巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
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祈り

2018-01-07 11:25:16 | 


悠久の時の流れに身を置き
たゆたい
生き永らえよ

居並ぶ高層ビル群
街並みの眩いネオンサイン
騒がしい人だかり、群衆
私は都会の喧騒の中をひとり歩く

君達は永遠の命を有しているのか
なぜ急がない
時の流れに君達は追い着かないというのに
なぜ焦らない
時が君達を腐食させようとしているのに
なぜそんなに無邪気なんだ
なぜそんなに余裕綽々なんだ
儚い人生を既に達観しているというのか

なぜ、なぜ、を繰り返す私の心に
若者が唾を吐き捨てる

今がよければそれでいいじゃないか

私は現状と理想との狭間で
もがく、もがく
歩調も語調もバランスがバラバラだ
臓器のうねりが悲鳴を上げ
シクシクと痛みに変わる

今この瞬間を楽しみなさい

かつての師匠の言葉が甦る
無知も博識も結論は変わらないようだ
否、本当の無知は私なのだ
あらゆる感情の発露は蒸発し
昇華せぬまま原型を留めない

あゝ、本当とは何なのか
救いの言葉に辿り着かない
貴方の言の葉はとうに色づいて
生命の息吹を発しているというのに
私の言葉は空虚な叫びでしかない

碧色の空から半透明色の光が射し込んでくる
そこに居座っては駄目だと哲学者が諭す
自覚はあれども離れられない理由は
単なる迷い、惑いであったりする

刻々と過ぎゆく時間
私の鍛錬に限界はない

刹那的に生きよ

様々なありふれたメッセージが
巷を駆け巡り
人々が全知全能の神としか見えず
根源無知な私は狼狽する

不安が増長し、破裂するときに
私はきっと悟るのだろう
混濁は心の中に棲む
透明は闇を空白に照らす

窓越しに視る空と
直接触れて視る空は
同じようでやはり違う
私はこの空の住人でありたい
生死は神の決めることなれど
この世界を
この世界に生きる人々を
この世界を構成するすべてのものを
私は心から愛している

飛行機雲が斜めに通過した

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