当教室も夏期講習に向けて、準備が一段と忙しくなってきました。夏休みはすぐそこですし、とうとう、来年のセンター試験まで、あと200日を切りましたが…、受験生諸君、気付いていましたか。来年は1月19日・20日がセンター試験です。
夏休みの重要性は大学も高校・中学受験も変わりません。まとまって時間が取れるこの期間に大きく学力を伸ばしたいところです。まずは自分の課題を正しく把握し、しっかりと計画を立てて、それらを克服、悔いのない夏を過ごして欲しいものです。
さて、そういう時間のたっぷりある時期に、京都大学の英語入試問題のように和訳が大きな比重も占めている大学の受験生に向いているのが本書です。和訳や大意要約ばかりの問題集ですから、他の大学の受験生にとっては実践的ではありませんが、私の好きな参考書の一冊でかなりハイレベルです。
似たタイプのテキストで以前、西きょうじ先生の 『ポレポレ英文読解プロセス50』 を取り上げました。そちらも私にとっては貴重な英文集ですが、本書の方が英文が長く、さらに難易度が上がっています。したがって相当、実力のある受験生でないと一人で最後までやるのは厳しいと思われます。
英文の問題の方が薄い冊子で別になっており、本書自体はその文法解説や解答・解説が各問題に対し、4ページずつ書かれています。切り離せる英文問題の方が45題で80ページほど。本体の方は、最後に本文で出てきた単語と語源のまとめが入って274ページというボリュームです。
最近珍しく、訳順、つまり英文のつながりがわかったあとに日本語に直す際の解説が詳しいのですが、まぁこれは英文科に進むのでなければそこまでは必要ないかという気もします。
出されている英文もかなりヘビーで、E.H.カーやM.ペイなどの学者の論文、W.チャーチルやB.ラッセルなど本格的なものばかりです。ですから気軽に手を出すのは危険です(笑)。哲学や宗教、社会学的な内容で読み応えがあります。その分、やや古めかしい印象はぬぐえません。
そこが本書の長所でもあり、短所でもあります。つまり時代を超えて読まれるようなすばらしい英文ばかりで、受験生にもじっくり読んで欲しいのですが、例えば地球の温暖化とか遺伝子治療、ましてネット社会の問題などというものは出てきませんから、直接の入試対策にはやや心もとないということです。
『ポレポレ英文読解50』 の記事でも指摘しましたが、本書も10年以上前、1994年に出されていますので、今や必修単語の、Global warming や Internet に関わる単語が出ていないことと、CDが付いていないのが残念です。
先日取り上げました、『灘高キムタツの国立大学英語リーディング超難関大学編(木村達哉)』 とそこが大きく異なる点です。まぁ、木村先生のテキストは和訳の技術を磨くということに主眼を置いたテキストではありませんが。
京大志望で、なおかつ英語が得意な生徒が、受験のためにさらに幅を広げる、教養を深めるという目的にはぴったりの一冊だと思います。また、こういう英文集は貴重だと思いますので、英語を大学受験生に教えている方が読んでおいて損のないテキストではないでしょうか。
●最後までお読みいただきありがとうございました。記事がいくらかでも参考になりましたら、応援のクリックをしていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。m(__)m
⇒ (3位) (1位)
http://tokkun.net/jump.htm 【当教室HPへ】
英文解釈のトレーニングPLUS Z会出版 詳細を見る |
Homeへ
どうやって貴殿のHPにたどり着いたのか正確には覚えていませんが、ブログにはまってしまいました。もう4時間くらい読みました。まだまださかのぼって読ませていただきたいと思います。ガッチリ、ハートをつかまれてしまいました。
非常に高品質な情報をありがとうございます。
おかげさまで紀伊国屋のショッピングバッグが18冊になってしまいました。
このままいくと全部買ってしまいそうです。
私は38歳、フィリピン在住、15年間ゼネコンで働きましたが3ヶ月前に退職。
CADの製図事務所を立ち上げようと思ったら、円安為替の影響でやる気がだんだんとなくなり、ふと、昨日の夜、長年の夢であった塾の先生をフィリピンでやりたい、と思い、今いろいろ調べているところです。なにせ自分の受験なんて20年も前の話なので、さぞかしいろいろ変わったのだろう、と思って調べました。
現地には日本の本屋が無いので、書籍はこうやって信頼できる人の書評を頼りにすることが多いです。今回はいろいろな教育に対する最近の議論であるとか、英語教育の現状についてであるとか、非常に多くのことを勉強させていただきました。
「ドラゴン桜」や、竹岡さん、大西泰斗さん、木村達哉さんなど、数々のスターがいて、全てにおいてかなり研究が進んでいてすごいと思いました。
これからも情報提供をよろしくお願いいたします。
本来は少しでも、受験生やその指導者の方々、また受験生のご父母に参考になるようにと思って書いているものですから、しゅうさんのコメント、大変うれしく思います。
今もフィリピンにいらっしゃるのですね。塾というのは日本人の生徒さん相手でしょうかね。ぜひ夢を実現させて下さい。
暖かいコメント本当にありがとうございました。ぜひお時間のあるときに、またお立ち寄り下さい。
この本なのですが、Z会としては「英文和訳」に主眼を
置いて作ったわけではないそうです。びっくり!
詳細はまた連絡しますが、そういうことだそうです。
きっとPLUSの前から比べたら、文法事項の解説などを
詳しくしたからということでしょうかね。確かにそう
なってはおりますが…。よくわかりません。
ええ、ぜひいろいろご教授下さい。
コメントありがとうございました。
今は手に入れる受験生も少ないと思いますけどね。
駿台の英語の先生方はこういったものが好きだという印象があります。私も好きなんですけど、生徒にやらせるかどうかは、別問題という感じです。
余裕がある生徒に対しては、指導時にプリントとして使用することもあります。
確かに美しい(レトリックが多い?)文章で、「受験対策」からはかなり離れていますね。
研究社の『入試英文精読の極意』と似たコンセプトがあるのではないかと感じていました(見当違いだったかもしれません)
私は本書を見つけてうれしかったのですが(私が大学受験の頃はこういったラッセルやライシャワーが頻出でした)、今ではそういう英文は限られた大学でしか出題されませんからね。
でも紹介するとおもしろがって読む生徒も結構いて、例外なく、偏差値が70を越えるような生徒でしたよ(笑)。
nimselさんは現役の医学部生ですよね。それにしてもすばらしい分析力です。一人でも多くの生徒に英語に限らず、勉強の奥深さを伝えて下さい。
私は愛知県出身なんです。
名古屋近郊に住んでいますから、お会いしたいと思います(笑)
私は、大学進学で東京に出てきて、今は世田谷区に住んでおりますが、両親や親戚は今も愛知県の豊田市におります。家内も同郷です。
今回のキムタツ先生の著書とは別の、キムタツカフェに誰か後輩が出ていましたが、岡崎高校というところを卒業しまして、名大や名市大、名工大に進んだ同級生、知り合いもたくさんおります。
こちらこそぜひ一度、お目にかかりたいものです。