことが平気でコロッと変わるのです。
銀行というところは、債務者の契約違反には大変厳しいが自分の契約違反に
は大変寛大なのです。自分には優しくお客には激しいのが銀行です。それが金
貸しです。こんなやり取りをしていた数年後、その銀行はこの世から消えて無
くなってしまいました(富士銀行)。お客様に不信感を抱かれるとその会社も
人も死滅してしまうとは自由主義経済の原点です。
バブル崩壊後日本からどれだけ多くの銀行が消えていったのが、スグに答え
られる人はどれだけいるでしょう。そして、6 億円の借金で買った証券の所有
101
者であるわたしも知らないうちに、借金の担保の株券とワラント債は強制的に
担保処分されました。でも、いくらで処分されたかは未だに判りません。だか
ら私の借金はいくら残っているかも知りません。借りたのは3 行合計で6億円
だとは覚えてはいましたが。通知は来ているのでしょうが見てもいません。ど
うせ私の払える金額では無いのですから。
全国からやってくる相談者の話を聞くと、銀行員はウソが多い、銀行にダマ
サレタと、口々に言います。ここで銀行の小さなウソから大きなウソまで、類
型化して記しておきましょう。最初の小さなウソは次の通りです。
銀行返済に窮した経営者や、ローン返済が苦しくなったサラリーマンたちに
こう言います。「とりあえず、金を工面して延滞を解消しておいてください。」
銀行員は、どこかからでも金を借りてきて延滞金を払っておきなさいと言うの
です。銀行に返済金額の圧縮や遅延をお願いしに行った時点で、その人は銀行
にとっては要注意人物なのです。
「リスケジュール」(返済条件の変更)を申し込む多くの人は、既に何か月
も返済の延滞をしています。この延滞を解消しなければ、上司にも報告してく
れません。無理して金を作って(多くの場合、消費者金融から借りてきます)、
延滞金を払っても、なかなか返済金の圧縮には応じてくれません。
銀行にとっては、リスケジュールに応じるとその分、「貸倒引当金」を計上
しなければならないからです。リスケの場合は債権金額(貸した残金額)の15%
102
を積まなければいけないのです。これは銀行に取って大変な負担です。
リスケ(リスケジュール)をするということは、契約違反をするということ
です。契約違反者に対しては、銀行は誠に厳しい対応をします。当然のごとく、
追加融資は一切受けられません、延滞している債務者はウソと脅迫の対象にな
ります。銀行は貸し渋りするだけでなく、取り立て屋にすぐ変身します。
次第にウソは大きくなっていきます。「リスケは半年から1 年間だけです。
いつまでも永遠にリスケに応じることはありません。その後は、差し押さえ、
競売になってしまいます。ですから今のうちにご自宅や店舗・工場を売って返
済しておいたほうがいいと思いますよ。」と銀行員は言います。
そして「差し押さえされると、マーケットで売れなくなります。競売される
と、価格は非常に安くなります。ですから今のうちに売ったほうが、競売より
高く売れますから、返済金も多く払えます。安く手放すより、高く売ったほう
がおトクでしょう。」と銀行員は返済に窮した債務者に担保物件の「任意売却」
をそそのかすのです。
もう20 年近く続く資産デフレの時代です。今の相場で担保物件を売却して
も、借金全額を返すことはできません。借金の相当部分は残債として残ります。
「残った借金はどうなるのでしょうか」と聞いても、銀行員は答えてくれませ
ん。ご自分でお考えくださいと言うだけです。ここに大きな落とし穴があるの
です。ほとんどの人が任売(任意売却)と競売(強制売却)の大きな違いがわ
103
かっていないからです。天と地ほど違うのです。
任売とは、債務者の自由意思で銀行に差し入れた担保物件を売却することで
す。自由意思で売買契約書に実印を付いたのですから、残った借金は返す義務
があります。つまり、借金は残るのです。
これに対して競売は、裁判所で強制的に自宅やその他の担保物件を取り上げ
られるのですから、競売を申し立てた銀行に残債務を支払う義務はありますが、
実際は請求が来なかったりサービサーに譲渡されます。つまり、借金が消えて
しまうのです。この違いを知っているか、知らないかは人生が変わるほどです、
でもこの違いを学校では教えてくれません。先生が知らないからです。法律的
には有るのでしょうが実務的には有りません。取り上げる物が無いからです。
これが法律と実務の違いです。
「サービサー法」が施行(1999 年、平成11 年)されてからは、銀行は残債
務をサービサーに債権譲渡してしまいますから、銀行からは債務者に、もう何
も言ってきません。不思議なことですが、貸した金を返せとは言ってこないの
です。残債務は貸倒れ損として銀行は償却してしまうからです。でもここから
注意しなければなりません。サービスサーや保証会社間で「借金転がし」が始
まったからです。
この後は、債務者と債権譲渡されたサービサーの交渉になります。償却した
分売却損を計上して銀行は税金を払わないのです。バブル崩壊以降法人税を払
104
っている銀行はありません。あったら教えて戴きたいものです。銀行を助ける
為にサービスサーを作ったとはこのことなのです。
サービサーは競売された後の残債権(ポンカス債)を極めて安く取得してい
ます。たぶん、1000円~10万円でしょう。ですから、この債権を債務者
自身が安く買い取ると、借金は消えるのです。自分の借金を、自分が激安で買
うのです。そのシステムも法律も、もう出来上がっているのです。国民の多く
の人が知らないだけです。これが借金消滅のメカニズムです。
これは大学の経済学部でも教えてくれません。大学教授が知らないからです。
勿論銀行員も教えてくれません。銀行員は自分の業務以外の事は何も知りませ
ん。知る必要が無いからです。知ることは越権行為なのです。
ところで、サービサー法にもちゃんとした日本語があります。「債権管理回
収業に関する特別措置法」です。
レストランに入ると、注文した料理をウェイターなりウェイトレスが運んで
きてくれます。食べ終わると料理の皿を調理場に運んでいってくれます。つま
り空になったお皿を回収してくれます。このサービスこそがサービサーの語源
なのです。
全国の借金家の皆さんは、みんなで揃って、このサービスを受けましょう。
借金の無い素晴らしい生活を法律(サービスサー法)が保証してくれているの
です。銀行が売主、サービスサーが買主として売買された債権を今度は借金家
105
が買主として登場サービスサーが売り主として、残債務を借金家が買い取るの
です。その金額は目標100 分の1です。なぜなら担保処分した後の無担保債権
だからです。
つまり、銀行の勧める任売は支払い義務のある借金が残るから、債務者にと
って決して有利ではありません。銀行の大ウソだったのです。どうせ、自宅が
無くなってしまうのなら、競売にしたほうが借金も無くなるから、債務者にと
ってはずっと有利なのです。これからは晴れて無借金人生が始まるのです。
しかし「競売」は銀行にとっては、「手間・ヒマ・金」が掛かるから、銀行
は絶対に勧めません。経費がかかりすぎるからです。銀行は自分にとって不都
合なことは、一切勧めません。お客様に喜ばれることは、一切教えません。そ
んなことは銀行員は入行以来一切教えられていません。それは銀行の利益に反
するからです。銀行は自由主義市場経済の精神とは間逆な存在と、断罪する根
拠の一つです。だから国民の銀行バナレが起きているのです。これこそが金融
危機の最大の理由です。
競売は「手間・ヒマ」かかるとは、法律に則って、全て裁判所の許可を得て、
手順を進めなければならないからです。私はこれを「22 のステップ」と呼んで
います。私の著書には、この内容を何度も記していますので、ここでは省略し
ます。(「デフレの達人」河出書房刊)
競売は全て法に則って手続きを進めますから、最短でも落札まで半年ほどか
106
かります。多くの場合は、1年前後かかります。複雑な案件だと3 年たっても
終わらない場合もあります。銀行は貸金を早く多く回収したいから、債務者に
早く貸金を回収できる任意売却を勧めるのです。銀行は常に自分の都合と利益
が最優先なのです。
競売は「金」がかかるとは、以下のことです。競売にかけると、申立人であ
る銀行は、裁判所に予納金を納めなければなりません。その金額は債務金額に
よりますが、普通の物件で約100 万円前後です。
新聞に載る競売情報の広告費も裁判所に預けられた予納金から支払われま
す。競売物件の現状調査をする調査官や不動産鑑定士の費用もこの予納金から
支払われます。競売費用は全て、競売申立人である銀行が支払うのです。競争
される債務者は一銭も支払い義務はありません。ですから銀行は競売コースを
勧めないのです。
銀行は常に自分の都合と利益をお客様に押し付けます。私自身、バブル期に
は多くの都市銀行と親密な関係にありましたし、バブル崩壊後の銀行の豹変も
体験してきています。そして、全国からやってくる相談者のお話を聞いても、
どの銀行も自行の利益最優先の体質と原則は変わらない事実を耳にし、書類で
見てきました。お客様に不利になることを、お客様に強要するのが銀行なので
す。それが金貸しの性なのでしょう。
これは自由主義市場経済の原則に、全く相反した精神と体質です。お客様に
107
喜ばれることをしてお代を頂く経営こそが、会社の利益を伸ばし、経営の継続
を永らえると、今まで何度も記してきました。
経営の原点は、お客様に何を提供できるか、どうすればお客様の利益になる
か、常に考え営業することが、市場経済の中で生き残る秘訣です。これは中小
零細企業の経営者は全員やっていることです。さもなくば、破産、倒産、閉店、
廃業になってしまうと知っているからです。経営の原点に反した銀行が次々と
破綻してこの世から消えてゆきました。当然の帰結です。
銀行は自分の優越的な立場から、お客様に対して、自行の利益を押し付ける
だけです。この事実は国民全員が肝に銘じて置くべきでしょう。銀行が全国で
バタバタ潰れていった原因は、市場経済の原理原則に反したこの体質にあった
のです。この体質を変えない限り、今後もバタバタ潰れていくでしょう。
私は、あるテレビ局の今日まで続く長寿番組に、3 度出演したことがありま
す。本当は4 度と書くべきでしょうが、4 度目に銀行批判をガンガンやってし
まいました。放映の前日、その番組のディレクターから電話がかかってきたの
です。上司から、「銀行が社会の公器ならばテレビも社会の公器。こういう人
はイカガナものか。」と言われたそうで、放映は中止になりました。民放のT
V局が銀行批判するなんて許されないことなのです。TVのコントロールは難
しい事ではありません。スポンサー達に圧力を掛ければ簡単です。若者達はT
V受像機を持っていないが、ニュースは良く知っています。パソコンでネット
108
情報を見ているからです。日本のテレビでは本当のことが言えないのです。日
本は事実上の言論統制下にあるのでしょう。
ですから若者はインターネットにハマるのです。インターネットには嘘もあ
りますが、自分が体験した本当の話がたくさん書きこまれているからです。い
ろいろな資料もありますし、動画もあります。テレビとは違って、いつでも自
分の都合の良い時間に見れます。自分の都合優先のテレビとは違い消費者優先
のネット情報は若者に受け入れられているのです。あまり洗脳されていない若
者はウソには敏感です。
現在の公職選挙法では、インターネットは選挙では使ってはいけないことに
なっています。本音では昔からの権力者は若者には選挙に来てほしくないと思
っているのでしょう。でも近年中に投票そのものがインターネットでできるよ
うになるかもしれません。それでこそ民主主義社会と呼べるでしょう。
「銀行は社会の公器」という表現には疑問が感じられます。本当は、「社会
の凶器」と言ったほうが真実に近いのではないかと、その時私は思ったのです。
「テレビも社会の公器」なのかどうか、これにも疑問に思うことがあります。
年中オカマとお笑い芸人で大騒ぎのバラエティー番組、テレビショッピング、
温泉とラーメンで埋め尽くされているのは、多分番組制作費が安上がりだった
のでしょう。
今の若者は新聞を読まないし、テレビも見ません。新聞は政府広報誌になっ
109
てしまっていると知っています。テレビはバカ製造マシーンになってしまって
いるからです。ですから、感性の優れた若者は新聞を読まないし、テレビも見
ません。自分がバカになりたくないからです。これが今様の自己保身術なので
す。
だからといって、世の動きを知らないわけではありません。ニュースはケイ
タイとインターネットを通じて知っています。テレビは何かニュースがあると、
どの局もそればっかり何十回もしつこく放映し、独創性はまったくありません。
「そればっかテレビ」と私は名付けました。若者たちからすっかり愛想を尽か
されているのです。
そのうち新聞もテレビ局もこの世から消えていくでしょう。新聞もテレビも
現象を追いかけているだけで、その事件の真相や分析を掘り下げて報道してい
ません。ペーパー人間養成教室で、記者達からそんな能力は消え去ってしまっ
たのでしょう。
アメリカのビッグスリーの内、GM とクライスラーの2 社はなぜ経営破綻した
のか。生き残ったフォードと、車の性能や経営姿勢はどこがどう違ったのか、
全く報道がありません。アメリカで報道されない事は、日本でも全く報道され
ません。何故でしょう。新聞もTV局も独創性のある人間を採用しなくなって
しまったからです。
同様にリーマンブラザーズの破綻についてもその真相と背景についての納
110
得のいく報道がありません。たぶんリーマンの落城は、金の亡者と格付け会社
という詐欺師の大金をめぐる戦争で、生き残った勝ち組は、負け組の兵士のう
ち腕の立つものだけを部下に雇い入れ、無能と判断されたものはホームレスと
なっているのです。これはいつの世にもあることでしょうが、リーマンショッ
クの背景も報道されていません。相変わらずマスコミは本質を追い求めません。
本当の事を知られては困る人達がいるのでしょう。
「そればっかテレビ」というと、2006 年当時、A 建築士による構造計算書偽
装事件が連日報道されました。まさしく、そればっか放映されたのです。その
当時から今日まで、あの話題のマンションを買ってしまった方が私のところに
相談に訪れています。大騒ぎされたあの事件はまだ終わっていないのですが、
その後今どうなっているのか、全く報道はありません。ほとんど忘れ去られて
しまったようです。
この方は5000 万円のほどの住宅ローンを組んで、この大騒動マンションを
買ったのですが、2 か月ほど住んだだけでマンションを耐震構造に強いものに
建て替えるからとの理由で追い出された方です。この時からこの方の苦悩が始
まりました。新築分譲の時に借りた5000 万円のローンの対応についてです。
提携ローンの銀行のお客様に対する洗脳と脅迫が始まったのですがマスコ
ミは全く報道していません。銀行はお客様に対して「私どもは、あなたに5,000
万円をお貸ししたのです。ですから、あなたが5,000 万円のローンを返済する
111
のは当然のことです。」と言うのです。これに対して「ではなぜ、銀行はマン
ションに抵当権を付けたのですか。銀行は抵当権を行使(競売)すればいいで
はないですか。」と聞かなかったのでしょう。大学でも教えられていなかった
からです。教授はカネの事は何も知らないからです。テレビも現象の報道だけ
で、本質を掘り下げる事は一切ありません。
このマンションの購入者はほとんど、銀行の洗脳と説得で、更に2,000 万円
のローンを組まされ、つまり貸し増しされ、ほとんどの人は今や合計7,000 万
円の借金を抱えることになりました。追加の2,000 万円は建て替え工事費用だ
そうです。しかも建て替えるマンションの面積は以前のものより狭くなってい
るのです。
なぜこのような理不尽な銀行の押し付けローンを組んだのか、誰もが疑問に
思います。それには、銀行員が何となくほのめかす「給料の差し押さえ」の脅
迫が功を奏していたのです。しかしこの報道は全くありませんでした。銀行に
とって不都合な事は新聞もテレビも一切報道しません。この不景気なオリ、ス
ポンサーに下りられたらTV局にとっては一大事です。どうやら金の支配者が
この世の支配者のようです。
このマンションの購入者はほとんど一流企業のサラリーマンでした。「給料
の差押えや退職金の差押え」は、債務者本人にではなく、本人が帰属している
会社の社長に対して、裁判所から封書で届けられます。社長は本人に給料の支
112
払い義務があるからです。
これが中小零細企業でしたら、社長が「俺は金貸しの取り立て屋じゃない。
そんな契約を結んだ覚えはない。」と握り潰してしまえばそれで終わります。
中小企業の社長は、義理人情に厚いからです。でも、大企業や公務員はそうい
うわけにはいきません。ほとんどしっかり差し押さえされます。勇気のある中
小企業の経営者と周囲に怯えながら出世した大企業の経営者の違いです。
しかし法律家(弁護士)は、「握り潰したら、その会社の財産が差し押さえ
されるよ。」と言うでしょう。裁判所の「債務名義」は取れるかどうかわかり
ませんが、そこまでやった事例を私は知りません。貸金業者は、債務者の給料
差し押さえ手続きをすることよりも、貸金の貸倒れ損として帳簿に計上し、節
税をはかるケースが多いのです。
しかもローンを組んだとき、その銀行の「保証会社」に、債務者本人が保証
料を支払っているのです。ですから保証会社が、銀行にローンの残債務全額を
支払えば、ここで一件落着です。でも銀行はそうはいきません。銀行の系列の
保証会社は、トコトン債務者を追いかけてきます。このケースでは事件から4
年も経過した2009 年の夏、その方に保証会社から内容証明郵便が届きました。
代理人弁護士名で書かれたその文面はほとんど脅迫状です。全文を記したいの
ですが、長くなるので要点だけ記しましょう。
113
「保証会社が銀行に対してローン残債務全額を支払ったので、貴殿は保証会
社に対して1 週間以内に残債務全額をお支払いください。さもないと、しかる
べき法的措置を講じることとなります。」脅迫は回収行為の第一歩です。
債務者はローンを組んだ時に保証会社に多額の保証料を支払っています。
しかも全額一括前払いです。あの保証料は何だったのでしょう。しかも保証
される銀行が払うのではなく、ローンの債務者が支払うシステムになっている
のです。銀行の優越的立場がローン利用者に対して保証料を押し付けていたの
です。どこでもいつでも金貸しは自分の都合と利益を弱き物に押し付けている
ようです。弱き物が頭まで弱いと金貸しは大喜びするでしょう。自分の都合の
いいようにリードできるからです。
2009 年(平成21 年)9 月から、「消費者庁」が発足しました。消費者庁のい
<用語解説:債務名義>
裁判所で強制執行できる旨を、債権者と債務者双方に、不動産・物品・
給料の範囲を公的に証明した文書で、この通知がなければ執行手続きするこ
とができない。しかし、公正証書が作成されている場合は、債務名義と同一
の効力を持つ。
114
の一番の仕事は、この奇妙なシステムを正常化することです。つまり、保証料
は保証される人が支払うことにし、ローン利用者には請求しないようにするこ
とです。奇妙な金融システムを是正することです。でもあれから1 年消費者庁
が何かいい仕事したとは全く聞いていません。
生命保険料だって保険金をもらう人が保険料を支払っています。住宅ローン
だって、保証される銀行が保証料を支払うべきでしょう。当り前の原理原則に
戻すべきです。ここにも、銀行の優越的立場の行使という、権力者の権力的雰
囲気が感じられます。民主的市場経済の精神とは全く逆な姿勢なのです。誤り
は正さねばなりません。さもないと、これからも銀行はドンドン潰れていくで
しょう。金融の世界にはお客様の利益第一主義の原則が全くないからです。
アメリカでは日本とはローンのシステムが違います。「ノンリコースローン」
がアメリカの主流なのです。これは、債務者がローン返済をできなくなったと
きに、担保になっている資産以外に債権の取り立てが及ばない(非遡及型融資)
のことです。日本では、融資対象の不動産を担保に取ったうえに追加担保や個
人保証を求めるリコースローン(遡及型融資)が一般的です。
ノンリコースローンは、担保割れの状態になっていてもほかの資産からの回
収ができないために、厳密で精度の高い資産評価が必要になり、また、一般の
ローンより金利は高めになっています。
お客様をとことん追い詰める日本の銀行と、差し入れ担保を取り上げるだけ
115
で追及をやめるアメリカの銀行の違いです。ですから日本では、不良債権問題
が解決できないでいるのです。だから資産デフレから立なおれないのです。そ
して加害者の銀行も被害者の国民も皆不幸になりました。制止する人は誰もい
ないからです。
驚いたことに最近時効になった債権までサービサーや保証会社が狙い始め
ました。日本人誰もが借金の時効とその援用を知らないからです。今こそカネ
に強くならなければ生き残れません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿