ウクライナから83歳の元日本兵、上野石之助さんが63年ぶりに帰国されたというニュースが流れました。戦時死亡宣告が確定していたというのですから、驚きです。墓参りをしたいというご希望を持っておられて、実現したということになりますね。お帰りなさい。
戦後20年以上たった昭和46年、グアム島で発見された元日本兵、横井庄一さんは、その折「生きて虜囚の辱めを受けず」と言い、二年後ルバング島で発見された小野田寛郎さんは「上官の命令解除がなければ帰国しない」と語り、わざわざかつての上官がフィリピンに飛んで直接命令解除を伝えました。「悲劇」でもあり「美談」でもあります。それこそ当時は大ニュースで、子供だった私もよく記憶しております。
その翌年、実はもう一人インドネシア、モロタイ島で元日本兵、中村輝夫さんが発見されていたそうです。ご存知でしょうか。その時彼は「米軍はまだいるのか」と繰り返し聞いていたというのです。
中村氏はジャングルで保護された時は全裸で、保護におもむいた人々が練習通り遠巻きにしていっせいに「君が代」を歌うと、大変驚きながらも、片手で局部を隠しながら、なんと直立不動の姿勢を取ったそうです。続けて「愛国行進曲」を歌うと、その声が日本人でないと気付き「バカヤロー」と叫び、銃を手にとって戦う姿勢を見せたということです。
かつての軍人達はその姿を見て何ともいえない感動を覚えたそうです。終戦からその時まで、ジャングルで30年間、銃の手入れを怠らなかったことだけでも驚嘆に値します。ところがです!なぜ中村氏の場合は小野田氏や横井氏の時のように騒がれなかったか…。故郷である「日本に帰りたい」と語った中村氏の希望はなぜかなえられなかったか…。
中村氏は台湾の高砂族出身であったがゆえに、日本国からは日本人とは認められなかった!戦前、日本人として生まれ、教育され、血書をしたためての志願兵、日本兵として出征し、日本語を話し、日本語でものを考えていたにもかかわらず…。30年間ひたすら孤独に耐えてきたにもかかわらずです。
台湾にはいまだに親日、反日の複雑な思いを抱いている人々が多くいます。李登揮という偉大な指導者がいても、残念ながら日本政府は中国をおもんばかって、日台関係を改善しようという動きは見られませんでした。
結局、中村氏は日本政府から多額の見舞金をもらうも、それが逆に周囲との軋轢を生むことになってしまい、妻が再婚したりと、寂しく一生を終えてしまいました。本書は、いまだに存命している台湾人日本兵やその周辺を取材して書かれています。いろんなことを考えさせられる一冊です。
http://tokkun.net/jump.htm
還ってきた台湾人日本兵文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
是非、読んでみたいです。しかし、VIVAさんのブログは、いつ読んでも分かり易い解説ですね。「嫌韓流2」を読みました。面白かったですよ。
とにかく、お体大切になさってください。
面白そう、というと語弊がありますか。とても興味深そうな本ですね。
確か、台湾出身の旧軍人・軍属が恩給支給を求めた訴訟もあったように記憶しています。条約と立法政策の問題とされ、負けていたと思いますけれど。
台湾と外交関係を結びにくいのは、あの国が中華民国を引きずっているのも有る様な気がします。モンゴル独立は承認していない建前ですし。
まあ、中国との関係が直接の原因でしょうけれどね。
VIVAさんのブログをリンクさせてください。
よろしくお願いします。毎回、楽しみです。
「えっ、また? いっぱいいるんだな~」
と驚いているうちに、さーっと報道が途絶えてしまいましたね。私もなんかヘンな感じで記憶に残っています。
台湾も、大陸から移って来た人たちに高砂族は圧倒されてしまったと思います、ちょうど日本の中に置けるアイヌ民族のように。高砂族でない人だったら、扱いはまた違っていたかもしれませんね。
TBいただいたので来てみました。こういう真面目なサイトは落ち着きますね。他のページも読ませてもらいますね。
山猫男爵さま:ぜひ、軍事の面からヒントになるような本がありましたらご紹介下さい。
dashiさま:覚えていらっしゃるのですね。ブログのお父様のお話、興味深く読ませていただきました。またコメントをいただければ幸いです。
HIROさま:ありがとうございます。私もそうさせていただきます。嫌韓流2注文しました。
>親日、反日の複雑な思いを
そうですね。ここ重要な指摘です。
台湾=親日というわけではなく、特に中村さんのような先住民は大弾圧を食らったこともあります。
台湾人の日本兵は国籍がなくなったために日本兵なら受けられる救済がありませんでした。
そのことは、積み残された「戦争責任」問題の一つ、といえるでしょうね。
TBありがとうございました。
上のお話も踏まえて色々判る年になって、
どう考えても日本人の思考回路というのは
どこまでも閉鎖的なんだなと感じます。
昔の人は酷いって思ってましたけど、
それは現代も変わりませんね。
せめて自分だけはといつも思ってはいるのですが。