曖昧さの薄闇の中に

趣味は競馬と食べ歩き。お酒の好きな凡人が書きたいように書きます。

愛馬日記 (1)

2005年05月24日 | 一口馬主
5月21日、友駿HCの無料提供馬オペラシチーが目黒記念を勝った。
筆者にとっては、権利を持っている馬の初重賞制覇であり、とても嬉しかった。

けれども、無料提供馬は自分で選んだ馬ではなく、
出資した馬の口数と同じ権利を8000口の中から貰えるという馬である。
やはり、いつかは自分の選んだ馬で重賞を勝ってみたい。

そんな筆者の愛馬の中で最も重賞制覇に近付いているのが、
リガードシチーというサクラバクシンオー産駒である。

今年4歳の彼は、私が一口馬主を始める際に初めて見初めた馬。
まず血統構成が非常に素晴らしい。
(というか、血統表を見て一目惚れしてしまった)

ボトムラインは以下の通り。

父 サクラバクシンオー(プリンスリーギフト系:A)
母父 マルゼンスキー(ニジンスキー系:A)
母母父 シンザン(セントサイモン系:C)
母母母父 ヴェンチア(マッチェム系:D)
母母母母父 Martial(テディ系:C)

異なる父系同士で丁寧に編まれたボトムライン。
母馬ラビットコスモの繁殖としての資質はかなり高い。
全体としてトップスピードの持続力に優れた血で構成されているが、
Northern Dancer 4x4 のクロスを持つ事で加速力と馬力を補完している。

…と、彼への賛辞はいくらでも出てくるのでこの辺りで。

彼が1歳の時に、生産牧場の静内町・片岡牧場さんへお邪魔して、
放牧地の彼に触らせて貰った事がある。
ラビットコスモの陰に隠れた彼は、突然の訪問者にビクビクしていた。
そんな仔馬だった彼が1600万下まで出世した訳で、
私の馬運も捨てたものではないなと思った。


ということで、5月29日の私のメインレースは日本ダービーではなく、
中京11R 飛騨S(1600万下)になります。
とにかく、鞍上が不安で仕方が無い。
吉田稔騎手がもう一度乗ってくれないだろうか…。

血統論みたいなもの (3)

2005年05月20日 | 血統論
今回は予告しておいたボトムラインの見方の話。


■ボトムラインとは

ボトムラインというは、血統表の最も下の部分を指した言葉。
具体的には、母→母母→母母母…と先祖の母馬を辿っていくラインの事。
類似用語で"牝系""母系"とも表現される。


■前提となる考え方

なんでボトムラインを見るかと言うと、
馬という生き物の理(ことわり)では、仔馬を育てるのは母となっているから。
元々、野生の馬の群れは1頭のボス(♂)と、
そのハーレムの構成する牝馬達で構成されている。
つまり、人間に置き換えて言えば、母系社会という事になる。
だから母馬の性格や資質が仔馬に与える影響は非常に大きい。
また、仔馬自身は母馬の胎内で生成される訳だから、
遺伝的に考えても影響が大きい訳である。

サラブレッドは、英国貴族達の虚栄心から生まれた、
馬という種を弄ぶ歪んだ存在である。
本来、生物は各々の理に従って交配し、子孫を残すようにできている。
それを、人間の手で交配を強制する訳だから、
馬産という営み自体不自然な事なのだと思う。
しかも、サラブレッドの先祖は血統表上では3頭しか居ない。
(厳密には違うのだけど、ここでは述べない)
生産=近親交配の繰り返し、である。
そういう意味で、サラブレッドの生産に内臓奇形・白痴・虚弱体質と言った
遺伝的なリスクが伴うのは仕方の無い事と言える。

上記の逆説より、"より自然に近い条件"で交配されたサラブレッドは、
近親交配の影響が少なく、生物本来の生命力や資質を持っている、と考えられないだろうか。
(この辺りは中島理論の前提になっている部分)
ボトムラインを辿って、"より自然に近い条件"で交配されているのか、
を確認するのがこの評価の骨子である。

配合というのは、異なる存在同士を掛け合わせる事が基本である。


■ボトムラインは系統で見る

上記を踏まえれば、異なる系統が掛け合わされているボトムラインは遺伝的に健全であり、
"より自然に近い条件"で交配されている、という事が言える。

その事を符号化して評価する為に、
サラブレッドの系統を以下の通りに分類する。

◆分類A Nearco系 (ナスルーラ系・ノーザンダンサー系・ターントゥ系 等)

◆分類B Native Dancer系 (ミスタープロスペクター系・レイズアネイティヴ系・シャーペンアップ系 等)

◆分類C 非NearcoのEclipse系 (ハイペリオン系・リボー系・セントサイモン系・ハンプトン系 等)

◆分類D Herod系・Matchem系 (ヘロド系・マッチェム系)

この分類は、現在の日本の種牡馬を古い大系統で分類し、
産駒の頭数の比率の多い順番に並べたものである。
父×母で双方が異なった系統であれば"より自然に近い交配"という考え方だから、
当然ボトムラインの種牡馬には、産駒頭数の比率の低い D や C があった方が
健全な配合という事になる。
産駒頭数の比率の低い系統がボトムラインにあれば、
近親交配(インブリード)のできる確率も必然的に低くなる。


では、具体的な例を挙げてみる。

マイネルレコルトのボトムライン

父 チーフベアハート(ダンジグ系/A)
母父 タイテエム(ハイペリオン系/C)
母母父 フジオンワード(リボー系/C)
母母母父 トサミドリ(スターリング系/C)
母母母母父 ハクリユウ(セントサイモン系/C)

マイネルレコルトの配合自体はインブリードが多いけども、
上記の通り非NearcoのEclipse系でボトムラインが編まれている。
しかも、5代中に大系統で同じ父系に属するのがフジオンワードとハクリユウのみであり、
5代が4つの父系で編まれている事になる。


このような見方をすれば、一見クロスだらけの配合からでも
健全な配合を見つける事ができると思う。

特にG1とかで顕著な傾向が、

父 A
母父 A
母母父 A

という馬が馬券対象とならない事。
もちろん例外もあるのだけれど、こういう小ネタもありますよ、という事で…。

血統論みたいなもの (2)

2005年05月13日 | 血統論
では、昨日の続き。


■(3) 評価方法

血統表中で注目する部分について、
どのように評価するかを以下にまとめる。


まず、評価手法は以下の2つを用いる。

◆手法(1) 種牡馬評価
種牡馬の産駒の成績・傾向から特徴を割り出して評価する。
例えば、『サクラバクシンオー産駒は平坦芝1200mで安定した成績を誇る』とか、
『フォーティナイナー産駒の芝の勝ち鞍は平坦コースの方が多い』等々。

◆手法(2) 系統評価
根幹種牡馬の子孫に共通する特徴で評価する。
例えば、『ノーザンダンサー系は荒れ馬場や湿った馬場に強い』とか、
『ミスタープロスペクター系はダートが巧い』等々。


上記2つの評価手法を血統表のどの箇所に適用するかは下記の通り。

1.父 → <種牡馬評価> <系統評価>

2.母父 → <種牡馬評価> <系統評価>

3.ボトムライン → <系統評価>


以上の■(1)~(3)が、個人的に思う血統表の見方の要点。


複雑な血統表も上記要点だけ抑えれば、見るべきポイントがはっきりするので、
そんなに難しくないと思う。
シンプルさは何事に於いても大切だと思うし。

POGやクラブ募集馬の評価に血統が役に立つと書いたのは、
この評価方法だと馬の個性を推し量る事ができるから。
その馬のキャラクターがはっきりすれば、『こういうレースには強いんじゃないか?』
と推論を組み立てる際の有力なファクターになり得る。
つまり、POGであればダービーまでの期間に活躍するように
早熟傾向の馬を選べば良いし、何よりダービーに向くような馬も探し出せる。
クラブ募集馬の評価であれば、長い期間安定して活躍してくれるような馬を選別できるし、
もっと言えば活躍して欲しい距離区分やレースに向く愛馬を探す事もできる。


血統 = 敷居が高い・面倒臭い、という先入観を持つ人が居るかも知れないけど、
実は大雑把な人の方が血統に向くのかな、というのが個人的な感想デス。


次回は、ボトムラインの評価方法について少し掘り下げて書くつもり。

評価方法のベースは『中島理論』。
クラブ馬やPOGで実践したらそれなりに成果を挙げたので、
この機にまとめてみようと思います。

血統論みたいなもの (1)

2005年05月12日 | 血統論
自分の競馬に対する考え方を書く場所が欲しかった、
というのがこのblogを始めた動機。
で、今回は私がどーやって血統を見るか、という話。
市販本やネットでの受け売りが多いから、血統論なんてご大層なものでは無い。
でも、巷に溢れている血統という名前の物差しの中で、
私はこういう風に見てますよ~、という主観を残しておきたいと思う。


■(1) 使用する血統表
最もメジャーな5代血統表で判断する。
最近はnetkeiba.comとかがあるので、ネット閲覧者なら簡単に見れると思う。
昔は辞典+暗記だったんだけど、本当に便利な世の中になった。


■(2) 血統表中の何処を見るか
重視している順番に書くと、

1.父
2.母父
3.ボトムラインに交配されている種牡馬

となる。上記について、個々に説明する。

◆評価(1) 父
ここにはその馬の父である種牡馬の名前が入る。

馬券やPOG、もっと言うと実際の馬産で父となった種牡馬が重視される所以は、
その種牡馬の産駒をサンプルとして、ある程度の競争能力の傾向を求める事ができるから。
母馬を基軸に傾向を探ろうとしても、1頭の母馬から生まれる仔馬の数では少な過ぎて、
統計的なデータとして信用が置けない。
種牡馬は年間で数十頭~百頭前後の産駒を送り出すので、
その産駒の傾向は統計的なデータとなり得る。

評価にあたっては、その種牡馬自身の傾向から評価する場合と、
その種牡馬の属する系統から評価する場合がある。

◆評価(2) 母父
ここにはその馬の母馬の父である種牡馬の名前が入る。

父のみではなく、母父も評価に加える所以は、
個体としての仔馬が母馬の胎内で形成される事と、
その仔馬の直接の仔育ては母馬が行うから。
その際に重視されるべきは母馬の個性であり、
その個性を把握する為に母馬の父である種牡馬の傾向を投影する、
という考え方である。

評価の手法は上記◆評価(1)に同じ。
ただし、種牡馬の中には"母父に入ってこそ"という種牡馬もいるので、
あくまで母父としての評価に徹する必要がある。
(でも、この辺りのバランスは自分の中でも微妙…)

◆評価(3) ボトムラインに交配されている種牡馬
ボトムラインとは血統表の最も下の部分、
即ち母→母の母→母の母の母…と母馬だけを辿ったラインの事。
上記◆評価(1)(2)を5代に渡って評価してみる、という方法。
異なる点は、種牡馬の個性を見るのではなく、
あくまで系統によって評価する、というもの。
この方法は、馬券とかよりも、POGやクラブ募集馬の血統評価の際に役に立つ。

系統というのは、多くの子孫を残すに至った大種牡馬によって
その子孫達を括ってしまおう、という考え方。
サンデーサイレンスを例に取ると、

サンデーサイレンス系{フジキセキ・ダンスインザダーク・バブルガムフェロー・…}

という事になる。フジキセキ産駒とダンスインザダーク産駒では、
距離適性からして違ったりするけれども、大雑把に括ってもきちんと傾向は出てくる。
この事を利用して、系統による血統の符号化を行う訳である。


…と、ここまで書いてかなり疲れた。

どうしてPOGやクラブ募集馬の評価に役立つのか。
これは次回の御題にしよう。