徳永写真美術研究所 Column


徳永写真美術研究所(TIPA)の日常コラムです。

名画の海に溺れる-大塚国際美術館-

2010-10-30 | 美術に関するお話


徳島県鳴門市にある
大塚国際美術館へ行きました。

1998年のオープン当時
陶板名画の美術館として
話題になりましたが
訪れる機会がありませんでした。

この度、12年を経て
やっと
訪問のチャンスが巡ってきました。

機会を得たのは
仕事先の学校にて。
遠足に同行したのです。

道中のバスでは
最前列の教員席に座りました。

なかなか良い眺めです。

しかし



あいにくのお天気。


明石海峡大橋を走行中

雨のため
鳴門の渦の見学が中止となり
11時から早々と
お弁当を車中で食べる事に・・・。



支給されたお弁当の彩りがすばらしく
どんよりとした気分が一掃されました。





12時ちょうどに目的地に到着。



音声ガイドを手にして
美術鑑賞の旅に出ました。



館内に足を踏み入れると
まず
エントランスの向かいの
システィーナ礼拝堂に吸い寄せられます。



天井にはミケランジェロの絵画世界が広がり
想いはヴァティカンへ。

目の前にあるのは
実物ではないと理解しつつも
厳かな気持ちになりました。



絵画の複製だけでなく
壁画の他、お墓、洞窟など
絵画が存在する環境ごと
再現した展示も随所に存在。



モネの睡蓮の絵があるエリアには
もちろん
蓮池がありました。





私は音声ガイドにより
展示品の理解を深めていましたが
専属ガイドの存在に気がつきました。
ガイドさん名前は
“大塚アート君”
ガイドロボットです。



展示壁面の間をうまく通り抜け
作品の前に来ると解説を始めます。



そこそこ多くのお客さんが
大塚アート君に寄り添い
解説に聞き入っていました。



ラファエッロの薄暗い空間にいたカップルに対して
解説をしている様子を目にした時
ゾクッとしました。
SF映画のワンシーンのよう・・・



展示点数は1000余点。

音声ガイドを聞きつつ
全ての展示を見尽くすことを
目標に頑張った4時間半。

名画の海に溺れました。



Yoshie

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大阪・鶴橋にて、写真・写真表現・シルクスクリーンの研究活動をおこなっています。
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放置された空間で植生観察を楽しむ

2010-10-25 | 日常生活のお話


金木犀の香りが漂うと
何度も深呼吸をする私です。

この季節
植物に目を向けると
冬の装いに
変わっていくさまを楽しめます。
しかし
心にゆとりがない時には
この微妙な変化は
見えないんですね。

数日後、冬型の気圧配置となるようです。
いっきに植物の様子が変化しそう。

今週は
美術鑑賞はひとまず置いて
自然観察に意識を向けようと思います。



私は週に一度
人工島に位置する学校に通っています。
いつも
一つ手前の駅で下車。
15分かけてゆっくりと
立体駐車場の屋上庭園を歩きます。

島ができて20数年が経ち
都市計画の中で植えられた植物は
すっかり住空間に溶け込んでいます。
いえ、それどころか・・・
最近では手入れを怠ると
足を踏み入れ難くなるほどの存在となっています。



現在、春以降は手入れがされていない状態。



あじさいの花は枯れたまま。



人の手が入らなければ
どの種類の植物が強いのか
一目瞭然でわかる風景が続きます。

結論としては
ツル性植物が圧倒的に強いことがわかります。

緑の回廊ではなく“怖廊”のような様子。

ここまで放置されている状態には
なかなか出会わないよねと思い
記録しておきました。



などなど・・・
想いにふけっているうちに
オフィス空間に到着。



左の建物が仕事先の学校です。
仕事モードに気持ちを切り替え
いざ、出講。




Yoshie

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「写真とは何か」を問う写真家の作品

2010-10-18 | 展覧会案内


展覧会のご案内です。


吉川直哉展
I lick up "Behind the Gare Saint-Lazare,Paris, 1932, H.C.B"
会期:2010年10月12日(火)~31日(日)
会場:
ギャラリーアーティスロング



会場に入るや否や
スケールの大きな展示に圧倒されました。

偉大な写真家の作品を複写し
その写真家の眼になりかわって
作者(吉川氏)の見方を提示するという手法です。


壁面はアンセル・アダムス、床はアンリ・カルティエ・ブレッソンの写真を複写
人物は私・Yoshie



奥:ロバート・キャパ 手前:ユージン・スミス

吉川氏にとっての複写とは

写真家のカメラの中に
または
写真家の目の中に入って
作品と接するという

独自の写真鑑賞法であると
作品解説文に記しています。

鑑賞者はこの展覧会で
新たな写真の接し方を体験できるという訳です。

なるほど。





鑑賞者に知識がなければ理解できず
いうなれば
写真関係者のための写真作品ということにもなります。

その場合は
逆に
展示作品から遡り
複写の対象となった写真作品について
理解を深める体験も意味のある事。

教育的作品ですね。



最後にもう一作、紹介。
デュシャンの窓から見える風景は
ニエプスによる世界最古の写真(アニメーション)。
二段重ねの構造です。


作品図録による紹介

このアニメーション部分の作り込みが素晴らしい。
一見の価値アリ!



<この展覧会にて気づいたこと>

絵画を学ぶ上で
“絵画の模写”をおこなうことの意義を認識していながら
写真については
“写真の複写”の意義を考えた事がなかったという事実。




会場は京都、会期は10月末まで。

ぜひ



Yoshie

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私的視線*写真週間 in肥後橋

2010-10-13 | 展覧会案内


夏の暑さにまいっていた頭が
ようやく冴えはじめ
美意識の刺激を欲するようになりました。

月並みな表現ですが・・・
芸術の秋が到来!

さて
展覧会のご案内です。



この度は3本立。


***


まずは大御所の展示から。



1)マン・レイ展 -知られざる創作の秘密-
会期:2010年9月28日(火)~11月14日(日)
会場:国立国際美術館

写真の歴史書には
必ず登場するマン・レイです。
写真を志す者にとっては
知っておかねばならない重要アーティスト。
しかし



私を含め
業界関係者の多くは
「これまでに何度、“マン・レイ展”を見てきたことか・・・」
と感じるのではないでしょうか。

ところが
展覧会の副題で
-知られざる創作の秘密-

謳っている点がポイント。

どのような秘密に出会えるのか
楽しみです。







2)三田村陽展 - 潜景 ・ hiroshima element -
会期:2010年10月19日(火)~10月23日(土)
会場:The Third Gallery Aya

二千年代初頭の広島を記録するシリーズです。
“ヒロシマ”という既成のイメージを追うのではなく
広島を撮影することを
自らに問いかける取り組みであるとのこと。

写真家は何を主題に撮影しているのか。
いろいろと
考えるきっかけを得ることができる
展覧会のようです。







3)藪本絹美展 -北10号-
会期:2010年10月15日(金)~10月30日(土)
会場:Port Gallery T

銀塩写真の魅力を
存分に感じることができる展覧会だと思います。

声高に主張する作品制作から
一線を置く写真家。
展示会場では
“純粋なる美”について考え
繊細なモノやコトに感動したいと
期待しています。


***


これらの展覧会は
大阪市営地下鉄・肥後橋駅から
徒歩数分の同エリアに位置しています。

会期はそれぞれ異なりますが
来週の1週間
10月19日(火)~23日(土)

同時開催しています。
1)→2)→3)の順番で展覧会を廻ると
よいと思います。

ぜひとも
秋の美術鑑賞週間として
写真作品をお楽しみ下さい!



Yoshie

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秋の夜風と町衆の花火

2010-10-07 | 日常生活のお話


私は子供の頃より花火が好きです。

花火師の一瞬の美にかける気合いに感動します。

大阪ではPLの花火をはじめ
大規模な花火大会がたくさんありますが
私にとって
最も心に響く花火は
今回、紹介する町衆の花火です。



私たちの結婚式にて
媒酌人を引き受けてくださった親戚の招待で
この十年間
“川辺の花火(大阪市平野区)を欠かさず見ています。

この“川辺の花火
町内の秋祭りに際しておこなわれる
大和川河川敷での花火です。

時期は9月半ば。
暑さも過ぎ去り
肌寒く感じる季節におこなわれる
30分間ほどの町内会規模です。

この花火が何故
心に響くのか・・・
それは
「自分のための花火」と思えるほど
目の前で花火が上がるから。
そして
花火を仕掛ける花火師が見えるから。
いえ、それ以上に
町衆のお祭りに対する誇りを感じるからだと思います。

招待を受けた親戚宅には
おおぜいの親類・縁者がお祭りを機会に集まります。

花火が終った後も
夜遅くまで互いの近況報告の他
他愛のない話題に盛り上がり・・・
今年は
朝の4時まで話し込みました。



では
今年の花火をご覧下さい。









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